麻辣湯がブーム、その秘密とおうちで楽しむアイデア ピリ辛スープに多彩な具材をのせて

麻辣湯は春雨とスープ(620円)に、1グラム3.1円の量り売りで具材をのせていく(一部店舗を除く)=東京都目黒区の「七宝麻辣湯 中目黒店」(酒巻俊介撮影)

最近、繁華街で「麻辣湯(マーラータン)」の看板をよく見かける。店の前の行列に目立つのは10代から20代の若い女性で、男性は少数派。あまりなじみがなかったが、今なぜ若い女性にウケているのか、その秘密を探った。

「麻辣湯、いま、めっちゃキテます!」

うだるような暑さの昼下がり。東京都目黒区の「七宝(チーパオ)麻辣湯 中目黒店」では、この日が「人生初麻辣湯」だという女子高生4人組がテーブルを囲み、はしゃいでいた。運ばれてきたのは、30種類以上の香辛料が効いた麻辣湯。真っ赤なスープは、いかにも辛そうだ。

定番から変わり種まで、選べる具材は多種多様=東京都目黒区の「七宝麻辣湯 中目黒店」(酒巻俊介撮影)

女子高生に、麻辣湯の感想を聞いてみると、「春雨と野菜だからカロリーもあんまりない」「具材を選べるのが楽しい。盛り盛りにしても一杯1500円ぐらいだし」と返ってきた。同店では客の8割を女性が占めるという。

30年ほど前に中国・四川省で誕生

麻辣湯とは、ホワジャオなどのしびれる辛さ(麻=マー)とトウガラシなどのヒリヒリする辛さ(辣=ラー)のあるスープ(湯=タン)で、麺には春雨が使われることが多い。日本でも一時ブームとなった「火鍋」をルーツに、中国・四川省で30年ほど前に生まれたとされる新しい料理だ。もう一つの特徴は、野菜やきのこ、さまざまな練り物など、用意された多様な具材から好みでいくつか選び、麺にのせるという自由度の高さだ。

記者が「私の一杯」に選んだ具材。甘みのある厚焼き卵は辛いスープにマッチした(酒巻俊介撮影)

日本に持ち込んだのは、七宝麻辣湯を経営する石神秀幸さん(53)。食べ歩きが趣味で国内外の数千店に足を運んだ石神さんが、20年以上前にシンガポールでこの料理に出合った。

「野菜もタンパク質もたっぷりとれる。好きな具材を選ぶエンタメ性もある。スープに使われるスパイスはいわゆる薬膳に使われるもの。おいしい、楽しい、体にいい料理でした」

早速、中国などで約200店の麻辣湯を食べ歩き、2店で働いてレシピを学び、平成19年に東京・渋谷に1号店をオープン。ここが、日本で初めて麻辣湯を提供した飲食店だとされている。七宝麻辣湯は、今や36店を数える。

和の食材やとろとろ系も好相性

具材の定番は中国料理によく使うターサイやチンゲンサイといった野菜とキクラゲ。タンパク源には豚肉や肉団子、ギョーザなどを。日本の食材もよく合い、「おすすめはメカブ。とろとろ感がスープと一体になって一味違う味わいになります」(石神さん)。同じくとろとろ系の納豆も人気だという。

小松菜と白菜、キクラゲ、ギョーザ、豚肉、厚焼き卵…定番の具材を中心に「私の一杯」を作ってみた。50種類以上からあれこれ選ぶのは、ゲームのようで面白い。具材と辛さ、追加トッピングを自由にアレンジできるほか、中華麺に変更も可能で、「組み合わせは無限大です」(石神さん)。

ジャガイモとサツマイモのでんぷんを使った春雨は、絶妙な粘りと歯ごたえで、つるりと喉を通る。しびれるような辛さにピリリとした刺激…八角やホワジャオなど30種類以上の香辛料が引き立て合うスープは味わい深く、辛いのにそのままごくごくと飲めるほどだ。

辛さを調整して家族の食卓にも

家庭でも味わいたいと、レシピサイトを運営するクックパッドの広報担当、小竹貴子さんに麻辣湯の作り方を教わった。味の決め手はスープ。市販の火鍋スープのもとや麻辣醬(ジャン)があると便利だが、豆板醬と鶏がらスープのもとにホワジャオやごま油を加えれば近い味わいになる。

具材は白菜、きのこ類、豆腐など冷蔵庫にあるものでOK。練り物や肉団子も相性がいい。

「ホワジャオやラー油を後で加えれば、辛さやピリピリ感を調整できるので、家族の食卓にも取り入れやすいですよ」と小竹さんはすすめた。(田中万紀)