りくりゅう成長の裏側に「楽しむ」 SP、フリーともに自己ベスト更新 苦悩の日々乗り越え五輪メダルへ兆し

19日に行われた世界フィギュアスケート国別対抗戦で華麗な演技を披露する三浦璃来、木原龍一組
フィギュアスケートペアで、3月の世界選手権優勝の“りくりゅう”こと三浦璃来(23)、木原龍一(32)ペア=木下グループ=が、19日まで行われた今季最終戦の国別対抗戦でSP、フリーともに自己ベストをたたき出した。不調に悩んだシーズン序盤だったが、終盤にかけて尻上がりに調子を上げ、五輪プレシーズンを完走。結果を求める中でも必要だったのは、2人でのスケートを「楽しむ」ことだった。
三浦、木原組がミラノ・コルティナ五輪プレシーズンを最高の形で締めくくった。2月の四大陸選手権、3月の世界選手権で優勝すると、17~19日に行われた世界国別選手権ではSP、フリーともに自己ベスト。木原は「一番大切な『楽しむ』っていうことを思い出せた」と自信を得た。
苦悩の日々を乗り越え、五輪メダルへの兆しが見え始めている。木原は今季「気持ちと体が一致していない時期があった」と話す。シーズン序盤は昨季のケガの影響や、精神面の不安定さもあり、三浦も「最初は本当に良くなかった」。ベストを追い求めても、理想とは離れた結果に頭を悩ませてきた。
それでも最終盤でベストを発揮。そのわけは、2人のモットーである「楽しむ」ことを思い出せたからだ。木原は結果が出なかった時期を「結果を求めすぎて2人で滑れる楽しさを忘れてしまっていた」と話す。ただ「失敗がなければその思いにたどり着けなかった」とも言い、苦しい時期があったからこそ原点に返ることができた。
努力を結果に結び付けるため、今季唱えてきたのは「ケガをしないこと」だった。言葉通り、今季は大きなケガなく全試合に出場。三浦は「来シーズンもケガなく、最初から滑り込んでいければシーズン後半にピークを合わせられる」と、五輪に照準を合わせた。
来季のプログラムについて、既に話し合いを進めている2人。木原は「どのオーダーが一番気持ち良くやれるか確実に答えは出た」。中でも課題であるフリーの演技後半のジャンプに木原は「スロー(ジャンプ)は、もう少し余力を残した方がいいのかな」、三浦は「ルッツが後半になると(着地が)両足になる。前回のオリンピックと一緒の構成にしたい」と思案している。
フリーでは「ミスがあっても140点を超えた。ノーミスなら150点も夢じゃない。そこを目指したい」と三浦。木原は「10年前は思い描けなかったが、150点、2人で楽しみながら出したい。挑戦できる楽しさが見つかって良かった」。前を向いた世界王者が、大舞台で強さを見せつける。(デイリースポーツ・南香穂)