4ボギー先行もなんの 山下美夢有の絶品ロブショットは「なんか、完璧すぎて…」

山下美夢有が灼熱のテキサスで躍動
◇女子メジャー第3戦◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 3日目(21日)◇フィールズランチ イースト (テキサス州)◇6604yd(パー72)
18ホールを戦い終えて山下美夢有は心底ホッとした様子で笑った。コースには、連日テキサスの強烈な日差しが降り注ぐ。「紫外線も強いですし、(照り返しで)下から来る暑さが…」と疲労感たっぷり。決勝ラウンドながら平均スコア「76.07」と荒れた展開にあって、最後まで集中力を切らさないプレーが光った。
出だしは不穏だった。8番までに4ボギーが先行し、上位争いから脱落しかけた。それでも、本人は「ショット自体はそんなに悪くなかったと思います」と冷静に振り返る。4番(パー3)、7番と2度の3パットを喫したようにグリーン上の苦戦でスコアを落としていたが、ゲームの軸となるショットの好感触に巻き返しの予兆はあった。

4ボギー先行もショットの状態は悪くなかったという
9番(パー5)のバーディ直後、10番でボギー。波に乗り切れないと思いきや、11番で7m超のスライスラインを流し込んでスイッチが入った。14番から2連続バーディ。236yd設定で1オン可能なパー4となった15番は、1Wショットを打ち上げとなるグリーンの左サイドまで運んでからが技の見せどころだ。アゲンストの風を計算してしっかり突っ込んだチッピングは、ピンの手前を横断する尾根を超えるキャリーの距離感とルート選択が完ぺき。カップに当たり、あと少しでイーグルという一打で悠々とスコアを伸ばした。

3日目のパーオン率66.67
上がり3ホールは、いずれもしびれるパーセーブ。難度2番目、バックナインでは最も難しい16番は持てるショートゲームのスキルを詰め込んだ。強いフォローの風が吹くパー4で、あえてエッジの手前でワンクッションを入れて止めに行くつもりだったセカンドがグリーンにキャリーで届き、下り傾斜に当たって奥のラフまで転がった。
「思ったより(奥に)行ったな…」とある意味で予想外だったピンチにも動じない。58度のウェッジで、バミューダ芝のラフから入念にイメージを出したロブショットは「なんか、完ぺきっていうか、完ぺきすぎて、スピンがかかりすぎた。(落ちてから)全然、転がらなかった」と苦笑いするほど自己評価は100点のアプローチ。結果的に3mを残したパーパットもしっかり決めきった。

最終日は米ツアーを代表するネリー・コルダ、レキシー・トンプソンとの3サム
前年2位に入ったメジャーで、今年も通算1オーバー3位と上位で最終日を迎える。「スコアは気になりますけど、どうなるか分からない。自信をもって、攻めのゴルフをしっかりして、いいプレーをして終われたら」。首位を走るミンジー・リー(オーストラリア)との7打差を意識するよりも、自らの持ち味を生かしたプレーに集中する。(テキサス州フリスコ/亀山泰宏)