フェラーリ、中国GP失格騒動からマシンの車高で妥協。バスール代表認める「計画が台無しになった」

 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、F1中国GPでルイス・ハミルトンがスキッドブロックの摩耗で失格となったことを受けて、問題再発を避けるために車高を上げざるを得なかったと認めた。

 フェラーリのシーズン前半は、複数の技術的な問題に悩まされた。最も重大な問題は、開幕からわずか数レース後の中国GPで発見されたものだった。決勝レースを6番手でフィニッシュしたルイス・ハミルトンがスキッドブロックの摩耗で失格となったのだ。

 このレースでは、5番手でフィニッシュしたシャルル・ルクレールも重量不足で失格となったが、より深刻だったのはスキッドブロックの摩耗の方だった。以降フェラーリはほぼすべてのサーキットで問題を抱え、特に路面の凹凸が激しいコースでそれは顕著だった。

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 シーズン開始から数ヵ月が経ち、フェラーリ代表のフレデリック・バスールは、以前から明白だったもののチームが認めていなかった事実を、改めて認めた。すなわち、フェラーリSF-25は上海で経験したような状況を回避するため、チームが望むよりも高い車高で走行せざるを得ない状況にあったということだ。

「マクラーレンはタイヤマネジメントに長けており、特に非常に暑く湿度の高いコース条件下でその強みを発揮する。中国での失格処分によって我々の計画が少し台無しになった。クルマと地面のクリアランスに安全マージンを確保する必要があったんだ」

 バスールは『Auto Motor und Sport』にそう明かした。

「ご存知の通り、今のクルマは地面からのクリアランスにおいて極めて敏感だ。1mmでもグリッド上の位置に大きく影響する。車高を完全にコントロールできない場合、その競争力に悪影響を及ぼす。この問題を解決するために、予選用のタイヤの準備やウォームアップラップなど、他のことに集中できなくなる」

Frederic Vasseur, Ferrari

 現行レギュレーション初期に開発されたフェラーリのマシンは、特に強い風が吹いた時に予測不可能な挙動を示していた。チームはこの問題を改善するために尽力してきたが、その過程で他の側面を犠牲にせざるを得なかったようだ。

「今のクルマは、空力安定性にすべての焦点が当てられている。過去2年間、我々は純粋なダウンフォースよりも、運転性や予測可能性に重点を置いてきた」

「目標は、ホイールがターンしたり、クルマがロールしたり傾いたりする際に発生する空力負荷の変動を排除することだった。2023年以降、この方向で最も重要なステップは、昨年モンツァで行なわれたアップデートだった。そこではドライバーがパッケージの性能を最大限に引き出せた。もしドライバーがクルマの動きを把握できていないなら、その性能を最大限に引き出すことはできないんだ」

 フェラーリが今季残りの期間で車高の問題を解決するためのアップデートを投入する可能性は低いだろう。すでに各チームは、新レギュレーションが導入される2026年に向けて開発をシフトしているからだ。

 そのためフェラーリとしては、いかにメルセデスなどのライバルを抑え、マクラーレンに次ぐコンストラクターズランキング2番手を確保するかがシーズン後半のメインターゲットになりそうだ。

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