【年金生活者支援給付金】対象なら月額約5450円が年金にプラス!「対象となるのはどんな人?所得基準はいくら?」気になる疑問を分かりやすく解決
【請求書は9月発送】はがきが届いたらどこを書けばいい?記入例つきで解説!
【年金生活者支援給付金】対象なら月額約5450円が年金にプラス!「対象となるのはどんな人?所得基準はいくら?」気になる疑問を分かりやすく解決
夏の暑さが続く8月は、冷房の使用や食材の高騰など、日々の暮らしにかかる費用が増えやすい時期です。年金だけで生活している方にとっては、いつも以上に家計のやりくりに悩む季節かもしれません。
そんななか、少しでも生活を支える制度として活用したいのが「年金生活者支援給付金」です。この制度は、所得が一定以下の年金受給者を対象に、年金に上乗せして給付金が支給される仕組みですが、原則として自ら申請する必要があります。
この記事では、制度の概要や支給金額に加え、実際の請求書の記入例も紹介しながら、申請のポイントをわかりやすく解説します。「自分は対象なの?」という方も、この機会にぜひチェックしてみてください。
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年金には個人差がある
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で14万円台です。
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
ただしグラフのように、厚生年金を月額30万円以上受け取っている人もいれば、国民年金・厚生年金ともに月額3万円未満となる人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばっています。
年金とその他の所得を含めても一定基準以下の所得となる場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。
年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得額が一定基準以下の年金生活者を支援するために、2019年にスタートした制度です。給付金は2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。
受給中の年金によって、以下3種類の年金生活者支援給付金があり、それぞれに、支給要件と支給額(基準額)が設定されています。
・老齢年金生活者支援給付金
・障害年金生活者支援給付金
・遺族年金生活者支援給付金
【2024年→2025年】年金生活者支援給付金の支給金額
2025年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、前年度から2.7%引き上げとなりました。
出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
【2025年度】
・老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
・障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
老齢年金生活者支援給付金については、この基準額に基づき保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。
上記はいずれも「月額」の金額です。支給日には2カ月分まとめて、年金に上乗せされます。上記の金額通り受給できる場合、1回の支給で約1万円、年額にすると約6万円受け取れます。
なお、「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4014円、障害年金生活者支援給付金5555円、遺族年金生活者支援給付金5057円です。
※2024年3月において認定されている平均給付金額です。
「年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
年金生活者支援給付金の支給要件について見ていきましょう。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が472万1000円以下の人です。
給付金の判定に用いる所得は、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、扶養親族などの数に応じて、所得の基準額は上がります。
「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外の要件がいくつか加わります。
「老齢年金生活者支援給付金」支給対象
出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下
老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
補足的老齢年金生活者支援給付金とは?
前年の年金収入金額とその他の所得の合計額が、1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。
申請しないともらえない!「年金生活者支援給付金請求書」の書き方をチェック
年金生活者支援給付金を受け取るためには、請求手続きが必要となります。支給対象になったら自然に年金に上乗せされるわけではありません。
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が届きます。同封された給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。
はがき(年金生活者支援給付金請求書)の記入例
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和6年度)」
すでに年金を受給中の人で、所得が下がり年金生活者支援給付金の対象となった場合は、毎年9月1日以降、順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。請求書の太枠内を記入し、郵便ポストに投函すれば手続きできます。
なお、すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なります。
毎年手続きが必要?
年金生活者支援給付金は、一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り2年目以降の手続き不要で継続受給が可能です。
継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。支給対象外となった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
なお、毎年度(4月分から)の支給金額は、毎年6月上旬に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」および「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認できます。
均等割・所得割ともに支払いが免除「住民税非課税世帯」とは
老齢年金生活者支援給付金の支給要件に含まれる「住民税非課税世帯」という区分は、さまざまな公的支援や給付金の対象判定基準として広く用いられています。
《住民税のキホン》
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となります。
個人住民税は、所得に応じて税額が決まる「所得割」、所得に関係なく一律課税となる「均等割」の合計です。
「住民税非課税」は、均等割・所得割どちらも免除となるケースです。そして世帯全員が住民税非課税となる世帯は「住民税非課税世帯」となります。
※なお「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。
住民税が非課税となる要件は3つ
以下の3つのいずれかに該当する場合、住民税が非課税となります。
・生活保護を受けている
・障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
・前年の所得が各市町村の基準を下回る
上記の1と2は全国共通の要件ですが、3の所得要件については、自治体ごとに基準が異なります。また、同じ所得基準であっても、扶養親族の人数、収入の種類、年金収入の場合は年齢などによって、非課税となるボーダーラインは変動します。
ご自身の世帯が住民税非課税世帯に該当するかどうか、または何らかの支援制度の対象となるかについては、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせください。
公的制度+自助努力で安心の老後を目指す
ここまで、年金生活者支援給付金についてご紹介してきました。老後の暮らしを少しでも支えてくれるこうした制度があるのは心強いものです。
とはいえ、年金制度そのものに不安を感じている方も多いのが現実です。少子高齢化が進むなかで、今後の年金受給額が減ってしまうのではと心配している人もいるかもしれません。
将来の生活を安心して送るためには、公的制度に頼るだけでなく、自分自身の年金見込み額を把握し、どのくらい不足するのかを考えることが大切です。そのうえで、必要に応じて備えをしておくと安心ですね。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和6年度)」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
・総務省「個人住民税」