【フルモデルチェンジ】わずか2年で新型になった三菱デリカミニ。キープコンセプトでも中身は大きく進化!
2025年8月22日、三菱はデリカミニのフルモデルチェンジを実施し予約注文を開始しました。ここでは、そんな新型デリカミニについて実車を確認しながらご紹介します。

実際は適齢期だったフルモデルチェンジ
まさかわずか2年でフルモデルチェンジが実施されるなんて……。
と、驚かれた方も少なくないと思います。それは現行オーナーであれば尚のこと。デリカミニの登場は2023年4月のことでしたから、まだ2年4ヶ月しか経過していません。ではなぜ、このタイミングでフルモデルチェンジが実施されたのか。それはデリカミニの誕生背景を遡ると納得がいくと思われます。
そもそもデリカミニは、2020年に登場したスーパーハイト軽ワゴン「ekクロススペース」の販売不振をきっかけに、ユーザーが求める「三菱らしさ」を再解釈したモデルとして2023年に誕生しました。ekクロススペースが持ち合わせていた高いユーティリティ性や走行性能を活かしながら、よりタフな印象や「どこまでも走っていけそうな安心感」を内外装デザインや走りのチューニングによって体現されました。一方でシャシや基本設計はekクロススペースをベースにしていました。
つまり、現行デリカミニはekクロススペースのビッグマイナーチェンジ版だったというわけです。
そう考えると、ekクロススペースの登場から丸5年が経過した現在はフルモデルチェンジのタイミングとして適切であるといえます。もっとも、このモデル自体が三菱と日産が合同で軽自動車開発を進める合弁会社NMKVの作であることから、兄弟車のekスペースや日産ルークスなどもフルモデルチェンジの時期を迎えています。

デリカミニはekスペースを兄弟車とするスーパーハイト軽ワゴン。このほか、日産のルークスも基本構造を共有している。
そうした背景をもとに、満を持して登場した2代目デリカミニ。その実力はどのようなものなのでしょうか。
現行デリカミニの成功が導いた大進化
ekクロススペースから生まれ変わったことで、月販平均はそれまでと比べて約4倍も増加する大成功を収めた現行デリカミニ。この成功により新型の開発にあたっては、デリカミニで目指したい方向性や技術投入への優位性が高まったそうです。
すなわち、ekスペースやルークスと同時に開発が進められるなかで、新型デリカミニで採り入れたいデザイン要素や技術を、優先的に開発へ落とし込むことができたと言います。
具体的にエクステリアから確認してみると、大きなデザインコンセプトは現行デリカミニから変わっていません。「やんちゃカワイイ」を目指したアイコニックなフロントデザインや三菱らしいタフでラギットなSUVテイストは、完全に継承されています。
が、新型で注目したいのはベースとなるボディ造形です。現行モデルではekスペースやルークスで目指された、いい意味でスーパーハイト軽ワゴンに見えない「スタイリッシュさ」が主にサイドパネルを見ると感じられました。抑揚のあるボディ造形と後端にかけてキックアップするサイドのキャラクターラインがそれに当たりますが、デリカミニの世界観にはややモダン的だったように思います。

写真左が新型デリカミニ、右が現行デリカミニ。基本的なデザインモチーフは共通するが、ダイナミックシールドがボディ同色となったり、Aピラーがより立った形状になるなど進化している。
新型ではキャラクターラインがより複雑で力強い印象へ生まれ変わったほか、リアクォーターガラスの部分はキックアップせずに室内空間の広がりを感じさせるデザインとなりました。また、Aピラーの角度を縦方向へ立たせたことで、特にサイドから見た時の「ゴツくて広そう」という、まさにデリカらしい装いが実現されました。
フロントやリアのデザインを見てもボンネットフードはデリカミニ専用に設計された迫力感あるものが採用されていますし、バックドアの形状もデリカミニ専用のものが用いられるなど、キャラクターを体現するに必要なデザイン要素を上手に採り入れています。
技術面で見ると待望の「ドライブモードセレクター」が装備され、デリカらしい悪路走破を意識した「グラベルモード」「スノーモード」が採り入れられました。また三菱自動車で初となるカヤバ製ショックアブソーバー「Prosmooth」を実装し、走破性能と快適性をデリカミニに合わせて最適化されています。
と、一見すると現行モデルと変わっていないように見える新型ですが、世界観や技術面では、大幅な進化を遂げています。
大幅進化を遂げたインテリアはクラストップの質感
インテリアに目を向けると、驚くほど進化を遂げています。ここでは一段と5年分の進化を実感できるかと思います。
もっとも大きく進化したのは、インフォテインメント系ではないでしょうか。12.3インチの大型センターディスプレイと、7インチのフル液晶メーターを一体成型したデジタルパネルは、現行モデルと比較すると大幅な進化といえます。特に、現行型ではナビゲーションシステムはディーラーオプション扱いとなる後付けタイプのみが設定されており、メーカーオプションの設定はありませんでした。

