史上4組目の姉妹V・初の双子Vへ 岩井明愛は「ガツガツじゃなくガシガシ」攻める

岩井明愛が待望の米ツアー初優勝に王手をかけた
◇米国女子◇ザ・スタンダード ポートランドクラシック 3日目(16日)◇コロンビア・エッジウォーターCC (オレゴン州)◇6497yd(パー72)
誰も手が付けられないバーディラッシュの中で岩井明愛は冷静だった。最終18番、1Wショットは“より嫌い”な右へのミス。すぐにスイングチェックの仕草を見せたが、「それを意識するラウンドがずっと続いているので慣れています(笑)」と意に介さない。続く7Iでの2打目はピンそば1mにピタリ。この日7個目のバーディで単独首位の座を確固たるものにした。

最終18番のセカンドショットはピンそば1mへ
最終組の2つ前の組で、メジャー1勝のアシュリー・ブハイ(南アフリカ)を寄せ付けない圧巻の「64」。序盤2番(パー3)で左ラフのアプローチがグリーンを越えてボギーとしても、3番ですぐにバーディを取り返した。
左ドッグレッグの5番(パー5)、残り200ydの2打目で勢いづく。「ライが難しかったけれど、右から回していくイメージで」5Wを振りピンそば1mにつけてイーグルを奪取。「ちょっとホッとした。そこから流れが来た」とリズムに乗る。さらに続く6番から2連続バーディ。4位スタートからハーフターンする前にリーダーになっても手綱を緩めない。インコースでもショットで5m以内のチャンスを次々と作り、ムービングデーのベストスコアをマーク。通算18アンダーで後続に2打差をつけた。

最終組の2つ前でプレー。前後半で4つずつスコアを伸ばした
妹の千怜とともに昨年の最終予選会を経て一緒に飛び込んだ米ツアー、年間ポイントレース(レース・トゥ・CMEグローブ)は来季の出場権確保も安泰と言える39位につける。いま欲しいのは「優勝」の二文字だ。千怜は5月の「リビエラマヤオープン」で先に初勝利。米ツアーでともに優勝歴のある姉妹はアニカ(72勝)&シャーロッタ(1勝)のソレンスタム姉妹、モリヤ(3勝)&アリヤ(12勝)のジュタヌガン姉妹、ジェシカ(6勝)&ネリー(15勝)のコルダ姉妹。明愛が勝てば史上4組目、双子では初めてとなる。

後方には妹・千怜の足音も
シーズン2戦目の「ホンダLPGAタイランド」で最終日に「61」をただき出しても2位。単独首位で最終日を迎えた4月「JMイーグルLA選手権」も2位だった。リベンジへの思いが高まりそうで、「あしたはあしたの風が吹くので。そんなに考えることもないかな」と、あっけらかんと笑う。
「“ガツガツ”と言いたいんですけど、自分の中では違うんです。きょうは“ガシガシ”のイメージで回れた。あしたも“ガシガシ”頑張ろう」と、それぞれの一打にクールに向き合うことを大切にする。「変わらず、自分に集中して、周りを気にせずにいきたいなと思います。楽しみながら」。準備は整った。(オレゴン州ポートランド/桂川洋一)