【米国市況】S&P500が最高値、CPIで利下げ観測強まる-円上昇
(ブルームバーグ): 12日の米株式相場は反発。7月の米消費者物価指数(CPI)がほぼ予想通りの内容となり、9月の利下げ観測が強まった。
S&P500種株価指数 | 6445.76 | 72.31 | 1.13% |
ダウ工業株30種平均 | 44458.61 | 483.52 | 1.10% |
ナスダック総合指数 | 21681.90 | 296.50 | 1.39% |

Traders At The NYSE As S&P Futures Rise As EU-US Deal Eases Trade Fears
S&P500種株価指数は6400を上回り、史上最高値を更新。ナスダック100指数も最高値を更新した。小型株で構成するラッセル2000指数は3%高。
7月のCPIは、食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが加速。前月比では1月以来の大幅上昇となった。一方で財の価格は緩やかな伸びにとどまり、関税による物価上昇圧力への懸念は和らいだ。
コアCPIは前月比0.3%上昇。市場予想と一致した。総合CPIも前月比の伸びは予想通りだった。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのエレン・ゼントナー氏は、「インフレは上昇傾向にあるが、一部で懸念されていたほどの伸びには至らなかった」と指摘。「短期的には、こうした数字を市場は好感する可能性が高い。連邦準備制度理事会(FRB)が労働市場の弱さに焦点を当て、9月利下げの選択肢を維持できるとみられるためだ」と述べた。
株式相場は人工知能(AI)への持続的な熱狂や堅調な企業業績にも支えられている。
ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「株価は上昇し続ける可能性がある。調整が始まるには、インフレ数値のもっと大幅な上昇、あるいは市場への別のショックが必要になるだろう」と話した。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのアレクサンドラ・ウィルソンエリゾンド氏は「FRBの政策スタンスは極めてデータ次第だ。インフレは抑制され、労働市場の軟化が雇用データの修正で一段と明白になっていることから、今後は雇用に重きが置かれるだろう」と指摘。「今回のインフレ統計は9月に保険としての利下げに踏み切るというシナリオを後押しする。これが相場を動かす主要な材料になる」と述べた。

S&P 500 Hits Record as CPI Not as Bad as Feared
トランプ米大統領は、ソーシャルメディアへの投稿で、FRBの金利据え置き決定を巡りパウエルFRB議長を再び批判。FRB本部の改修工事に関しても改めてパウエル氏を非難した。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは依然として明確ではないとの認識を示した。米カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、当面の金利据え置きを支持する意向を示した。力強い経済活動がインフレ圧力を高めるのを防ぐためだとしている。
国債
金融政策に敏感な米2年債利回りは低下。短期金融市場が織り込む9月の利下げ確率は約90%に上昇。CPI発表前はおよそ80%だった。
米30年債利回り | 4.88% | 2.5 | 0.52% |
米10年債利回り | 4.29% | 0.2 | 0.04% |
米2年債利回り | 3.73% | -4.0 | -1.05% |
米東部時間 | 16時41分 |
CPI統計発表直後には各年限の利回りがそろって低下したが、その後はおおむね上げに転じた。7月はコアCPIが前年同月比では3.1%上昇と、2月以来の高い伸びを示した。
クレジットサイツのマクロ戦略責任者ザカリー・グリフィス氏は「インフレで上方向のサプライズを回避しただけでも、市場が一段の利下げを織り込むには十分かもしれない」と指摘。「当社では今回の統計をニュートラルとみているが、FRBは9月に利下げを実施するだろう」とし、「政策当局者の主要な関心は労働市場に移っている」ため、恐らく0.5ポイントの利下げになるとの見方を示した。
ナティクシス・ノース・アメリカの米金利ストラテジスト、ジョン・ブリッグス氏は、FRBの利下げにブレーキをかけかねない「もっと悪い数字を市場は警戒していたようだ」と話した。

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外為
ブルームバーグ・ドル・スポットは下落。円は対ドルで上昇し、一時0.4%高の1ドル=147円58銭を付けた。
ブルームバーグ・ドル指数 | 1203.14 | -5.02 | -0.42% |
ドル/円 | ¥147.84 | -¥0.31 | -0.21% |
ユーロ/ドル | $1.1674 | $0.0059 | 0.51% |
米東部時間 | 16時41分 |
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のエコノミスト、ティファニー・ワイルディング氏は「インフレ圧力はかなり管理可能な状況だと見受けられる」と指摘。「FRBにとって、これは非常に良い兆候だ」と述べた。
スコシアバンクのチーフ通貨ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「前年比の総合CPIが予想を下回っただけで、短期的にドルの上値を押さえるには十分だ」と話した。
トランプ大統領が米労働省の次期労働統計局(BLS)局長に指名した保守派ヘリテージ財団のチーフエコノミスト、EJアントニー氏が、毎月の雇用統計発表を停止し、四半期ベースに切り替えることを提案したと伝わると、ドルは下げ幅を拡大した。

ドル・円の推移
原油
ニューヨーク原油先物は反落。夏枯れ相場となる中、市場では15日に行われる米ロ首脳会談で、対ロ制裁緩和につながるかに注目が集まっている。
この他、米中による高関税の一時停止措置延長、FRBの利下げを後押しする内容となった7月の米CPI統計を消化する動きとなった。
米エネルギー情報局(EIA)は短期のエネルギー見通しで、長年にわたり増産傾向にあった米国内の原油生産が来年、減少に転じるとの予想を示した。国際エネルギー機関(IEA)は13日に月報を公表する予定。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は、前日比79セント(1.2%)安の1バレル=63.17ドル。ロンドンICEの北海ブレント10月限は0.8%下落し66.12ドルで引けた。

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金
金スポット価格は上昇。ただ、プラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な展開となった。米CPI統計など複数の要因が意識された。
CPI統計では、財価格の伸びが抑制されていることが示され、9月の利下げ観測が強まった。利子のつかない金にとって、金利が下がれば追い風となる。
金スポット価格は一時、0.5%値上がりする場面もあった。次期労働統計局(BLS)局長に指名されたEJアントニー氏が雇用統計について月次の公表停止を提案したと伝わり、ドル売りが優勢となったことが背景。ドル建てで取引される金にとって、ドルが下がれば割高感が薄れる。
また金が関税対象となるかどうか、市場は正式発表を待っている。トランプ氏は11日、金輸入に関税をかけることはないと明言したが、詳細については触れていなかった。
スポット価格はニューヨーク時間午後15時23分現在、前日比4ドル高の1オンス=3346.38ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、5.70ドル(0.2%)安の3399.00ドルで引けた。
原題:Stocks Hit Record as CPI Fuels Bets Fed Will Cut: Markets Wrap(抜粋)
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