70代の母の「実家じまい」。 不用品処分費用6万5千円、時間を味方にした片付けのコツ3つ

いつかは向き合う日が来る「実家の片付け」や「実家じまい」。思い出品を手放すことはなかなか難しかったり、ものがいっぱいあることで費用がかさむなど、考えれば考えるほどその悩みは尽きませんよね。そこで今回は、片付けコンサルタント下村志保美さんが、70代になってから実家の片付けを始めたお母さまの事例から学んだことをご紹介します。

「実家じまい」でかかった費用と母の工夫, 1:時間を味方にする, 2:イベントや地域サービスを活用, 3:墓じまい・仏壇じまいは丁寧に, 50代、家じまいをした70代の母から学んだこと

70代の母の「実家じまい」から学んだこと

【写真】空っぽになった、実家の和室

「実家じまい」でかかった費用と母の工夫

2025年3月、母が愛媛の自宅を手放し、ケアハウスに入居。私は東京に住んでいるため、自分のものの確認も含めて数回は手伝いましたが、実家の片付けはほとんど母がひとりで進めました。

私は引っ越し当日に荷造りや搬出&搬入を手伝っただけでしたが、地方の戸建ての家を丸ごと空っぽにした「実家じまい」は、不用品の処分費用がわずか6万5千円ですみました。

実家じまいというと不用品の処分だけで「数十万円~100万円以上かかる」と聞くことも多いですが、どうしてここまで安くすませられたのか。その背景には、母の計画性と工夫がありました。ここからは、母の実践から学んだ3つのポイントをご紹介します。

1:時間を味方にする

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母が住む自治体では、年間6回まで粗大ごみを無料で出すことができました。そこで、この制度を数年間フル活用し、引き取ってもらえる粗大ごみの範囲内で、季節ごとに不要な家具や家電を少しずつ処分。

「思い立ったらすぐ」ではなく、「予定を立てて少しずつ」進めたことが大きな節約とつながりました。

もし母亡きあと、私が東京からまとめて片付けを行っていたら、滞在日数の制限から回収業者に依頼するしかなく、費用は10倍以上になっていたはずです。実家じまいは時間との戦いではなく、時間を味方にすることが節約のカギです。

2:イベントや地域サービスを活用

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母は、地元の葬儀社が開催する「人形供養」「写真供養」を活用し、捨てにくい思い出の品を納得して手放しました。

●着物やピアノ…思い出品の行方

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・大きな工芸品の座卓→ お寺に寄進

・ピアノ→ 譲渡先を探してもらう 

・着物や衣類→途上国支援になるキットを活用

・庭木の伐採→ シルバー人材センターに依頼(18000円)

「もったいない」という気持ちは、処分先にストーリーがあると整理しやすくなります。母は「引き取ってくれる先があると気持ちが軽くなる」と話していました。

3:墓じまい・仏壇じまいは丁寧に

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いちばん費用がかかったのは墓じまい・仏壇じまい(永代供養代含む)で115万円です。

母は、「東京で暮らす娘に墓参りの負担をかけたくない」「娘の家に大きな仏壇を置くのは忍びない」という想いがあったからこそ、この決断に長く悩んでいました。しかし、最終的には信頼できるお寺と業者にお願いし、丁寧に供養してもらえたことで心から納得していました。

費用は高くても、「あとに残る安心感」という価値は何物にも代えられません。

50代、家じまいをした70代の母から学んだこと

私は自分自身が片付けのプロということもあり、実家の片付けは全面協力するつもりでした。高齢の母が家具を解体したり、運んだりすることは怪我の心配もありますし、不要な食器を不燃ゴミの日にゴミ捨て場に運ぶのも大変だったと思います。

母の思いは「娘に迷惑をかけたくない」ただただそれだったでしょうし、一方で「できるだけ周囲に迷惑をかけない生き方、死に方をしたい」そういう強い気持ちの表れだと思います。

実家がなくなったことは少し寂しくはありますが、このタイミングで母が家を片付けてくれたことは感謝しかありません。次は私の番です。

まだまだ元気で働いている50代の私ですが時間を味方につける片付けを進めていきたいので、今日からまた少しずつ身の回りをこざっぱりと片付け始めたいと思います。