80~90年代 “国産名車”プレイバック「4代目セリカ トヨタ/1985年」編 【バック・トゥ・ザ・モーターズ】
4代目セリカの販売終了は1989年
日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが“乗った・乗りたかった”あの一台をプレイバック!
保守的なトヨタを感じさせない流面形の外観で大ヒット!
■ターボ+4WDを搭載したGT-FOURも注目を浴びた
トヨタセリカはスポーツカー風のボディに、カローラなどの大量に売られるクルマと同じエンジンを搭載するスペシャルティクーペの先駆けだ。初代モデルは1970年に登場して人気車になり、進化を重ねた。そして1985年に発売された4代目が改めて注目された。駆動方式が従来の後輪駆動から前輪駆動に変わり、外観を丸みのある形状に仕上げたからだ。CMでは「流面形」と表現された。
丸みのある外観が特徴で、ウインドーガラスがピラー(柱)の部分まで回り込んでいる。リヤゲートが大きく開いて荷物を出し入れしやすい。
当時のトヨタのクルマ造りには保守的な印象もあったが、4代目セリカは違った。丸みのある外観は、当時のライバル車だった4代目日産シルビア、2代目ホンダプレリュードと比べても先進的で、クルマ好きの注目を浴びた。1986年には、直列4気筒2Lツインカムターボエンジンとフルタイム4WDを搭載する高性能なGT-FOURも加えた。4代目セリカは、クルマにとってデザインが重要なことを改めて示し、その後の商品開発にも大きな影響を与えた。
水平基調のインパネは、当時としては上質だった。プッシュボタンで操作できるオートエアコンは、当時は販売店で装着するオプションだった。
上級グレードの運転席は8ウェイスポーツシートだ。ヘッドレストの高さと前後の調節、背もたれの張り出し方など体格に応じて設定できた。
4代目セリカの販売終了は1989年だから、今では中古車の流通台数は少ない。中古車価格は160〜220万円だから、際立って高くはないが、経年劣化に注意して選びたい。
名車のDNAを継承!! GRヤリス
セリカは既に廃止。後継車種としてはGR86も考えられるが、4代目セリカは前輪駆動で4WDのGT-FOURも用意した。そこでGRヤリスを取り上げる。ヤリスをベースに開発した小さな高性能車で、直列3気筒1.6Lターボに4WDを組み合わせる。
価格:448万円(RZ/4WD&6速MT)
渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)
1961年生まれ。大学卒業後、自動車雑誌の編集部に入社。数々の媒体を手掛けた後、カーライフジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。