サインツJr.激怒。ローソンとの交錯で科された10秒ペナルティに納得いかず「アイツは接触ゼロで走れない」とこき下ろす

 ウイリアムズのカルロス・サインツJr.はF1オランダGP決勝で、レーシング・ブルズのリアム・ローソンとの接触を引き起こしたとしてペナルティを受けたが、この裁定に納得できていないようだ。

 アクシデントが発生したのは27周目。フェラーリのルイス・ハミルトンがクラッシュしたことで出動したセーフティカーからの再スタート時、サインツJr.はターン1でアウト側から先行するローソンに仕掛けたものの、ローソンの左リヤとサインツJr.の右フロントが接触した。

 これによりローソンはパンク、サインツJr.はパンクとフロントウイング破損によって緊急ピットインを余儀なくされた。

 レーススチュワードは当該コーナーで前にいたローソンに優先権があったと判断し、この接触の原因はサインツJr.にあると判断。10秒のタイム加算ペナルティとペナルティポイント2点をサインツJr.に科した。

 スチュワードは裁定について次のように説明した。

「55号車(サインツJr.)のフロントアクスルは、ターン1のエイペックスで30号車(ローソン)のフロントアクスルの前にいなかった。55号車は30号車のアウト側をキープしようとしたが接触が発生した。我々は30号車にコーナーの優先権があったと判断し、55号車に接触の全責任または主たる責任があると結論付けた」

 しかしサインツJr.はスチュワードの裁定に全く納得がいっていない様子。ターン1は2台横並びで走ることができるコーナーであり、ローソンは接触を避けて走ることができない……むしろリスクを好んでいるのではないかとまでこき下ろした。

「そもそも、このインシデントは極めて明白だと思う。ザントフールトのターン1で、接触せずに2台が並走する例を何度見たことか」とサインツJr.はメディアに対して語った。

「このコーナーは、不必要な接触をほとんど伴わず2台が競い合える場所だ」

「しかしリアムに関しては常に、不必要な接触なく競い合うのが非常に難しいみたいだね。2台で並走する状態を受け入れるよりも、ちょっとした接触やDNF、今回みたいにパンクのリスクを負うことを好んでいるように見える」

「今回が彼にとっての教訓になるといいね。彼自身も不必要な走りで多くのポイントを失ったことを認識しているはずだ。でもそれ以上に、こういう行為で10秒ペナルティを受けるなんて、全くもってジョークだよ」

 スチュワードの裁定判断材料となる現在のドライビングスタンダード・ガイドラインでは、エイペックスで先行していることがバトル時の優先権を決める要件となる。そのためコースオフや接触に繋がる可能性を加味した上で、強引なディフェンスや飛び込みでライバルからコーナーの優先権を奪う/死守するというドライビングスタイルの横行も常々指摘されてきた。

 こうした背景も踏まえ、サインツJr.は裁定に関してスチュワードと話し合い、GPDA(グランプリドライバーアソシエーション)でもこの議題を取り上げるつもりだと語った。

「正直、今すぐスチュワードに説明を求めに行く必要がある。このインシデントに関する彼らの見解を確認する必要がある。これは到底受け入れられないよ」とサインツJr.は続けた。

「仮にこれが本当に僕への10秒ペナルティとして判断されるなら、F1が求めるスチュワードのレベルではないと思う。ドライバーとして、GPDA理事として、これは深刻な問題であり、必ず提起していくつもりだ」

Carlos Sainz, Williams

 またサインツJr.は「リアムとそれほど激しく競おうとは全く思っていなかった」と続け、接触のリスクは比較的少なかったはずだと語った。

「アウト側にスペースがあったから、ターン2〜ターン3にかけて彼を厳しいラインに追い込もうと思っただけだ。(ターン1)アウト側からオーバーテイクを完了させようとは考えていなかった」とサインツJr.は続けた。

「単に並走してターン2、ターン3でラインを奪おうとしただけなのに、突然の接触で完全に不意を突かれた」

「バトルを選ぶ必要がある。リアムはキャリア初期だから、プレッシャーをかけるかオーバーテイクを許さないか、そういうアプローチを取っているんだろうけど、これは僕の心に留めておくよ」

「これが僕の今シーズンの縮図だ。またしてもアレックス(アレクサンダー・アルボン/ウイリアムズ)が獲得した5位で僕もフィニッシュできたはずのレースを、理解不能な理由で10ポイントを逃した。またしても僕らの手からこぼれ落ちていった」

 アルボンもサインツJr.の見解を支持し、ローソンに接触の責任があると指摘した。

「みんながどう思ったかは知らないけど、僕としては明らかにリアムのミスだったと思う」とアルボンは言う。

「カルロスがペナルティを受けた理由が分からない。僕は誰よりも良い位置からバトルを見ていたと思う。コーナーの途中でリアムがステアリングを切り、カルロスを外側に追い出したように見えた」

「カルロスが行くべき場所がどこだったのか分からないよ。特にこういう判断は、確信が持てないならレース後のスチュワード(判断)に委ねるべきだと思う。でも、いずれにせよ間違った裁定だった」

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