「歴史の欠如は悲劇招く」 日本の学者、731部隊跡地で平和訴え
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館で、自身がかつて撮影した元隊員のビデオを見る森正孝氏。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
【新華社ハルビン8月24日】静岡大元講師で第2次世界大戦時の日本軍の731部隊や細菌戦の問題を研究する森正孝氏がこのほど、訪問団20人とともに中国黒竜江省ハルビン市平房区の侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館を訪れた。
訪問団は歴史教師やドキュメンタリー監督、反戦市民団体メンバーなどからなり、歴史を自らの目で確かめ、行動を通じて日本社会に平和を求める声を届けるため、海を越えてハルビンに赴いた。
陳列館は、日本の軍国主義が犯した罪を史料や映像、実物を通じ、さまざまな角度から展示している。「これは私が撮影した」。陳列館で放映されている元隊員の証言映像は、森氏が撮影したものだという。陳列館との関わりは1985年の同館設立にさかのぼるといい、より多くの日本人に歴史と正しく向き合ってもらうために731部隊を研究していると話した。
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館を見学する森正孝氏(左)と訪問団のメンバー。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
訪問団は731部隊跡地の中心エリアも見学した。かつての細菌戦の指揮中枢であり、本部棟は今も残るが、背後にあった「口」字型の実験棟は既に残骸となっている。金成民(きん・せいみん)館長は、陳列館は後世の人に歴史を感じてもらい、血と涙の記憶を風化させないために部隊跡地の保護を最重要任務の一つとしていると説明した。
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館を見学する訪問団のメンバー。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
森氏はその後の座談会で、歴史教師として中国各地を訪ねて生存者の聞き取りを行っただけでなく、危険を覚悟で元隊員の家を訪問し、カメラの前で過去の残虐行為を語るよう彼らを説得してきたと、自らの40年以上にわたる「闘い」を振り返った。
森氏は、戦争犯罪に向き合うために日本政府がなすべきことは、侵略戦争を歴史の事実として教科書に明確に記すことだと強調。「それができなければ、若者は学校教育で歴史を知ることができず、歴史の欠如は悲劇の再来を招きかねない」と述べた。
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている人体実験の報告書。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
上海交通大学戦争裁判・世界平和研究院の楊彦君(よう・げんくん)研究員は、森氏と訪問団の来訪は日本の民間に揺るぎない反戦・平和の声が今も存在していることを改めて証明したと指摘。この声は中日両国の人々の友好の基礎であり、地域、さらには世界の平和を守る重要な礎石でもあると語った。(記者/楊思琪)
20日、取材に応じる森正孝氏。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
20日、座談会で対話する侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館の金成民館長(テーブル奥、右から4人目)と森正孝氏(同3人目)ら訪問団一行。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
20日、ハルビン市平房区の731部隊本部棟跡。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
20日、731部隊跡地の「犠牲者名簿の壁」を見る人たち。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている旧日本軍の軍服。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)
20日、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館に展示されている死体焼却場の模型。(ハルビン=新華社記者/楊思琪)