「めちゃくちゃラッキー」な最終戦 松山英樹は前週の体調不良から回復へ

2025年もツアー選手権に出場する松山英樹

◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 事前(19日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7440yd(パー70)

1週間前、松山英樹は風邪をひいた。メリーランド州で行われたプレーオフ第2戦「BMW選手権」開幕直前に覚えた違和感。大会前日の朝には「のどが痛すぎて、熱が出て、汗が止まらなくなりました」と、スタートしたはずのプロアマ戦を急きょ途中棄権した。

試合では初日、2日目はその状態を感じさせないプレーを披露。開始36ホールをボギーなしで回り、4位で大会を折り返した。週末の後退が悔やまれる。「76」「73」と(パー70)とオーバーパーを並べて最終的には26位で終えた。

アトランタはことしも暑い。新しいパターもテスト中

体調はむしろ回復傾向にあったからこそ、コンディション不良による悪影響は「まったくないです」と言い訳にしない。「ゴルフ自体は悪くないから、初日は良い感じでゴルフできないかなあと様子を見ながらプレーできた。でも、(3、4日目が)ここ最近のゴルフですよね。ちょっとしたことから、ひとつのボギーでガタガタと崩れる」。最終日は前半4番から9番までに5バーディを奪った直後にスコアを崩した。

12年目のシーズンは優勝した1月のシーズン開幕戦「ザ・セントリー」を最後にトップ10入りがない。ラウンド中に良い流れを自ら寸断してしまう試合が続き、もどかしい。年間ポイントレース(フェデックスカップ)のトップ30だけがプレーできる最終戦に2年連続(11回目)で進んでも、「年明け一発目(の優勝)のおかげで本当に助かりました」と苦笑するしかない。

スイングを入念に確認

ティオフを2日後に控えたこの日はイン9ホールをチェックし、その後2時間近くを練習に費やした。帰りの車に向かった際、すれ違ったのは前週今季5勝目を挙げたポイントランク1位のスコッティ・シェフラー。「コングラッツ(おめでとう)」と声をかけた後、「彼みたいな選手はボギーを打ってもダボを打っても、その後のプレーに関係がない」とつぶやく。

「良い時は“ダダダッと”行ける。微妙な空気になったり、流れが悪くなりそうなときにどうやって止められるか。(ボギーを)多少打つのはしょうがない。その後に信じてできるものが見つかれば上位に行けると思う。チャンスはあると思います」

大会の優勝者が年間王者のタイトルを手にする

ことしは最終戦の競技方式が変わり、出場選手全員がイーブンパーからティオフする。2019年に採用されたプレーオフシリーズ第2戦までのポイントランク順に設けられたハンディキャップは撤廃。シーズンで松山(約1630pt)の4.5倍以上のポイントを稼いだシェフラー(約7456pt)と同じ条件で、年間王者のタイトルを争えるのは「めちゃくちゃラッキー」でしかない。あすの開幕前日もコースで調整予定。体調は「全快ではないけれど9割方、大丈夫」と言えるほどになった。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)