【2025 MotoGP 第14戦ハンガリーGP】マルク・マルケスが今季10勝目! 初開催のバラトンパークで初代ウィナーに
2025年8月22日から24日にかけて、ハンガリーのバラトン・サーキットにてMotoGP第14戦ハンガリーGPが行われた。33年ぶりにカレンダーに戻ってきたハンガリーGP。記念すべきグランプリの舞台は2023年に開場したバラトンパーク・サーキットだ。テクニカルな左回りの新サーキットで速さを見せたのはやはりランキング首位を独走するマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)だった。

アメリカの名物レースが2026年からMotoGPの併催として開催

ドルナスポーツとハーレーダビッドソンは、8月15日にレッドブルリンク-シュピールベルクのメディアセンターで、5月10日に開催を発表したハーレーダビッドソンのバガーバイクによる新たなグローバルレースの大会名称と開催日程を発表した。 www.motogp.com
前戦のオーストリアGP期間中にとある発表が行われていた。それが来シーズンからハーレーダビッドソン・バガー・ワールドカップがMotoGPで併開催されるというものだ。
2020年にアメリカで初開催、2021年にはモトアメリカのシリーズ戦として開催されているキング オブ ザ バガーズ。同国では絶大な人気を誇るアメリカンVツインによるロードレースカテゴリーだ。主要参戦メーカーであるハーレーダビッドソンはMotoGPと手を組み、2026年度からMotoGPの開催期間中にハーレーダビッドソン ロードグライドを用いたレースを開催すると発表した。
全6戦で行われ、レース形式は1ラウンドにつき2レースを実施する。ワンメイクで車両はキング オブ ザ バガーズでも使われているロードグライド。主なスペックは重量約280kg、最高出力200馬力以上、最大トルク245Nmだ。
確定してはいないが、8チームほどが参戦することが想定されている。ツーリングモデルによるロードレースカテゴリーはヨーロッパには馴染みのないことで、早速さまざまな声が上がっている。
新規顧客開拓、エンターテイメント性向上のためドルナが打った新たな一手。キング オブ ザ バガーズではエキサイティングなレースが毎戦展開されているだけに、ヨーロッパでどのような評価が下されるのかに注目したい。
ハーレーダビッドソン・バガー・ワールドカップ 暫定スケジュール
開幕戦アメリカズ(MotoGP第3戦):3月27日~29日 (サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)
第2戦イタリア(MotoGP第8戦):5月29日~31日(ムジェロ・サーキット)
第3戦オランダ(MotoGP第11戦):6月26日~28日(TT・サーキット・アッセン)
第4戦イギリス(MotoGP第13戦):8月7日~9日(シルバーストン・サーキット)
第5戦アラゴン(MotoGP第14戦):8月28日~30日(モーターランド・アラゴン)
最終戦オーストリア(MotoGP第16戦):9月18日~20日(レッドブルリンク)
マルク・マルケスがスプリント13勝目
予選ではマルク・マルケスがドイツGP以来のポールポジションを獲得。バラトンパーク初のポールシッターとなった。2番グリッドには好調のマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)、3番グリッドにはファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)がつけた。
気温23度、路面温度36度のドライコンディションのなか、13周のスプリントレースがスタート。
狭く切り返しが続くターン1から2は接触が懸念されていたが、スタート直後にいきなりアクシデントが発生。
イン側にいたファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)が止まりきれず、エネア・バスティアニーニ(Red Bull KTM Tech3)と接触し転倒してしまった。
この接触をかわしトップのままスタートを切ったマルク・マルケスは早くも後続との差を開きにかかる。

