ボルボが新型「コンパクトSUV」初公開! 地上高アップ×全長4.2m級で「めちゃ“扱いやすい”サイズ」! ワイルド感も増した新型「EX30クロスカントリー」触れてみた印象は?
ひと目でわかる大変身ぶり!
ボルボ伝統のクロスカントリーモデルが、いよいよ完全電動モデルとして登場します。
【画像】超カッコいい! これがボルボの新型「コンパクトSUV」です! 画像で見る(30枚以上)
ボルボ史上最もコンパクトなSUVであり、カーボンフットプリントが最小限に抑えられた新世代ボルボでもあるバッテリーEV「EX30」が2026年モデルから大きく進化し、新たに「EX30“クロスカントリー”」も仲間入りしました。
さっそく試乗する機会を得たので、2026年モデルの進化とともにレポートします。

これまでの「EX30」とは大きくイメージを変えた新型「EX30クロスカントリー」
マイナス20度の寒さの中でも自然を楽しむスウェーデンの人たちが育んだ“ボルボ・クロスカントリー”シリーズの「丈夫で全天候型」という要素を受け継ぎ、よりSUVらしい新デザインをまとう新型EX30クロスカントリー。
2024年より発売を開始した従来のEX30シリーズにも、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)搭載の「Plus Single」や、2モーターでハイパフォーマンス化された「Ultra Twin」などが追加され、グレードが一気に5つへと多様化を果たしました。
価格帯(消費税込み、以下同)も、479万円から649万円へと幅広くなりました。
なかでも、新型EX30クロスカントリーのエクステリアデザインは、遠くからでもひと目でわかる変身ぶり。
とくに、ボディ同色でグリルレスの未来的な印象だったフロントマスクは、トポグラフィーパターン(地形図)が描かれた専用フロントシールドや、“ヴェイパーグレー”インサートといった異素材が採用され、よりギア感がアップしたワイルドな印象となりました。
サイドからは、ブラックの専用ホイールやホイールアーチエクステンションによるどっしりとした印象に加え、最低地上高が20mm高められて195mmとなったことでタフな実用性をプラス。
リアにもシールドパネルやヴェイパーグレーインサート、「Cross Country」のロゴ入り専用ロアバンパーが加わって、トータルでSUVらしさを強めています。

新型「EX30 Cross Country Ultra Twin Motor Performance」のさりげないエンブレム
これまでEX30はモノグレードで販売されていたので、エンブレムにグレード名は入りませんでした。
しかし今回発表された2026年モデルでは、EX30シリーズのグレードが5つに拡大し、それぞれにさりげなくグレード名が入るようになりました。
51.2kWhのLFPを搭載し、航続距離が390km(WLTCモード、以下同)、後輪駆動のベーシックグレードが「EX30 Plus Single Motor」(479万円)。
69.0kWhのリチウムイオンバッテリー(NMC)で航続距離が560km、後輪駆動の「Plus Single Motor Extended Range」(539万円)と、すでに2024年から発売されていた「Ultra Single Motor Extended Range」(579万円)。
同じく69.0kWhのNMC搭載で全輪駆動(AWD)、航続距離535kmの「Ultra Twin Motor Performance」(629万円)と、航続距離500kmの新型EX30クロスカントリー「Cross Country Ultra Twin Motor Performance」(649万円)というラインナップとなります。
ワイルドさとともにオシャレ度も大幅アップした内外装
さて、そんな新型EX30クロスカントリーのフロントマスクに近づいてよく見れば、何やら模様が刻まれていることがわかります。
これは、“スウェーデンの富士山”的な存在だという「ケプネカイセ山」の稜線からインスパイアされた模様です。

トポグラフィーパターンが描かれた専用フロントシールドには「スウェーデンの富士山」が!?
実はインテリアでも、センターコンソールボックスを引き出すとスウェーデンにちなんだ模様が刻印されていたり、オーナーがちょっと嬉しくなるような遊び心が散りばめられています。
しかもこれは単なる模様ではなく、部品の強度を高める目的もあるというからさすが。
ボルボはこのEX30シリーズから、リサイクル素材の使用率を大幅に高めたり、生産廃棄物を削減するために部品点数を減らすなど、設計段階からクルマづくりを見直し、2040年までに完全な循環型ビジネスの構築を目指すという宣言に向けての挑戦を続けているのです。
そんな新型EX30クロスカントリーのボディサイズは、全長4235mm×全幅1850mm×全高1565mm、ホイールベース2650mm。
全幅が1835mmから1850mmに拡大し、全高が1550mmから1565mmに高まっていますが、全長やホイールベースは同じです。
運転席に座ってみても、見えるインパネの景色は大きくは変わりませんが、インテリア素材が4つに増え、新型EX30クロスカントリーでは「Pine(パイン)」と題されたカーキ色がベースとなりイメージを新たにしています。
スカンジナビアの森の常緑樹の松やモミの葉からインスピレーションを得た色彩で、もちろん自然由来の素材とリサイクル材、バイオ素材のコンビネーションでできています。
シックでモダンな雰囲気は、都市部でもアウトドアシーンでも似合うと感じました。
また、2026年モデルから前席のクッションを変更し、座り心地を改善。ほどよくフィットするサイド形状に加え、座面がしっかりと膝裏近くまで支えてくれるようになり、さらにリラックス感と安心感がアップしています。
そして新型EX30クロスカントリーには「パノラマ・ガラスルーフ」が標準装備されているので、頭上の開放感もたっぷり。
独特な形状のステアリングは、上部は視界を広く確保するため、下部は取り回しをよくするためにスクエアとなっており、手を添えると新鮮な感覚です。

