明治製品10年分の優勝副賞「寄付します」 河本結は“ハッピー”を届けたい

河本結は試合中もカメラに向かって自然とポーズを決める

◇国内女子◇北海道meijiカップ 最終日(10日)◇札幌国際CC島松コース(北海道)◇6642yd(パー72)◇曇り(観衆3387人)

明治製品10年分の優勝副賞について聞かれると、河本結は「寄付します」と即答した。「恵まれない子どもたちであったり、(マネジメント)事務所と相談して…」と詳細は今後詰めていくものの、気持ちは当然のように固まっていた。

「人にとって、ちょっとのハッピーになっていけるようなことをしていきたい」という行動原理は、表彰式の優勝スピーチで語った「これからもゴルフを通して、ゴルフの楽しさ、女子ゴルフの魅力を届けていきたい」という言葉にもリンクしている。プロゴルファーとして技を磨き、心を鍛え、ベストのプレーをファンに見せることは大前提。その上で女子ゴルフという“コンテンツ”が持つポテンシャルを最大限に引き出したい。

女子ゴルフが持つポテンシャルと自らの矜持は

「一種のスポーツであり、一種のエンタメとまではいかないけど、そういう感じかなと思っていて。(ファンの中でも)推しがあったりしますし、もちろん技術もそうなんですけど、パフォーマンスだったり、プレー以外の着こなしとかゴルフ場で“映えている”選手を美しいと思ってもらったり、見せられる部分はいっぱいある。いろんな人がいて、いろんなゴルフを見られる、女子ゴルフは面白い世界だなと思っています」

バーディを獲れば自然とカメラを向いてポーズを決めるのも、その一環。人生をかけて挑む競技を通じて、誰かの心を少しでも豊かにできるなら…。まずは自らが多彩な楽しみ方を提供できる選手でありたいと願う。

プレーで魅了し、結果で示すのは大前提

米ツアーへの挑戦と撤退を経験し、日本でのカムバックも一筋縄ではいかなかった。「アメリカの経験もあって、帰ってきて、どん底を味わってつぶれそうになったのが、今の自分を作ってくれているのかなと思います」。3年前に始めたメンタルトレーニングも大きい。

6月に2度渡米して海外メジャーにスポット参戦も、帰国後の7月には熱中症や腰を痛めるアクシデントが重なって出場2試合連続で途中棄権した。直前に出場資格が降りてきた前週「AIG女子オープン(全英女子)」は、準備が間に合わず見送った。

その分、オープンウィークに地元愛媛へ戻ってリフレッシュ。3月に亡くなった祖父のお墓に手を合わせた後は、「海に行って、人生初のビキニも着ました」と笑う。

一切クラブを握らない時間を作ったのも、心を充実させて試合で最高の結果を出すため。「みんなの人生のハッピーになれればいい」。勝つ前も、勝った後も、根底にある思いは変わらない。(北海道北広島市/亀山泰宏)