ロレンソ、対照的なドゥカティのふたりを分析「バニャイヤは現実を悟った。マルケスは驚異的だ」

 2025年のMotoGP前半戦において、ドゥカティが最も強力なチームだったことに疑いはないが、マルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイヤの状況は対照的であり、時には正反対のパフォーマンスを示してきた。

 今季からファクトリーチームに加わったマルク・マルケスは、12戦でポールポジション7回、スプリント11勝、決勝8勝と圧巻のパフォーマンスを発揮。最後にタイトルを獲得した2019年から止まっていた時が動き出したかのように、依然として最高のライダーであることを証明している。

 ランキングでもマルク・マルケスは、弟のアレックス・マルケス(グレシーニ)に120ポイント差をつけており、9度目の世界タイトル、MotoGPでは7冠目をほぼ手中に収めている。

 一方、チームメイトのバニャイヤはポールポジション1回。スプリントでは勝利がなく、決勝ではアメリカズGPを制したのみ。今季バイクとの相性がこれまでほど良くなく、特にブレーキングとコーナー進入時に苦戦。レース週末のアプローチを変更しても状況は好転せず、ますますフラストレーションと絶望感を募らせている。

 ドゥカティの内情を知っており、チームメイト間の激しいライバル関係やマルク・マルケスとコンビを組んだ経験を持つ3度のMotoGP王者ホルヘ・ロレンソは、ふたりの状況を分析した。

Jorge Lorenzo

 現在DAZNの解説者を務めるロレンソは、イタリアのメディア『モトスプリント』のインタビューで、困難に対処するバニャイヤのアプローチを評価しつつも、彼は現実を認識しているとし、マルク・マルケスが止められないレベルにあると説明した。

「バイクに乗る際のフィーリングに関わらず、バニャイヤは現実を認識している。マルクは驚異的な存在だということにね」とロレンソは言う。

「マルクは彼よりも(ドゥカティでの)経験が少ない状態でバイクに乗り、すぐにスピードを発揮した。彼は10年や15年に一度現れるようなライダーのひとりで、バレンティーノ・ロッシ、ケーシー・ストーナー、またはホルヘ・ロレンソと同じカテゴリーに属する。数字上、僕たちよりを上回っているが、バレンティーノに追いつくためにはもうひとつタイトルが必要だ」

 バニャイヤがシーズン後半の10戦で状況を変えることができるか尋ねられ、ロレンソは率直にこう答えた。

「私が評価しているペッコ(バニャイヤ)の素晴らしい点は、彼が決して諦めないこと、自分の才能とスピードに自信を持っていることだ。昨年、彼はいくつかの厳しいレースを経てトップに戻ることができたから、(今季も)最後まで挑戦し続けるだろう」

「マルクのレベルを考えると簡単ではないが、ペッコは若く、それが有利に働くかもしれない」

 またロレンソは、今季最も驚かされたライダーとして、アレックス・マルケスを挙げた。スペインGPでMotoGP初優勝を挙げたアレックス・マルケスは、今季安定して高いパフォーマンスを発揮。決勝で6度の2位フィニッシュを飾り、前述のようにランキング2番手につけている。

「こんなシーズンになると予想した人はいなかっただろう。彼はほぼ常に表彰台に立っている。彼の成長を称賛する」

 さらにロレンソは、現役時代に慣れ親しんだ古巣ヤマハの進歩についても言及。大苦戦が続いていたヤマハだが、一発の速さという面で大きく改善しており、今季はファビオ・クアルタラロが4回のポールポジションを獲得している。

「1周のスピードはすでに最初の一歩だ。予選でも遅ければ、さらに深刻な問題になる」

「新品タイヤを履いた時のスピードは既にある。今、彼らは(レース)ペースを改善する必要がある。イギリスGPでは、技術的なトラブルがなければクアルタラロが優勝していたはずだ」

 MotoGPは約1ヵ月のサマーブレイクを終え、8月15~17日のオーストリアGPで再開される。

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