評価の分かれるトランプ関税
多くの有権者が経済が悪化したと認識
「アメリカを再び裕福に」のはずが
半数近くが経済状況を「悪い」と評価
関税政策が不人気か
関税政策への不安も拡がる
36％が「なにも達成していない」と評価
バイデン政権末期並みの支持率
第2次トランプ政権は「カオス状態」
ハネムーン期間は終了
2大政策が有権者に響かない
第2四半期の経済成長率は良好
成長率の陰にあるのは

評価の分かれるトランプ関税

世界中を混乱させている「トランプ関税」だが、米国内でもその評価ははっきりと分かれているようだ。最新の世論調査では、半数近い有権者がトランプ関税は米国の発展に寄与しないと考えていることが判明している。

多くの有権者が経済が悪化したと認識

英紙『タイムズ』がYouGovを通じて行った世論調査によると、トランプ政権下で生活が改善したと考えている米国有権者はわずかで、多くは第2次トランプ政権下で経済が悪化したと考えていることがわかった。

「アメリカを再び裕福に」のはずが

トランプ大統領は選挙期間中、「アメリカを再び裕福に」という約束を掲げていた。先述の調査では1,470人の個人を対象に7月18日から21日にかけて質問が行われたが、同紙いわく、新政権下で経済的利益を実感したと答えたのはわずか13％だったという。逆に、米国経済が悪化していると感じている回答者は50％に上った。

半数近くが経済状況を「悪い」と評価

トランプ政権下で米国経済が改善しつつある、と回答したのは全体の24％にとどまった。現在の経済状況を評価する質問には、21％が「とても良好」、16％が「良好」、11％が「まあまあ」と回答したが、「悪い」と答えた人はなんと48％となった。

関税政策が不人気か

第2次トランプ政権における経済政策の評判があまり良くないのは、鳴り物入りで開始された関税政策によるところも大きいかもしれない。世界中から輸入する物品に高額な関税を課したわけだが、これは多くの専門家が米国のインフレを悪化させると指摘している。

関税政策への不安も拡がる

興味深いことに、先の調査では有権者がもっとも気にかけている問題はインフレだということが判明したほか、トランプ大統領が推進する関税政策についての不安も拡がっていることがわかった。関税が米国を豊かにすると考えている回答者は26％にとどまっていた。

支持率にも影響

トランプ大統領が看板政策とする関税だが、半数近い回答者（42％）が逆に米国を貧しくすることになると考えており、米国の繁栄とは関係ないとした回答者も7％存在した。そして、目玉政策への不安感はトランプ大統領の支持率低下にも直結している。

支持状況も悪化

同じ調査では、トランプ大統領の支持率も39％と、就任後100日時点から3％低下していることがわかっている。また、4月には53％だった不支持率も、56％まで上昇している。

36％が「なにも達成していない」と評価

また、第2次トランプ政権におけるもっとも重要な達成を問われた回答者のうち、36％がトランプ大統領はなにも達成していないと回答している。達成項目を挙げた回答のうち最も多かったのは不法移民の逮捕・送還で、回答者の13％がトランプ大統領の成果としている。

バイデン政権末期並みの支持率

YouGovのアナリスト、マーク・ブルメンタール氏は『タイムズ』紙上でこう解説している：「トランプ大統領の状況は就任後100日時点より悪化している。この数字はバイデン大統領が昨年時点で見せていたレベルで、言い換えると、かなり悪い数字だ」

第2次トランプ政権は「カオス状態」

さらに、第2次トランプ政権は過半数から「カオス状態」だとみられている。63％の回答者が米国は「コントロール不能」だと考えており、その見方に同意しない有権者はわずか24％だった。

ハネムーン期間は終了

ブルメンタール氏はこう続けている：「就任当初のハネムーン期間はとうに終わった。インフレや雇用問題はいまも続いており、改善している実感はない」実際、今回の調査で、有権者はトランプ政権がこれらの問題に対処できていないと考えていることが判明した形だ。

2大政策が有権者に響かない

ブルメンタール氏はまた、トランプ大統領が大々的に打ち出したふたつの経済政策である関税と「Big Beuatiful Bill」が、どちらも有権者からはあまり評価されていないとも指摘している。ただし、こういった傾向が2026年の中間選挙で共和党にとってのマイナス要素となるかどうかはいまだ判然としない。