トランプ大統領はプーチン大統領にやり込められた? アラスカ州で行われた米露首脳会談
アラスカで行われた米露首脳会談

ウクライナでの停戦を模索するため、アラスカ州で開催された米露首脳会談。プーチン大統領とトランプ大統領が対面するとあって、非常に大きな注目を集めることとなった。では、その内容はどのようなものだったのだろうか?
直前になって側近の同席を発表

まず、ひと波乱あると予感させたのは首脳会談の直前になって、予定が変更されたことだった。当初、トランプ大統領とプーチン大統領は2人きりで会談を行うと見られていたが、側近を同席させることが発表されたのだ。ABC放送が報じている。
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礼を尽くして迎えられたプーチン大統領

プーチン大統領がアラスカ州アンカレッジにあるエルメンドルフ・リチャードソン統合基地に降り立つと、米兵がひざまずいてレッドカーペットを広げてもてなした。さらに、その先にはF-22戦闘機がずらりと整列していた。
ぎこちない握手

そして、両首脳は握手を交わしたが、一連のセレモニーは西側メディアによる批判にさらされることとなった。侵略国家として国際社会において白眼視されてきたロシアを米国は受け入れる、というメッセージだと解釈されたためだ。
質問を無視するプーチン大統領

BBC放送いわく:「両首脳が写真撮影に応じると、記者団からは次々に質問が飛び出した。『いつになったら民間人の殺害をやめるのか?』という問いかけに対し、プーチン大統領は何も答えなかった」さらに、プーチン大統領の言葉は信用に値するのかという質問も無視したという。
2人きりで防弾車

結局は側近を同席させることとなった両首脳だが、会場に向かう際には2人きりで防弾車に乗り込んだ。
2時間あまりに及んだ会談

会談は非公開で2時間あまりにおよんだ。その後、12分間の短い記者会見が行われ、トランプ大統領は目標を達成できなかったことが明らかになった。
会談の成果は?

BBC放送によれば、トランプ大統領は首脳会談を行うにあたり、ウクライナ和平に向けた進展を期待していたという。さらに、記者会見の場では両首脳が会談の成果を強調した。ところが、記者会見の内容から、具体的な成果は見えてこなかった。
異例の記者会見

『ザ・ヒル』紙は米国が開催国だったにもかかわらず、記者会見ではプーチン大統領が口火を切ったと指摘。これは異例であり、プーチン大統領が会談を主導したことを印象付けるものだった。
和平合意は達成されず

会見では、プーチン大統領がトランプ大統領をおだてる一方、トランプ大統領の発言はわずか数分間と短く、具体的な内容の薄いものだった。トランプ大統領いわく、「(和平合意には)至らなかったが、今後、達成できる可能性はとても高い」ため、首脳会談は「極めて生産的だった」とのこと。
「ある重大な点」で進展なし

ニュースサイト「Politico」によれば、トランプ大統領は「さまざまな点で合意した」が、「ある重大な点」では進展が見られなかったと語ったとされている。つまり、停戦という議題については平行線をたどったということのようだ。
詳細を明かさなかったトランプ大統領

いずれにせよ、同大統領は米露首脳会談の場で何が語られたのかについて、詳細をほとんど明らかにしなかった。
ウクライナは大幅な譲歩を迫られる?

しかし、会談が幕を閉じるや否や、トランプ大統領はプーチン大統領に共鳴しており、ウクライナに大幅な譲歩を迫るのではないかという報道がなされはじめた。
ロシアへの圧力を取り下げ

実際、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、トランプ大統領が西側諸国と袂を分かち、即時停戦をもとめてロシアに圧力をかけるという方針を翻したと伝えている。
プーチン大統領から譲歩を引き出した可能性

一方、米国のウィトコフ特使によれば、トランプ大統領はウクライナが欧米諸国による安全保障を受けることをプーチン大統領に認めさせたという。さらに、欧米各国の首脳を交えた米ウ首脳会談では、米国はウクライナに部隊派遣こそしないものの、空軍による支援はあり得るとの立場を示している。ロイター通信が報じた。
プーチン大統領がトランプ大統領をやり込めたとの見方

とはいえ、ロシアが停戦に合意しなければ、制裁措置を科すというトランプ大統領の主張はうやむやになってしまった。さらに、『エコノミスト』紙いわく、国際刑事裁判所から逮捕状を出されているプーチン大統領が大手を振って訪米する一方で、米国はたいした見返りを得られなかったようだ。そのため、プーチン大統領がまたしてもトランプ大統領をやり込めたてしまった、という見方がメディアを中心に広がっている。
今後の見通しは?

しかし、米露首脳会談の後に行われた米ウ首脳会談では、ゼレンスキー大統領との友好ムードを演出し、安全保障に言及するなど、仲介役としての存在感を打ち出した。トランプ大統領はさらに、ウクライナとロシアによる首脳会談実現に意欲を示している。ただし、一連の動きはプーチン大統領の時間稼ぎに利用されかねないという見方もある。
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