ウクライナ空中機動軍、ロシアの自走榴弾砲「ムスタ-S」を狙い撃ち
撃破されたロシア軍の自走榴弾砲

ロシアの自走榴弾砲「ムスタ-S」がウクライナ軍の攻撃により、立て続けに3基撃破されたという。ウクライナの軍事ニュースサイト「Militarnyi」が伝えた。
公開された動画

さらに、作戦を実施した3つのウクライナ軍部隊は、その様子を動画でオンライン上に公開した。
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7月15日に1基目が破壊される

「Militarnyi」によれば、1基目のムスタ-Sは7月15日に、ドネツク州ヴェリカ・ノヴォシルカ村で、ウクライナ空中機動軍所属の第148独立砲兵旅団によって破壊されたとのこと。
画像:Facebook @148Guns
カモフラージュ

同サイトいわく、標的となった榴弾砲は迷彩塗装でカモフラージュされていたが、「砲兵旅団のドローンによる探知と正確な砲撃を防ぐことはできなかった」ようだ。
画像:Facebook @148Guns
「完全に破壊された」

「Militarnyi」による動画の分析では、ロシア軍のムスタ-Sはウクライナ軍の砲撃を受けて弾薬に引火したとされ、「完全に破壊された」ものと見られている。
画像:Facebook @148Guns
2日後に2基目が撃破される

一方、2基目のムスタ-Sは森林地帯に展開されていたが、7月17日にウクライナ軍の航空偵察部隊によって発見され、排除された。
画像:Telegram @aeronavtyua
ドネツク州での出来事

「Militarnyi」は攻撃の様子をとらえた動画から、この戦闘はドネツク州ヤシノヴェ村の近くで行われたと特定。
画像:Telegram @aeronavtyua
第59独立強襲旅団

さらに、3基目のムスタ-Sも同じ日に、2基目が破壊された地点にほど近いノヴォエリザヴェティウカ村で攻撃を受けた。このケースでは、ウクライナ軍第59独立強襲旅団が一人称視点(FPV)ドローンを用いて、砂利道に展開していたロシア軍のムスタ-Sを破壊したという。
画像:Telegram @kvbarmy
オープンソースインテリジェンスによる分析

画像や映像の分析を通じて両陣営の損害を集計しているオランダのオープンソースインテリジェンス大手「Oryx」によれば、ロシア軍は開戦から7月19日までの間に、ムスタ- Sを256基失ったことが確認されているという。
画像:Telegram @kvbarmy
あちこちで破壊されるムスタ-S

一方、「Militarnyi」もウクライナ軍が敵のムスタ-Sを250基あまり破壊したと報道。最近破壊された3基に先立って、ウクライナのオメガ対テロ特殊部隊が別の1基を撃破していたことを明かした。
画像:Telegram @kvbarmy
オメガ対テロ特殊部隊が動画を公開

オメガ対テロ特殊部隊は7月15日、作戦の様子をとらえた動画をTelegramチャンネル上で公開。ドローンを使用してロシア軍のムスタ-Sを追跡し、撃破したことを報告した。
画像:Telegram @Centr_omega_NGU
偵察用ドローンと攻撃用ドローンの連携

「Militarnyi」はこの作戦について、「偵察用ドローンおよび攻撃用ドローンの連携によって実現した」と指摘。偵察用ドローンでターゲットを捕捉した上で、爆発物を搭載した攻撃用ドローンが突入したのだ。
画像:Telegram @Centr_omega_NGU
自走榴弾砲ムスタ-Sとは?

軍事ニュースサイト「Army Recognition」によれば、「2S19 ムスタ-S」はソ連時代に開発された152.4ミリメートルの自走榴弾砲で、1989年に実戦配備されたという。
射程距離は?

同サイトいわく、ムスタ-Sの射程距離は24キロメートルあまりだが、ロシアは射程80キロメートルを超える改良型があると主張している。
画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
年間100基生産

また、ウクライナ支援プラットフォーム「United24」によれば、ロシアはムスタ-Sを年間100基生産しており、1基あたりのコストは147万ドルだと見積もられている。
画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
多大な損失

つまり、ここ数週間のうちに破壊された4基だけで588万ドルに相当するほか、開戦から今年7月中旬までの累計では、およそ3億6,750万ドル分が破壊されたということになる。
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