世界ランク1位の女王に負けはしたが…早田ひなが″超進化″打倒中国「希望の光が見えた!」

左腕にサポーターとテーピングが巻かれているのがわかる。ケガの影響はまだ続いているのだろう

プレースタイルの変化

中国の壁は、あまりに高かった。

8月14〜24日にスウェーデンで行われた『WTTヨーロッパスマッシュ』の8日目、女子シングルス3回戦に出場した早田ひな(25)は世界ランキング1位の孫穎莎(そんえいさ)(24)にゲームカウント0-3で完敗し、ベスト16で姿を消した。これで早田は同大会で優勝した孫に対し、17戦全敗。パリ五輪の準決勝でも敗戦を喫した女王に、歯が立たなかった。

「今大会でも、パリで負傷した早田の左腕には、テーピングが施されていました。一時は完全復活も囁(ささや)かれていましたが、8月7〜11日に行われた『WTTチャンピオンズ横浜』では、張本美和(17)と対戦した2回戦で、『左手首に違和感がある』とメディカルタイムアウトを取っていました。この際、治療に当たったコーチの岡雄介氏が早田にアドバイスを行っているのではないかという疑惑を持たれ、ちょっとした″騒動″になりました。早田がルール違反をするとは思えないので、本当に左腕の状態が万全ではなかったのでしょう」(スポーツ紙記者)

卓球コラムニストの伊藤条太氏は、ケガの影響による早田の変化を指摘する。

「ケガをする前の早田は、8割くらいの力でラリーを続けてミスを誘う戦術を採用しているように見えました。これは中国の強豪と共通し、もっとも安定して勝てるプレースタイルです。8割の力でも並の選手の10割に近いボールを打てる地力の高い選手ならではの、いわば安定攻撃型です。

一転、最近の早田は超攻撃的な短期決戦型にスタイルチェンジしています。相手が強く打ってきたボールに対し、フォアハンドで強烈なカウンターを返すシーンを見ることが増えました。ミスも増えるので、かなりハイリスクな戦術と言えます。長いラリーで左腕へのダメージが蓄積するのを恐れ、勝負を急いでいるのかもしれません」

一見すると、ケガの影響で満足のいくプレーができていないようにも思えるが、むしろこのスタイルの変化は、打倒中国の希望の光でもある。

「今は、超攻撃型を進化させることのできる時期とも言えます。左腕が万全の状態になった際に、従来の堅守型と超攻撃型を自在に使い分けられるようになれば、中国勢を超えていける可能性もある。まさに″ケガの功名″になってほしいですね」(同前)

早田は現在、9月9〜14日に行われる次戦『WTTチャンピオンズマカオ』に向け、調整を重ねている。プレースタイルを″超進化″させ、久しぶりの国際大会での表彰台入りを果たしてほしい。

2回戦ではパリで銅メダルを争った韓国のシン・ユビン(21)をストレートで難なく退けた。ケガはあれど、調子そのものはけっして悪くない

パリで左腕を負傷した際は、バックハンドを打つ時に大きな痛みを感じたことから、フォアハンドの強打を多用して最後まで乗り切った

『FRIDAY』2025年9月12・19日合併号より