すでに大戦は始まっている？
国家安全保障問題を担当したフィオナ・ヒル氏
対ロシア・タカ派にしてトランプ大統領のことも批判
英公共放送のインタビューに応える
現在の状況はすでに世界大戦と呼び得る
すでに「ホット・ウォー」が勃発している
過去の世界大戦に酷似
国際社会の反応も似ている
ロシアを支援する国々
武器の販売、兵士の派遣……
ゼレンスキー大統領も警鐘を鳴らす
「プーチン大統領はさらに踏み込んでくる」
「安全な場所はない」
トランプ大統領の考えは？
トランプ大統領に釘を刺したマクロン大統領
トランプ大統領が「第三次世界大戦を阻止」？
「ウクライナ問題の解決に多大な貢献」

すでに大戦は始まっている？

イスラエルとガザの紛争やロシアによるウクライナ侵攻など、世界各地でさまざまな軍事紛争が起こっている。しかも、これは決して対岸の火事ではない。第一次トランプ政権でアドバイザーを務めていたある人物によると、すでに新たな世界大戦が始まっているというのだ。

国家安全保障問題を担当したフィオナ・ヒル氏

衝撃の見解を述べたのはフィオナ・ヒル氏だ。ヒル氏は2017年に第一次トランプ政権入りし、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官（当時）の下で対ロシア政策の策定などを行っていたが、2019年に政権を去っている。『ニューズウィーク』誌が伝えている。

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対ロシア・タカ派にしてトランプ大統領のことも批判

同誌によると、ヒル氏は対ロシア政策ではかなりのタカ派として知られている一方、トランプ大統領に対しても歯に衣着せない批判を行っているという。その舌鋒の鋭さゆえか、ヒル氏は最近、トランプ大統領からセキュリティ・クリアランスを取り消されている。

英公共放送のインタビューに応える

そんなヒル氏が、英公共放送「Channel 4」の取材に対して、ある意味では第三次世界大戦はすでに始まっていると述べたのだ。ロシアによるウクライナ侵攻は、第一次世界大戦や第二次世界大戦の状況に酷似した点があるからだという。

現在の状況はすでに世界大戦と呼び得る

ヒル氏はこう語っている：「我々はすでに、構造的には第三次世界大戦と呼び得る状況にあります。世界大戦というと多くの人がただちに核戦争を想像していますが。それに、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に黙って従ってほしいと思っています。そうすればプーチン大統領との交渉に戻れるからです」

すでに「ホット・ウォー」が勃発している

ヒル氏は、すでに欧州では（冷戦ではない）「ホット・ウォー」が勃発しており、100万人近い死傷者が出ていると指摘する。さらに、その数倍の規模の難民が発生しており、世界中で連鎖的な影響を及ぼしているとも語っている。

過去の世界大戦に酷似

ヒル氏はこう続ける：「これは2度の世界大戦で起きたことと非常に良く似ています。確かに規模は違いますが、国際秩序を脅かす紛争が発生し、複雑な利害関係を持った多くの国々が関与を迫られているのです」

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国際社会の反応も似ている

ヒル氏は単に戦争のあり方を過去の世界大戦と比較しているだけではない。それを取り巻く、国際社会の反応もまた、前世紀の戦争と共通しているというのだ。

ロシアを支援する国々

ヒル氏は「Channel 4」に対し、こう語ったという：「中国や北朝鮮、イランが公然とロシアを支援しています。もちろん、国によってその支援の直接性は違いますが。それに、この戦争を喜んでたきつけている国はほかにもたくさんあります」『ニューズウィーク』誌が報じている。

武器の販売、兵士の派遣……

「インドはロシアに武器を売っていますし、イランはドローン工場を建設し、北朝鮮は兵士を派遣しています」と語るヒル氏の議論は説得力がある。しかも、第三次世界大戦について警鐘を鳴らしているのはヒル氏だけではないのだ。

ゼレンスキー大統領も警鐘を鳴らす

4月13日、ウクライナのゼレンスキー大統領はCBSニュースのインタビューに応え、幅広い話題について語った。そこでは、プーチン大統領のせいでいま世界は世界大戦に突入する瀬戸際にあるのではないか、という懸念も述べられていた。

「プーチン大統領はさらに踏み込んでくる」

ゼレンスキー大統領はこう述べている：「我々がここで持ちこたえなければ、プーチン大統領はさらに踏み込んでくるでしょう。これはただの憶測ではなく、脅威は現実的なものです。プーチン大統領の究極的な目標はロシア帝国の復活であり、現在NATOの保護下にある領域の奪取ですから」

「安全な場所はない」

「こういったことを考慮すると、現在の事態が世界大戦に発展する可能性はあると思っています。安全な場所はないのです。誰もが危険にさらされています」この懸念が現実となるのか、それはいまはわからない。

トランプ大統領の考えは？

トランプ大統領も、かねてから、世界は第三次世界大戦のとば口で戯れていると述べてきた。だが、その事態の責任がウクライナとロシアどちらにあると考えているのかは不透明だ。その点については、他国の首脳らはよりはっきりした態度を見せている。

トランプ大統領に釘を刺したマクロン大統領

3月、フランスのマクロン大統領がホワイトハウスでトランプ大統領と会談した際、新たな世界大戦を始めようとしているのはウクライナではなくロシアだと釘を刺す局面があった。『ニューズウィーク』誌によると、マクロン大統領は「第三次世界大戦をちらつかせている人物がいるとして、その名前はプーチン大統領以外にはいない」と言ったという。