フェルスタッペンは“武器”を隠し持っている。マクラーレンF1代表、フロントロウ独占もライバル猛追を警戒

 大方の予想通り、F1オランダGPの予選ではマクラーレンがフロントロウを独占。決勝でも手堅いレース運びで勝利を掴むはずだと考えられるが、チーム代表のアンドレア・ステラは3番手につけたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが新品ソフトタイヤを武器に猛追してくる可能性を警戒している。

 マクラーレンは当然のように予選で1-2を記録したが、結果には意外な点もふたつあった。

 まずひとつは、マクラーレンのランド・ノリスが全てのフリー走行でトップタイムを記録したにも関わらず、チームメイトのオスカー・ピアストリが予選Q3ラストアタックという最も重要な局面で上回ったこと。第二に、フリー走行から予選にかけてフェルスタッペンがマクラーレン勢との差を大幅に縮めたことだ。

「最も興味深いのは、今朝(フリー走行3回目)はまだマクラーレンに0.8秒遅れだったのに、予選はわずか0.2秒差だったということだ」

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは予選後、motorsport.comにそう語った。

「ユーズドタイヤではさらに接近できているから、決勝ではマクラーレンを脅かすことができると思う」

 一方フェルスタッペン自身はより懐疑的で、3番手を維持することさえ困難だと考えている。

「未知数な部分もあるけど、今のマシンはより安定しているはずだ。ただ今年は全体を通して、予選ラップと比較して僕らのレースペースが最高とは言えない。少なくともレースでは後ろの人たちを文字通り後ろにとどめておけるといいね」とフェルスタッペンは言う。

 フェルスタッペンはマクラーレンと優勝争いを繰り広げることを予想していないが、ステラ代表は警戒を緩めていない。前戦ハンガリーGP同様、コース上で戦略的にフェルスタッペンが2台の争いに加わってくることを予想している。

Lando Norris, McLaren, Oscar Piastri, McLaren, Max Verstappen, Red Bull Racing

「戦略は、ランドとオスカーの争いが顕在化する変数のひとつだ」とステラ代表は言う。

「しかしまず言っておくと、我々にはランド、そしてオスカーがいる。そしてマックス・フェルスタッペンもいる。チームのため、ランドとオスカーのために最優先すべきは、我々に接近しているマックスを確実に打ち負かすことだ。(予選では)我々からわずか0.2秒差だった」

 つまり、マクラーレン内部での優勝争いを考える前に、確実に1-2フィニッシュを果たすことが最優先課題だとステラ代表は考えているのだ。

「マクラーレンふたりのドライバー間だけでなく、他ドライバーとの戦いも興味深いモノになるだろう」とステラ代表は言う。

「例えばマックスは予選で温存した新品ソフトタイヤを持っていて、それを戦略的に適切なタイミングで投入できれば、非常に強力な武器になり得る」

 ステラ代表はそう語るが、レース中に新品ソフトタイヤを投入することはどれだけ現実なのだろうか? 初日の段階でレッドブルのマルコは既に、最も柔らかいコンパウンドを使用しない1ストップ戦略になると予想していた。

「コンパウンドが硬ければ硬いほど我々は有利だ」とマルコは言う。

「間違いなくミディアム→ハードの1ストップレースになる。我々の期待はそういった方向性にある」

 タイヤサプライヤーのピレリもマルコと同様の見解を示していた。ザントフールトでは今回ピットレーンの速度制限が60km/hから80km/hに引き上げられたが、モータースポーツディレクターのマリオ・イゾラも「理論上はミディアム→ハード→ハードが速い戦略であり、よりプッシュできる。しかしここでオーバーテイクすることがどれだけ難しいかを考慮すると、1ストップの可能性もある。トラックポジションを守ることができるからだ」と説明していた。

 とはいえフェルスタッペンが温存するソフトタイヤは、理論上レッドブルにさらなる選択肢をもたらした。チームが1ストップ戦略を選択した場合でも、ソフトタイヤをレース終盤までキープすれば、フリーストップや攻勢に出るタイミングで投入することができる。

「ソフトタイヤがレースの1スティントで使用可能なコンパウンドである点は興味深い」とイゾラは続けた。

「ミディアムとハードで戦略を立て始めた後、スティントが短すぎると気づいたり、何らかの理由で追加スティントが必要になったりした場合、最後にソフトを使用できる」

 一方で最初から2ストップ戦略を計画する場合、イゾラは別の選択肢を推奨した。

「最初から2ストップ戦略を計画するなら、ソフト→ハード→ミディアムの組み合わせが優れていると考える。レース序盤でソフトタイヤが提供する高いグリップ力を活用できる利点があり、その後ハードとミディアムでレースを展開することができるからね」

Andrea Stella, McLaren

 しかしマルコが1ストップ戦略を強く主張していることを考えると、イゾラの提案したシナリオはあまり現実的とは言えない。

 少なくとも適切な状況下では、追加ソフトタイヤが役立つ可能性はあり、スペインGPの二の舞いを防ぐことはできる。レッドブルは当時、レース終盤のセーフティカー出動時に選択肢がなく、フェルスタッペンが使用できたのは新品ハードタイヤのみという状況だった。このタイヤ選択によってフラストレーションを募らせたフェルスタッペンは、メルセデスのジョージ・ラッセルに体当たりを繰り出すに至った。

 オランダGPではソフトタイヤを“ジョーカー”として保持しているフェルスタッペン。結論としては、よりプランB的な位置づけであり、不測の事態に備えて温存しておくモノと言える。

 実際にフェルスタッペンがソフトタイヤを有効活用できるかどうかは第一に天候、第二にマクラーレンのペース次第だ。昨年のザントフールトでノリスが圧倒的な差をつけて逃げ切ったように、今年もマクラーレンが圧倒的であれば、ライバルとしてはタイヤ選択の柔軟性は全く意味をなさないはずだ。

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