バレー女子日本代表のアタッカー佐藤淑乃「しっかりメダルを」 世界選手権22日開幕

インタビューに応じるバレーボール女子日本代表の佐藤淑乃=東京都北区(梶山裕生撮影)

バレーボールの世界選手権は女子大会(タイ)が22日、男子大会(フィリピン)が9月12日に開幕する。これまでは4年に一度の開催だったが、今回から隔年開催となり、出場チームは24から32に拡大。昨夏のパリ五輪後、男女とも監督が交代した日本は女子が2010年大会以来、男子は1974年大会以来の表彰台を狙う。今季の国際大会、ネーションズリーグ(NL)で4位だった女子代表のアタッカー佐藤淑乃(NEC川崎)は産経新聞のインタビューに応じ、「しっかりとメダルを取りたい」と意気込んだ。

アタックの練習をするバレーボール女子日本代表の佐藤淑乃=東京都北区(梶山裕生撮影)

筑波大在学中に日本代表初選出

「ネーションズリーグでは世界に対して圧倒的な力の差は感じなかったが、メダルが取れなかった。世界選手権ではしっかりメダルを取りたい。個人としてはすべてのプレーに課題が出たので、世界選手権中もクリアして成長していきたい」

《筑波大在学中の2022年に日本代表初選出。卒業後にSVリーグのNEC川崎入りし、1年目の24~25年シーズンは日本人トップ(全体3位)の895得点を挙げて最優秀新人賞とベスト6に選ばれた》

「NEC川崎で動きの改善やジャンプ力を上げるトレーニングに取り組むことで、どんどん自分に身についていった感覚があった。最高到達点は測っていないが、SVリーグ中に打点(の高さ)が変わったのはプレーをしていても感じた」

《トルコ出身のフェルハト・アクバシュ監督が就任した今季、日本代表でレギュラー起用が続く。NLでは223得点の和田由紀子(NEC川崎)、216得点で主将の石川真佑(ノバラ)に次ぐチーム3番目(全体7位)の214得点を挙げた》

「NLは4位で(新体制)1年目にしてはいいと思われるかもしれないが、メダルを目前にして勝ち切れない、悔しい経験をした。日本より世界ランキングが上のチームにあまり勝てる試合はなく、今後の課題も見えた」

練習に取り組むバレーボール女子日本代表の佐藤淑乃=東京都北区(梶山裕生撮影)

「攻撃では高いブロックにかかってしまう場面がすごく多かった。テクニック、点の取り方という部分にはもう少し工夫が必要。トスが近かった時に思い切り打つんじゃなく、(ブロックを利用して)リバウンドをもらう選択肢だったり、そういうのをどんどん身につけていかないと」

影響を受けた選手は古賀紗理那さん

《もっとも影響を受けた選手は24年に引退した日本代表前主将の古賀紗理那さん。NEC川崎では古賀さんの背番号2を引き継いだ》

「少しでも一緒の場所で学びたいと思ってNECを選んだ。(内定選手として出場した23~24年シーズンに)一緒にできた時間があったのは大きい。紗理那さんには周りから信頼されている雰囲気があり、常に相手のマークも厚く来ていた中で、自分が決まらなくてもどうやってチームを勝たせるかをすごく考え、それが行動に出ていた。あとは周りの選手をすごく見ていて、コートに入っていない選手のことも、ちょっと調子が悪いと声をかけるとか、そういう部分は勉強になった」

《パリ五輪は選外。28年ロサンゼルス五輪出場を目指す》

「パリ五輪はすごく出たかったが、テレビで見る側になって、次の五輪は絶対にコートに立ちたいとすごく感じた。今はオフェンス(で貢献する)っていう部分が強いが、ディフェンスでは(石川)真佑さんやリベロに助けてもらっている部分が多いので、そこの負担を自分が減らしていきたい。オフェンスももっと安定したプレーをしていきたい」(奥村信哉)

インタビューに応じるバレーボール女子日本代表の佐藤淑乃=東京都北区(梶山裕生撮影)

女王セルビアが最初の関門

銅メダルだった2010年大会以来の表彰台を狙う女子日本代表にとって、最初の大きな関門は1次リーグH組最終戦で激突するセルビアだ。世界選手権2連覇中の強豪はNLで15位と振るわなかったが、1次リーグ最終週に世界選手権2大会連続MVPの大黒柱ボシュコビッチが合流。最終戦では23年NL覇者のトルコを3-0と圧倒した。第2戦でぶつかるウクライナも、NLに出場していない欧州勢で争う大会を制しており侮れない。

各組2位までが出場する決勝トーナメントに勝ち上がれば、18年世界選手権4位のオランダやコンビバレーに秀でたタイのいるA組のチームと1回戦で対戦する。メダル争いの強力なライバルはNLを制したイタリアや2位ブラジル、3位ポーランドになるだろう。アクバシュ監督は「1試合1試合、着実に進めていく。最終日に試合ができるようにしたい」と、決勝と3位決定戦が行われる9月7日を見据えている。