すべての標示がセンターディスプレイに集約された新型「EX30クロスカントリー」
多くの機能が12.3インチのセンターディスプレイに集約されたため、物理スイッチは最小限。ボルボは早くからGoogleインフォテイメント(Googleビルドイン)の搭載を進めており、なかでも2026年モデルのEX30全車はアップデートされた最新世代となっています。
スマートフォンでできることは、ほぼ車内でもスマホを使わずにできるようになるので、いつも通りの環境が得られるのはユーザーにとっても快適。
ディスプレイの下部には、停車中と走行中で必要なアイコンが入れ替わって表示されたり、よく使うアイコンを常設しておくことも可能となっています。
自然な発話にも対応してるので、「OKグーグル」と声をかければ、目線を外すことなく空調やナビ、オーディオなどが操作できるのも便利です。
性能アップでむしろ快適に!? 新型「EX30クロスカントリー」の走りを堪能!
デビューしたばかりの新型EX30クロスカントリーで、さっそく市街地を走り出します。
軽やかかつなめらかに加速していくのは従来のEX30と同様ですが、全輪駆動モデルの特徴のひとつとしては、0-100km/h加速がとっても速いことが挙げられます。

高速道路でも余裕ある快適な走りを堪能!
EX30 後輪駆動モデルの0-100km/h加速が5.3秒~5.7秒なのに対し、ツインモーター・AWDモデルは3.5秒~3.7秒の俊足さでレスポンスの良さを感じます。
でもスポーティというよりは、しっかりとした接地感の中にもどこか路面への当たりに食いつきのよさが加わり、腰下の動きにもゆとりが生まれているような印象。
新型EX30クロスカントリーには専用サスペンションが採用されているほか、装着する専用19インチタイヤの扁平率が変わっていることもひとつの要因かもしれません。
具体的には、前後スプリングとリアのアンチロールバーが柔らかくなり、ダンパーは前後ともクロスカントリー特有の乗り味を引き出すようにチューニング。
通常は後輪で駆動し、必要に応じて全輪駆動となることもあって、どんな路面でも挙動が大きく乱れない安心感があると感じました。
少しだけ高まったと感じるアイポイントは見晴らしがよく、全幅が拡大しても運転しやすさは健在。
ステアリングトルクの立ち上がりやセルフセンタリングなどが最適化されたというステアリングフィールに神経質なところがないことも、効いているようです。
また、ワンペダル風ドライブの回生は、ディスプレイから「LOW」「HIGH」「OFF」が選択でき、市街地ではLOWでも十分な最大0.1G程度の減速度を発生。完全停止まで可能なので、信号の多い道でペダルの踏みかえが少なくなるのはありがたいところです。
HIGHになると最大0.3G程度になり、キビキビとメリハリの効いた走りは首都高のようにカーブが連続するようなシーンで気持ちよく走れました。
加えてドライブモードが「標準」「パフォーマンス」「レンジ」と選択でき、レンジはエアコンもEcoモードになって航続距離を最大化するためのモードですが、ノロノロ渋滞などを走る際には加速が少し抑えられてちょうどいい印象。
パフォーマンスはアクセル操作に対するレスポンスが俊敏になり、パワフルな加速フィールが手に入るので、ワインディングや高速道路の追い越し、合流などでも威力を発揮できそうです。
今回はオフロードや雪道は走っていませんが、芝生や雑草が生えた土の上を低速で進むような場面でも走りやすさを実感。
後席でも試乗したところ、身体が不快になるような揺れがほとんどなく、突き上げなどがよく抑えられていて乗り心地の良さに感心しました。曇天のなかでの試乗でしたが、ガラスルーフの開放感も快適さをアップしてくれた印象です。
最後に充電性能ですが、普通充電は9kWまで、急速充電は150kWまで対応しており、今後増える予定の高性能充電器に対応しているのは魅力的。
ボルボがこだわり続けている安全装備もさらに先進機能が充実して、あらゆるミスや危険から遠ざけてくれたり、ロングドライブをサポートしてくれたりと、大きな安心感が手に入ります。

都会とアウトドアを行き来するのにぴったりなクロスオーバーEVが誕生した!
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日本の道路事情にピッタリなEX30のサイズ感と、持続可能な社会の実現に向けて新たな思想と手法を取り入れている新感覚のデザインや使い勝手はそのままに、よりアクティブで自由な体験を予感させる新型EX30クロスカントリー。
オプションで18インチのオールテレインタイヤを選ぶこともでき、都市部と自然を往き来するライフスタイルにハマりそうな1台です。