中国で経営者が相次いで自ら命を絶つ異常事態が発生…バブル崩壊後、多くの日本企業にトドメを刺した大問題が中国でも起こっていた

前編記事『スターバックスがついに中国事業の売却を検討し…悪化の一途をたどる中国経済が最後に頼る“ヒト型ロボット”衝撃の中身』では、中国経済の変わらぬ苦境とそのなかでヒト型ロボットについて注目があつまる背景を見てきた。

相変わらず厳しい不動産市場

中国政府は技術開発を柱に経済のテコ入れを図ろうと躍起だが、不況の大本の原因である不動産市場の不調は相変わらずだ。     

7月の新築住宅価格は前月比0.3%下落した。中古住宅の下落幅も拡大しており、6月時点で前年同月比7.2%減と大幅な落ち込みを見せた。1~7月の不動産投資も前年同期に比べ12%減少した。1~6月は11.2%減だった。

相変わらず中国の不動産市況は厳しいPhoto/gettyimages

地方政府による住宅購入支援策が功を奏さないため、中国政府は新たな対策を講じざるを得なくなっている。ブルームバーグは14日、「中国政府は国有企業を動員し、苦境にある不動産開発企業から売れ残った住宅を買い取らせる計画を進めている」と報じた。

巨額の政府資金でも不十分

中国人民銀行(中央銀行)が昨年用意した3000億元(約6兆円)の資金を活用するとしているが、不動産市場の活性化には不十分だと言わざるを得ない。中国で売れ残っている住宅在庫は約20億戸に達しており、桁違いの資金が必要だとされているからだ。中国の不動産市場に再び春がやってくることを期待するのは無理なのだ。

ついに上場廃止となった恒大集団(Photo/gettyimages)

気がかりなのは、不動産危機の象徴となっている中国恒大集団の株式の香港市場での上場が8月25日に廃止されることが決定したことだ。昨年1月に裁判所から清算手続きを言い渡された際の負債額は2500億元(約50兆円)だったが、不良債権の処理はほとんどなされていない。 

中国ではその後も大手不動産企業の経営破綻が相次いでおり、金融システムに悪影響が及ぶリスクは日増しに高まるばかりだ。

中国でも貸し渋りが始まった

中国人民銀行によれば、7月の人民元建て新規融資は500億円(約1兆円)のマイナスになった。銀行の新規融資額が借り手からの返済額を上回ったのは2005年7月以来20年ぶりのことであり、前月からのマイナス幅も1999年12月以降で最大だった。 

内訳をみると、家計向け融資は4893億元(約9兆8000億円)減少し、企業向け融資は6月の1兆7700億元(約25兆4000億円)から600億元(約1200億円)に急減した。

バブル崩壊の日本が経験した銀行の貸し渋りが、中国でも本格化した証左だ。

中国最大手家具チェーンの一つ居然之家の経営責任者が自ら命を絶ったPhoto/gettyimages

その弊害が既に現れている。中国では今年4月以降、起業家の自殺が4件も起きている。中には中国最大の家具小売りチェーン「居然之家」の董事長(社長やCEOにあたる)だった汪林朋氏ら著名経営者も含まれていた。専門家は「貸し渋りが民営企業の経営を圧迫している」と危惧している。

日本の例にならえば、貸し渋りは金融危機の予兆だ。中国経済がさらに悪化するのは間違いないのではないだろうか。

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