ルクレール、上位走行も“攻めすぎ”アントネッリの餌食に「キミのミスで努力が全て水の泡」と落胆隠せず

 フェラーリのシャルル・ルクレールはF1オランダGP決勝終盤に発生したクラッシュについて、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが不必要なまで「攻めすぎていた」として、全責任がアントネッリにあると語った。

 合計3度のセーフティカー出動と荒れたレースとなった今年のオランダGP。ルクレールとアントネッリの接触は53周目に発生した。2台は当時5位争いを繰り広げており、メルセデスは使い込んだハードタイヤを履くアントネッリが先行するルクレールを抜きあぐねていたことから、52周目にピットへと呼び込みソフトタイヤに交換。フェラーリ陣営もこれに反応してルクレールをピットインさせ、同じくソフトタイヤでコースに送り戻した。

 この際ルクレールはアントネッリよりわずかに先行してコース復帰。タイヤが十分に温まっているアントネッリはバンクのついたターン3でオーバーテイクをイン側から仕掛けたが、アウト側にはらんでルクレールの左後部と接触。その弾みでルクレールはスピン状態に陥り、ウォールに激突した。

 レーススチュワードはこのアクシデントについて、オーバーテイクを仕掛けたアントネッリ側に全面的な責任があるとして10秒のタイムペナルティとペナルティポイント2点を科した。アントネッリは加えてピットレーンでの速度超過によって5秒のタイムペナルティを受け、ポイント圏外でのフィニッシュとなった。

「これはキミのミスだ」とルクレールはレース後、そう語った。

「こういうコースで追い抜くにはかなりアグレッシブにいかなきゃいけない……彼は多分攻めすぎたんだろう。彼が僕の左リヤに接触して、それで僕のレースは終わった。残念だよ」

Charles Leclerc, Ferrari crash

 ルクレールは今回の接触について「ルーキーのミスではない」「1年目でも5年目でも起こり得るミス」と語り、少なくとも表向きは、アントネッリを強く責める様子はなかった。

 またフェラーリがメルセデスの動きに反応して自身をピットに呼び込んだ判断についても、ルクレールは必ずしも否定的な意見を持っているわけでもなく、アントネッリが先行する可能性もあったと認めた。

「タイヤの状態は悪くなかったけど、キミのアウトラップは非常に強力だったと思う」とルクレールは言う。

「だからチームは、彼が再び僕らを追い抜くと判断して僕のピットインを決めたのだろう」

「結局のところ、今回の出来事に苛立ちはしたけど、議論の焦点は戦略じゃないと思う。キミのミスが僕らの努力を全て台無しにしただけだ」

「レースを完走して初めて、その選択が正しかったかどうか判明したはず。キミとのクラッシュで完走できなかったから、判断は難しいよ」

 メルセデスの新人アントネッリにとっては、サマーブレイク明けも厳しい戦いが続いている。オランダGPではフリー走行1回目にコースオフを喫してグラベルから抜け出せず、早々にセッション終了。予選でもQ2敗退を喫した。

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes

 アントネッリは今年、マイアミGPでのスプリント予選最速やカナダGPでの表彰台獲得といったハイライトをいくつか残しているものの、全体的には苦戦傾向が強い。モナコやオーストリアでもクラッシュを経験した。

 ただアントネッリを手塩にかけて育ててきたメルセデスのトト・ウルフ代表は、新人を擁護。ミスに対して寛容な姿勢を示した。

「あと50cmあれば十分だった」とウルフ代表はSky Sports Germanyに対して語った。

「あのコーナーでの最速ラインはおそらくバンク上部だ。あのギャップを見たら攻めるしかない。すると坂によってアンダーステアが発生する。トライする必要があったと思うが、結果は不運だった。本当に残念だ」

Additional reporting by Ronald Vording and Markus Luettgens

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