【解説】県岐阜商「夏の甲子園」快進撃も…クラウドファンディングで寄付募るワケ
1235万4000円(20日午後10時時点)――これは、21日、高校野球・夏の甲子園の準決勝に進む岐阜県立岐阜商業高校が行っているクラウドファンディングに集まった寄付額です。
では、なぜ寄付を募っているのかについて、日本テレビの小栗泉・報道局特別解説委員が解説します。
■「出場経費」「応援経費」勝つごとに負担増
写真:日刊スポーツ/アフロ 日テレNEWS NNN
小栗解説委員
「このクラウドファンディングの『目的』の欄には『選手たちの出場経費』『応援生徒たちの移動経費』などと書かれています。具体的には、例えば21日の準決勝では生徒ら約500人が14台のバスで甲子園に向かう予定で、費用は約700万円かかるそうです。応援に行く生徒が負担する額も勝ち進むにつれて増えていて、1試合ごとに1回戦と2回戦は8000円、3回戦と準々決勝は1万円、準決勝は1万2000円となっているそうです」
藤井貴彦キャスター
「1回戦と2回戦を合わせて1万6000円、3回戦と準々決勝を合わせて2万円、準決勝まで含めると4万8000円と、かなりお金がかかるということですね」
■1試合で約4900万円…学校負担どこまで
写真:日刊スポーツ/アフロ 日テレNEWS NNN
小栗解説委員
「2018年に“金農旋風”を起こした秋田県立金足農業高校に聞きました。去年は1回戦で敗退となったのですが、その1試合だけでかかった費用は約4900万円。この中には、生徒ら約300人が秋田から応援に行くためのバスの交通費などに約1970万円。応援に行く人たちの入場料約65万円などが含まれています。担当者は『勝てば勝つほどお金がかかる』と話しています」
藤井キャスター
「補助金のようなものはないのでしょうか?」
小栗解説委員
「高野連(日本高等学校野球連盟)に確認したところ、選手20人、責任教師1人、監督1人までは交通費を全額補助するそうです。また、4日間ある練習日の前日から勝ち進んだ試合までの滞在費も1人1万円までは補助していて、これを超えた分は学校側の負担となります。ただ、マネージャーや応援団などについては交通費や滞在費も学校側の負担になるそうです」
「では、大勢の応援団を連れて行かなければいいのでは?と思う人もいるかもしれないですが、金足農業高校の担当者は『甲子園を見たいから金農に入るという生徒もいるくらいだし、学校が一丸となって試合を盛り上げたい』と話しています」
■高校野球は“教育”の一環…解決策は
日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN
小栗解説委員
「一方、こうした費用の問題について、高野連は『問題意識はあるが学校ごとに費用に差があるので、一律でどこまで負担できるかは難しい』としています」
藤井キャスター
「この費用の問題、深いところに問題がありそうですが、クラウドファンディング以外に解決策はないのでしょうか?」
小栗解説委員
「スポーツマネジメントを専門としている桜美林大学の小林至教授は『高野連は高校野球をあくまで“教育”の一環で商業利用しないというスタンスだが、それが変わればグッズ販売や入場料の値上げ、放送権の販売やスポンサー集めを進めるなどして収益をできるだけ上げることで、各学校への補助金を増やすことはできると思う』と話しています」
■夢の舞台「甲子園」費用の地域差も
日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN
藤井キャスター
「李光人さんはどう思いますか?」
板垣李光人さん(俳優/『news zero』水曜パートナー)
「1試合で4900万円もかかるというのは初めて知りましたし、遠い場所から来る高校だと、より費用の地域差が出てしまうのかなと思いました。学校や個人が費用をどう工面するのか悩むよりも、何かもっと全体的にフォローできるようなものがあればいいのかなと思いました」
(2025年8月20日放送「news zero」より)