【10年ひと昔の新車】BMWにもフルハイブリッドのフラッグシップ「アクティブハイブリッド7」が登場
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、BMW アクティブハイブリッド7だ。

BMW アクティブハイブリッド7(2012年:マイナーチェンジ)

試乗車は標準ホイールベースモデルだが、全長とホイールベースを140mm延長したロングホイールベース(3210mm)のアクティブハイブリッド7Lも設定。
現行モデルの発売から3年半(編集部註:2012年)、BMWのフラッグシップとなる、7シリーズのマイナーチェンジが実施された。外観ではフロントマスクを中心にフェイスリフトされ、エンジン ラインアップなども変更された。そしてアクティブハイブリッド7はフルハイブリッド化され、低燃費と高性能を両立させている。
今回、試乗したのは、パワートレーン系に大変更のあったアクティブハイブリッド7だ。これまでの4.4L V8ツインターボから、アクティブハイブリッド5や同3と共通(スペックは異なる)の3L 直列6気筒ターボにエンジンを換装。また、これまではモーターが補助的にアシストするマイルドハイブリッドだったが、モーターのみでの走行も可能なフルハイブリッドとなった。
システム総合で最高出力は354ps、最大トルクは500Nmを発生する。従来型は465psと700Nmを発生していたから、パワースペック的にはダウンしているものの、燃費は大幅に向上している。また、装備の充実を図りながら価格も大幅に低下していることにも注目したい。
実際にドライブしてみても、遅くなって残念という印象を抱くことなどまったくない。むしろ従来型が速すぎただけで、これでも十分に速いように感じられる。0→100km/h加速のタイムも740iと同等というから、不満があろうはずもない。

3Lの直6ターボエンジン+電気モーターのハイブリッドはシステムトータルで354psと500Nmを発生する。
フットワークの仕上がりも素晴らしかった

リアコンビネーションランプはLEDになった。「ActiveHybrid7」のエンブレムは、Cピラー根元にも入れられている。
肝心の燃費は短時間の試乗では測定できなかったが、感触としてはかなり上がっているように感じられた。すきあらば止めようという感じで積極的にエンジンを停止させるよう制御し、巡航時にはコースティングも行う。また、60km/hまでの速度で、最長で4kmもの距離を電気のみでゼロエミッション走行することも可能だ。
パワートレーンばかりに関心が向きがちだが、このクルマはフットワークの仕上がりも素晴らしい。車両重量も2トンを超える大柄なクルマながら、その走りは俊敏で一体感があり、終始フラットな姿勢を保つ。ワインディングロードでも、意のままに走らせることができる。今回のマイナーチェンジで、これまで良好だった乗り心地がさらに良くなっていることも確認できた。
装備類も、数々の革新的なドライバー支援システムや、新世代ナビゲーションシステム、iPhoneと連携したエンターテインメントシステムなど、さらなる充実が図られた。また、これまで左ハンドルのみの設定だったところ、右ハンドルが選べるようになったのもニュースだ。
スポーティさとエレガントさを増したエクステリアも、よりフラッグシップにふさわしい風格を備えた。新たに採用された、LEDリングがロービームとして機能する特徴的なヘッドランプも目をひく。なおBMWでは、これまでも販売好調だったアクティブハイブリッド7を、7シリーズの中核に据えるとしている(編集部註:2013年)。

今回のマイナーチェンジで右ハンドル仕様も選べるようになった。インパネ中央のディスプレイは10.2インチ。
●全長×全幅×全高:5080×1900×1475mm
●ホイールベース:3070mm
●車両重量:2080kg
●エンジン:直6 DOHCターボ+モーター
●総排気量:2979cc
●エンジン最高出力:235kW(320ps)/5800rpm
●エンジン最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1300-4500rpm
●モーター最高出力:40kW(54ps)
●モーター最大トルク:210Nm(21.4kgm)
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●JC08モード燃費:14.2km/L
●タイヤサイズ:前245/45R19、後275/40R19
●当時の車両価格(税込):1198万円