マルク・マルケスがホールショットを奪う。この直後にクアルタラロが転倒を喫してしまう。
マルケスの後ろにつけたのはディ・ジャナントニオとフランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)のVR46勢。チームメイトとのバトルを制したディ・ジャナントニオがマルク・マルケスを追う。一方、2番グリッドスタートのベッツェッキはスタートで出遅れ7番手まで後退している。
中盤にはペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)がターン11で転倒。上位での走行を続けていたが、ウィークを通して3度目の転倒を喫してしまった。
トラックリミットの警告が出されるも、トップのマルク・マルケスは独走体制を築いておりペースをコントロール。最終的に2秒のギャップを築いたマルク・マルケスがトップチェッカーを受け、今季スプリントで13勝目を挙げた。
2位にディ・ジャナントニオ、3位にはモルビデリが入りVR46勢は揃って表彰台を獲得。ランキング2番手のアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)が8位、ランキング3番手のフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は13位でノーポイントに終わった。
小椋藍(Trackhouse MotoGP Team)は21番グリッドからのスタートながら、15位でのフィニッシュ。決勝はポイント獲得を狙う。

VR46の2台が揃ってスプリントで表彰台を獲得。
マルク・マルケスが今季10勝目!ハンガリーGP初優勝
土曜日以上の晴天で雲ひとつない青空のもと行われた決勝レース。グリッド順はスプリントと変わらないが、ウォームアップ中にディ・ジャナントニオがマシンの異常を感じとりピットに入った。ピットでマシンを乗り換え、ピットレーンからスタートとなった。
気温21度、路面温度41度のドライコンディションのなか、26周の決勝がスタートした。スプリントではスタートで出遅れたベッツェッキが好スタートを切りトップに浮上。切り返しのターン2でマルク・マルケスのフロントとベッツェッキのリアが接触する場面もあり、マルク・マルケスがこの接触で一時4番手に後退してしまった。

マルク・マルケスのイン側から首位の座を狙うベッツェッキ。
オープニングラップではターン12でエネア・バスティアニーニ(テック3)が転倒。マシンとライダーがコースに戻ってきてしまうも幸い多重クラッシュが起こることはなかった。
ベッツェッキがハイペースで逃げるなか、4番手に後退したマルク・マルケが追い上げを見せる。すぐに3番手に上がると2番手のモルビデリに迫る。一方、ランキング2位のアレックス・マルケスが転倒を喫してしまった。
順調に後続との差を拡げるベッツェッキをみたマルク・マルケスは逃さまいとモルビデリ攻略に動く。5周目のターン9でマルク・マルケスが2番手に上がりペースアップ。あっという間にベッツェッキの背後に迫った。その後方ではアコスタもモルビデリを抜き表彰台圏内に入っている。
8周目、マルク・マルケスがベッツェッキに仕掛けていくが、ベッツェッキがトップの座を死守。しかし、11周目のターン1でついにマルク・マルケスがトップに躍り出た。
ここからはマルク・マルケスが独走状態に。一方、抜かれたベッツェッキは序盤のスパートの影響か徐々にペースダウン。レース終盤にはベッツェッキとアコスタの距離が縮まりバトル勃発した。
アコスタはベッツェッキに仕掛けていき、16周目のターン1でついに2番手に浮上。このバトルをよそに4秒もの大差を築いたマルク・マルケスがトップチェッカーを受け今季10勝目を挙げた。
2位にアコスタ、3位にベッツェッキが入り異なる3メーカーのワークスチームが表彰台を分け合う形となった。そして4位に入ったのは16番グリッドスタートのホルヘ・マルティン(Aprilia Racing)。今季は怪我の影響で大きく出遅れたマルティンだが、ディフェンディングチャンピオンとして見事な走りを披露した。小椋は11位でゴールし入賞。5ポイントを持ち帰っている。
日本人ライダーの小椋は、転倒多発のレースを乗り切って11位でフィニッシュを果たし、ポイントを持ち帰った。
次戦が9月5日から7日にかけて行われるカタルーニャGP。第16戦サンマリノGPでのタイトル決定の可能性も出てきており、いよいよマルク・マルケスの7度目の栄冠に向けてのカウントダウンが始まった。
また日本GPもあと1カ月に迫っている。マルク・マルケスが2025年の王者として日本に来るのか、はたまた日本がタイトル決定の地となるのか、9月に入っても目が離せない。
2025 MotoGP 第14戦ハンガリーGP 決勝結果

マルク・マルケスの強さは変わらないが、各メーカーのポテンシャルは縮まりつつある。

resources.motogp.com
レポート:河村大志
MotoGP 関連のニュース一覧 - webオートバイ