【年金生活者支援給付金の基準月額5450円】年金に上乗せで年金支給日にもらえる!「申請方法とは?具体的な手続きフローで要確認!」
- 暮らしを守る「年金生活者支援給付金」とは?
- 老齢年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
- 障害年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
- 遺族年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
- 【2025年度】年金生活者支援給付金「給付基準額はいくら?」
- 【年金生活者支援給付金】申請方法とは?
- パターン1:新規に老齢年金の受給が始まる人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
- パターン2:すでに年金受給中で、新規に年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
- 翌年以降の請求手続きは原則不要
- 年金には個人差あり
- 厚生年金の平均年金月額
- 国民年金の平均年金月額
- 年金で暮らすシニア世代の実態とは
- 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】
- 「勝手に振り込まれるわけではない」申請方法は要確認
「年金生活者支援給付金」日々の暮らしを守る年金に上乗せでもらえる給付金があるのはご存知ですか?
【年金生活者支援給付金の基準月額5450円】年金に上乗せで年金支給日にもらえる!「申請方法とは?具体的な手続きフローで要確認!」
先週は今年4回目の年金支給日でしたが、次の支給日は2か月先の10月15日になります。年金のみで日々の暮らしを支える方の中には「生活が苦しい」と感じることもあるかもしれません。実は、所得など一定要件に該当する方が対象の「年金生活者支援給付金」があるのはご存知ですか。2019年の消費増税からはじまったこの制度、年金に上乗せして給付金がもらえるしくみになっています。今回は、年金生活者支援給付金の対象者は具体的な金額など解説していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
暮らしを守る「年金生活者支援給付金」とは?
基礎年金を受給中の人で、一定の要件を満たす場合「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。
「年金生活者支援給付金」は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類。
支給要件や支給金額は、それぞれの給付金ごとに定められています。
出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
老齢年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
老齢年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
障害年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
障害年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
・障害基礎年金の受給者
・前年の所得(※)が472万1000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
遺族年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
遺族年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
・遺族基礎年金の受給者
・前年の所得(※)が472万1000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
「年金生活者支援給付金」の支給要件には、いずれの場合も前年の所得額が関わっています。
【2025年度】年金生活者支援給付金「給付基準額はいくら?」
「年金生活者支援給付金」の給付額は、公的年金と同じく物価変動に応じて見直しがおこなわれるルールです。
2025年度の給付額は前年度より2.7%引き上げられ、6月支給分(4月・5月分の給付金)から増額率が適用されています。
2025年度の支給金額は以下の通りです。
出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円
・障害年金生活者支援給付金:障害等級1級 月額6813円・2級 月額5450円
・遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
なお、老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて実際の給付額が算出されます。
【年金生活者支援給付金】申請方法とは?
「年金生活者支援給付金」は、公的年金と同様に請求手続きを行わないと、受け取ることができません。
ここでは、該当する人が多い2つのパターンについて、請求手続きの方法を見ていきます。
パターン1:新規に老齢年金の受給が始まる人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
・65歳になる3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封され、「年金生活者支援給付金請求書」が入った封筒が届きます。
・必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出します。
パターン2:すでに年金受給中で、新規に年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
・毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。必要事項を記入し、切手を貼って郵便ポストに投函します。
・原則として、請求した月の翌月分からの支給となるため、早めの手続きをおすすめします。
翌年以降の請求手続きは原則不要
なお、一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り翌年以降の手続きは原則不要(※)となり、継続して受給することができます。
※年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報等に基づき、継続支給の判定が行われます。継続支給の判定結果は、毎年10月分(支払いは12月)から1年間反映されます。
年金には個人差あり
シニア世代がどの程度年金を受け取れているかも気になりますね。
ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータから、国民年金と厚生年金の平均年金月額を、男女全体・男女別に見ていきましょう。
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
会社員などが受け取る厚生年金(国民年金部分を含む)の受給額は、現役時代の働き方、厚生年金の加入月数とその期間の収入などより、大きな個人差が生じます。
そのため、平均年金月額が2万円未満の人から25万円超の人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばりが見られるのです。
ずっと自営業だった人などで国民年金のみを受給する場合、男女ともに平均年金月額は5万円台です。満額受給できた場合でも、月額6万9308円(2025年度)。
国民年金のみを受給する場合、厚生年金ほどの個人差はありませんが、老後資金を手厚く準備していく必要がありそうです。
年金で暮らすシニア世代の実態とは
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。
まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
しかし、これはあくまで全体の平均値です。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。
「勝手に振り込まれるわけではない」申請方法は要確認
今回は、公的年金受給者を支える「年金生活者支援給付金」について解説しました。年金だけでは生活が苦しいと感じている方も、この給付金を受け取ることで、経済的なゆとりにつながる可能性があります。
この給付金は、ご自身で請求手続きを行わないと受け取ることができません。毎年届く手続きの案内を見逃さず、該当する方は早めに手続きを済ませることが大切です。
公的年金のみで生活する世帯が多い中、もらえるはずの給付金を見逃すのはもったいないことです。ぜひ、ご自身の状況と照らし合わせて、受給要件を満たしていないか確認してみてください。
参考資料
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」