【年収1000万円以上】の給与所得者は日本に何パーセント?「世帯年収1000万円」家庭の《平均貯蓄額》はいくら?
年収1000万円でも「豊かな生活にならない」悲しい理由
【年収1000万円以上】の給与所得者は日本に何パーセント?「世帯年収1000万円」家庭の《平均貯蓄額》はいくら?
給与明細を見て、額面と手取りの差に驚いたことがある方も多いのではないでしょうか。会社員の場合、社会保険料や税金が天引きされるため、実際に自分がどのくらい負担しているのかを実感しにくいものです。
国税庁の統計によると、日本で年収1000万円を超える給与所得者は全体の約5.5%にとどまります。一見すると「高収入=余裕のある暮らし」と思われがちですが、必ずしも貯蓄額や金融資産が平均以上であるとは限りません。
なぜ年収が高いからといって、貯蓄も多いとは言えないのでしょうか。その背景を一緒に見ていきましょう。
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日本の給与所得者の年収割合を確認!年収1000万円以上は珍しいのか
まずは、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」をもとに、日本の給与所得者の割合を確認していきましょう。
日本の給与所得者の割合
【全体・男女別】日本の給与所得者「年収1000万円以上」の割合
・全体:5.5%
・男性:8.6%
・女性:1.4%
国税庁の公表データによれば、2023年に1年間勤務した給与所得者のうち、年収1000万円を超えた人は全体のわずか5.5%でした。
男女別にみると、男性は8.8%に達する一方で、女性では1.4%にとどまっており、個人でこの水準に到達するのは容易ではないことが分かります。
このことからも、個人ベースで「年収1000万円」を超えるのは大きなハードルであるといえますが、世帯全体での収入に目を向けると、その割合はどの程度まで高まるのでしょうか。
次章では、世帯年収1000万円以上に該当する割合について考察していきます。
「世帯年収」の場合は「1000万円以上の割合」はどのくらい増える?
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収が1000万円以上の割合は12.3%となりました。
世帯年収の分布
世帯年収では個人年収より「1000万円以上」の割合は確かに増えますが、それでも大多数には届かず、依然として少数派にとどまっています。
では、このような高年収世帯の貯蓄状況はどの程度なのでしょうか。
【高収入層の貯蓄事情】世帯年収1000万円以上の貯蓄額(平均・中央値)はいくら?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、二人以上世帯のうち「年収1000万~1200万円未満」と「年収1200万円以上」に分類した世帯の平均貯蓄額が示されています。
・年収1000万円~1200万円未満:平均2069万円・中央値1000万円
・年収1200万円以上:平均4178万円・中央値1650万円
平均値は、全データの合計を件数で割って算出するため、極端に高い数値や低い数値が含まれると結果が大きく影響を受けやすいという特徴があります。
そこで、世帯年収1000万円以上の世帯については、平均額だけでなく「貯蓄を保有している割合」にも目を向けて確認していきましょう。
世帯年収1000万円以上の貯蓄割合は?貯蓄3000万円以上保有が最多に
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の同調査によると、「二人以上世帯で年収1000万円以上」の層においても、意外なことに貯蓄が全くない世帯が一定数存在しています。
具体的には、年収1000万~1200万円未満の世帯で12.8%、年収1200万円以上の世帯でも6.0%が「貯蓄ゼロ」と回答しています。
一方で、年収1000万円を超える世帯の多くは、貯蓄額が1000万円以上に達していることも明らかになっています。
このため、平均値だけを見ると高額な貯蓄を保有しているように映りますが、実際にはすべての世帯が十分な資産を持っているわけではありません。
中には、貯蓄がほとんどない世帯も一定数存在しているのです。
年収1000万円でも「豊かな生活にならない」悲しい理由とは?
年収1000万円以上の世帯の中には、十分な貯蓄ができていない世帯も少なくありません。
その背景には、税金や社会保険料といった大きな負担が関係しています。
たとえば、年収300万円程度の人の所得税率は10%ですが、年収1000万円を超えると33%から45%と大幅に上昇し、収入に見合った税負担が重くのしかかります。
つまり、年収1000万円といっても、そのまま全額を手取りとして得られるわけではなく、収入の増加と比例して税の負担も膨らむのです。
さらに、社会保険料も高額で、手取り額を圧迫する要因となっています。
加えて、多くの制度には「所得制限」が設けられており、支援の対象外となるケースが増えることで、結果的に家計の負担はさらに大きくなります。
また、収入が増えるにつれて生活費や教育費などの支出も自然と膨らみ、貯蓄に回せる余力が減ってしまう場合もあります。
このような事情から、高収入であっても余裕が生まれにくいことがあり、生活費の管理や節税対策を意識的に行うことが重要だといえるでしょう。
手元に残るお金を少しでも増やす工夫を
今回は、日本の給与所得者の年収割合や、「世帯年収1000万円以上」の割合、そして貯蓄額について確認してきました。
年収の多い・少ないにかかわらず、出費や税負担が重くなると「なかなか貯蓄が進まない」と感じる方も多いのではないでしょうか。そこで大切になるのが、手元に残るお金を少しでも増やす工夫です。
まずは、使える節税の制度を活用してみましょう。例えば、iDeCoや保険料控除、ふるさと納税などが代表的です。人によって控除できる金額や上限は違うので、自分に合うものを理解して取り入れることが大切です。
そのうえで、残ったお金を効率よく増やしたいなら、資産運用を組み合わせるのも一つの方法です。投資には元本割れのリスクもありますが、時間をかけて取り組むことでリスクを抑えやすくなります。
無理のない範囲で、自分に合った方法を選びながら、お金を少しずつ増やしていけると安心につながりますね。
参考資料
・国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
・総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」
・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
・国税庁「No.2260 所得税の税率」