ボクシング 井上尚弥がロサンゼルス入り~空港からジムへと弾丸大移動 米国でもVIP待遇

公開練習で太田光亮トレーナー(手前)とミット打ちを行う井上尚弥(Mikey Williams/Top Rank)
【ロサンゼルス23日(日本時間24日)】プロボクシングの4団体世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(32)=大橋=が当地に到着。ジムに直行し、5月4日(同5日、ラスベガス)の防衛戦に向けて、公開練習を行った。対戦相手のWBA1位、ラモン・カルデナス(29)=米国=とも初対面。今後の野望についても言及し、「格闘技の殿堂」と呼ばれるマディソン・スクエア・ガーデン(ニューヨーク)での試合を希望した。
午前中にロサンゼルス国際空港に降り立った井上は、同市内のウエストサイド・ボクシング・クラブに直行した。直前に同ジムで公開練習を行っていたカルデナスと初対面。2ショット撮影後には最初の〝フェースオフ〟が実現し、7秒間にらみあった。
「判定決着は望んでいない。盛り上がる試合をしたい。自信しかない」
23日に父の井上真吾トレーナーや、弟でWBA世界バンタム級前王者の井上拓真(大橋)らと日本を出発。タフなチャンピオンは時差ぼけも「到着したばかりだから何も感じない」と、すぐにジムで体を動かした。初練習には日米合わせて70人超の報道陣が集結。約15分間、シャドーボクシングやミット打ち、サンドバッグ打ちを披露し、強烈なパンチを放った。
米国での試合は2021年6月以来4度目。日本人ボクサーが約2万人収容のボクシングの〝新聖地〟Tモバイル・アリーナで試合を行うのは初めてだ。近年、多くのビッグマッチが行われているメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(スペイン語で5月5日)」ウイークに米ニューヨーク(2日)、サウジアラビア(3日)、ラスベガス(4日)で開催される3日連続の大興行でメインイベンターを任された。
「歴史的な日というのは知っている。ここ(米国)に戻ってくるまで4年かかったけど、またすぐやりたいなと思っている」
今後、米国で試合をしたい会場を問われると「ニューヨーク」と即答し、マディソン・スクエア・ガーデンを希望した。「格闘技の殿堂」と呼ばれ、19世紀からプロレスやボクシングのビッグマッチが組まれてきたが、メインアリーナで世界戦を闘った日本人ボクサーはこれまでいない。
米老舗専門誌「ザ・リング」の全階級を通じた最強ランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で現在2位。「9月、12月、来年の4月、この3つをクリアすれば1位に返り咲ける。ムロジョン(・アフマダリエフ)、ニック・ボール、中谷(潤人)」と対戦を計画している相手の名前を試合順に挙げ、PFP1位奪還にも意欲を見せた。
対戦相手のカルデナスは通称「ディナミタ」(スペイン語でダイナマイト)と呼ばれる強打者。「すごくやりやすい選手。カルデナスがどう出てきても対応できる準備はしている」と涼しい顔で必勝を誓った。米国に再上陸した〝モンスター〟が本場のファンに衝撃を与える。(尾﨑陽介)
★マディソン・スクエア・ガーデン
米ニューヨークのマンハッタンにある約2万人収容の多目的アリーナ。1874年にマディソン・スクエア公園の北側で開業。1878年から現名称となった。改築、移転を経て、1968年に現在の場所に移転。米プロバスケットボールNBAのニックスなどが本拠地として使用。「格闘技の殿堂」と呼ばれ、ボクシングでは71、74年のムハマド・アリ対ジョー・フレージャーなど、多くのビッグマッチを開催。プロレスではジャイアント馬場、アントニオ猪木、藤波辰巳らがリングに上がったことがある。

最初のフェースオフを行った井上尚弥(左)とラモン・カルデナス(Mikey Williams/Top Rank)