【月15万円以上も】日本の年金制度をわかりやすく解説!もらえる年金額と支援給付金の支給条件をチェック
厚生年金と国民年金の2階建て構造をおさらい。月15万円以上の人の割合や、少ない人が対象の「年金生活者支援給付金」の要件も丁寧に解説します
【月15万円以上も】日本の年金制度をわかりやすく解説!もらえる年金額と支援給付金の支給条件をチェック
2025年度公的年金は、前年度と比べ増額となっています。
国民年金の満額支給額は前年度比月1308円の増額で月額6万9308円。
また、平均年収約546万円で40年間勤務した夫(妻)と会社員経験のない専業主婦(夫)のモデル世帯の年金月額は月額4412円増額で月23万2784円です。
令和7年度の年金額の例
ただし、もらえる年金額は現役時代の働き方や平均年収などによって異なります。
そこで本記事では、年金を「月額15万円以上」受け取る人の割合をご紹介します。
年金の仕組みや、基礎年金を受給しており年金やその他の所得が一定基準額以下の方を対象とした「年金生活者支援給付金制度」についても解説するので、参考にしてみてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【年金の仕組みをおさらい】日本の年金制度は「2階建て構造」
はじめに、日本の年金制度の基本構造を確認しておきましょう。
公的年金は、すべての人が加入する「国民年金」と、会社員や公務員が対象となる「厚生年金」の2種類で成り立っています。
一般的に、国民年金が1階部分、厚生年金がその上に重なる2階部分として表現されることが多くあります。
日本の年金制度は2階建て
このため、厚生年金に加入していた会社員や公務員は受給額が比較的多くなりやすい一方で、自営業者や専業主婦(夫)など、厚生年金に加入していなかった人は、年金額が低くなる傾向があります。
厚生年金+国民年金で「月額15万円以上」を受け取る人は何パーセント?
厚生年金の2階部分を受給している人は、実際にどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
また、月額15万円以上の年金を受給している人の割合はどの程度かも気になるところです。
厚生労働省年金局の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金額の分布は以下のとおりとなっています。
【厚生年金受給者】月額15万円以上もらっている人は全体の何割?
年金受給額 割合
・月額1万円未満 0.28%
・月額1万円以上2万円未満 0.09%
・月額2万円以上3万円未満 0.31%
・月額3万円以上4万円未満 0.58%
・月額4万円以上5万円未満 0.61%
・月額5万円以上6万円未満 0.85%
・月額6万円以上7万円未満 2.34%
・月額7万円以上8万円未満 3.97%
・月額8万円以上9万円未満 5.44%
・月額9万円以上10万円未満 6.73%
・月額10万円以上11万円未満 7.01%
・月額11万円以上12万円未満 6.57%
・月額12万円以上13万円未満 5.97%
・月額13万円以上14万円未満 5.75%
・月額14万円以上15万円未満 5.89%
・月額15万円以上16万円未満 6.14%
・月額16万円以上17万円未満 6.39%
・月額17万円以上18万円未満 6.56%
・月額18万円以上19万円未満 6.37%
・月額19万円以上20万円未満 5.84%
・月額20万円以上21万円未満 4.99%
・月額21万円以上22万円未満 3.90%
・月額22万円以上23万円未満 2.72%
・月額23万円以上24万円未満 1.78%
・月額24万円以上25万円未満 1.18%
・月額25万円以上26万円未満 0.75%
・月額26万円以上27万円未満 0.45%
・月額27万円以上28万円未満 0.25%
・月額28万円以上29万円未満 0.13%
・月額29万円以上30万円未満 0.06%
・月額30万円以上 0.09%
・平均年金月額 14万3973円
※国民年金を含む
※厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの65歳未満の受給権者が含まれている
厚生年金を受給している人のうち、月額15万円以上の年金を受け取っている割合は47.6%です。
つまり、厚生年金受給者の約半数が月15万円以上の年金を得ている実態があります。
また、月額25万円以上の年金を受給する方も存在しています。
2025年度は国民年金の満額が月6万9308円であることから、厚生年金受給者の方が受給額が多い傾向にあることが確認できます。
年金が少ない方は「年金生活者支援給付金」をもらえる場合も
基礎年金を受給していて、年金やその他の所得が一定の基準以下である方は、「年金生活者支援給付金」の対象となります。
この制度は2019年に開始され、生活の安定を支援するために、公的年金に上乗せして支給されるものです。
年金生活者支援給付金は、基礎年金の種類に応じて3つのタイプに分かれています。
ここでは、その中でも「老齢年金生活者支援給付金」について説明します。
年金生活者支援給付金は2019年にスタートした制度
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
老齢年金生活者支援給付金は、以下のすべての条件を満たす場合に支給されます。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である
・前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は889300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は887700円以下※2である。
※1…障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2…昭和31年4月2日以後に生まれた人で789300円を超え889300円以下である場合、昭和31年4月1日以前に生まれた人で787700円を超え887700円以下である場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
本人の年金収入が少ないことに加え、同じ世帯に住む人も住民税が非課税であることが条件となります。
老齢年金生活者支援給付金の給付額は、月額5450円を基準に、保険料の納付期間などに応じて計算されます。
たとえば、20歳から59歳までの期間、毎月年金保険料を納めていた場合は、月々5450円を受け取ることができます。
物価上昇の影響で経済的に厳しい状況にある年金生活者にとって、この支援給付金は重要な助けとなるでしょう。
ただし、支給を受けるには申請が必要なため、該当する方は申請漏れに注意してください。
まとめ
ここまで年金受給額が月額15万円以上の方の割合について詳しく見てきました。
これを見ると年金の受給額の内訳としては厚生年金が多いため国民年金のみを受給予定の方は今のうちに対策をしておく必要があります。
昨今話題のiDeCoは節税効果を持ちながら資産運用が出来るので老後の生活資金の用意方法としては人気があります。
iDeCoの中でも元本保証があるものから、リスクを伴うものもありますのでまずは自分自身で詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方]第3 公的年金制度の体系(被保険者、保険料)」
・厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」