大幅に進化したインテリア。撮影車はプレミアム仕様でライトベージュとブラックの2トーン内装となる。スタンダード仕様はライトグレーとブラックのコンビ。
新型では、三菱自動車の国内で初めてGoogle搭載のインフォテインメントシステムが採用されました。それは他ブランドを含めた軽自動車市場でも初の搭載となり、軽市場をリードする存在となりました。
Google搭載とは、車載ナビゲーションはGoogelマップ、音声操作コマンドはGoogleアシスタント、センターディスプレイで機能できる各種アプリケーションはGoogleストアからダウンロード可能といったように、スマートフォンを操作するように車両を操作することができるのが大きな特徴です。
こうした最新鋭のインフォテインメントシステムが採用されたインテリアは、大幅にデジタライズが進んだうえ質感も向上しています。とくにドアパネルの造り込みやシートの質感および座り心地などは軽自動車の枠を超えており、現行モデルとの差は歴然といえる仕上がりです。
軽自動車らしいユーティリティ性もアップ
技術進歩や質感向上も去ることながら、軽自動車で求められる使い勝手の性能も大きく進化しています。
ひとつは収納スペースの進化です。メーターパネルの奥には運転席アッパーボックスが追加され収納力がさらに向上されたほか、ドリンクホルダーにはフラップを追加してさまざまなサイズに対応するよう配慮されたり、中央の引き出し式ドリンクホルダーに手前にはスマートフォン置きが親切されました。さらに現行モデルから採用されている助手席前の引き出し式アッパーグローブボックスには仕切り板が追加され、ユーザーの好みに応じた収納アレンジメントを実現しています。

新設された運転席前アッパーボックスは、サッと取り出しやすい位置に配置されている。このほか収納スペースの進化も新型の大きな特徴となる。
といったように、収納力の向上に加えて、従来よりも使いやすさにこだわった機能が充実しています。
さらに使い勝手の性能では、シート形状を見直すことで車中泊に対応できるシートアレンジを実現したり、ラゲッジルームにはフックを6箇所用意し多彩な活用方法に対応しています。加えて、軽自動車初の装備として「接近時アンロック・降車時オートロック」が設定され、よりスムーズな乗り降りを実現するなど、多岐にわたってユーティリティ性が向上しています。
気になる価格は、思いのほか心配無用か
さて、新型デリカミニの進化ポイントを紹介してきましたが、ここまで大きな進化を遂げていると気になってくるのは「車両価格」ではないでしょうか。
現在のところ発表発売は2025年秋を予定しており、正式な価格発表はされていません。が、デリカミニのマーケティングを担当された方に価格について話を伺ってみると「Google搭載のインフォテインメントシステムをはじめ、ご用意しているオプションを全て実装する場合は現在よりも価格が上がってしまうかと思いますが、一方でスタートプライスは現行モデルからほとんど変わっていないとお伝えできますので、現行モデルと比べて価格が大きく跳ね上がるということはございません」と嬉しいコメントが。

唯一無二の存在感で登場から高い人気を誇るデリカミニ。新型ではその勢いがさらに強まること間違いなし。
これほど大きな進化を遂げているにも関わらず価格はそう大きく変わっていないという知らせは、三菱が新型デリカミニにかける熱量が相当なものであると理解できますし、これまで以上に三菱を盛り上げてくれる存在となるのは必至だといえるでしょう。
(写真:伊藤嘉啓)