かつてはフェルスタッペンと肩を並べた男、リカルドの落日。F1キャリア晩節を汚したパフォーマンス低下は過去の“お荷物”が原因?

 元F1ドライバーで、レッドブルF1の初代ドライバーも務めたデビッド・クルサードが、ダニエル・リカルドがF1キャリア後半にかけてパフォーマンスを落とした原因について見解を述べた。

 リカルドはレッドブルの育成ドライバーとして、2011年シーズン途中にHRTからF1デビュー。翌年からトロロッソ(現在のレーシングブルズ)に移籍すると、2014年にはマーク・ウェーバーの後任としてレッドブルに昇格してセバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンらとコンビを組み、7勝をマークした。

 その後リカルドは2018年にルノーへ移籍することを選び、トップ争いから離れることとなった。

「上手く進化するドライバーもいる。(チームの)成功に左右され、影響を受けるドライバーもいる。ダニエル・リカルドは、その例だろう」

 クルサードはポッドキャスト『High Performance』に出演した際にそう説明した。

 リカルドはルノーで2度表彰台を獲得した後、マクラーレンに加入して2021年のイタリアGPではグランプリ8勝目を挙げたが、同チームでの2年を通してチームメイトのランド・ノリスに後れを取っていた。

 それによりリカルドは2022年限りでレギュラードライバーのシートを喪失。翌年はサードドライバーとして古巣レッドブル陣営に戻ると、シーズン半ばからニック・デ・フリーズの後任としてアルファタウリでF1復帰を果たしたが、かつてのような姿を見せることはできなかった。

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「彼はF1に現れた輝かしい若き才能のひとりで、同世代では最高のオーバーテイクを見せるドライバーのひとりだった。見ていて常にエキサイティングだった」とクルサードは続けた。

「そして突然レッドブルを去った。ルノーではまずまずだった。マクラーレンではレースに勝ったものの、ランドが2年連続で彼の成績を上回った」

「その後、アルファタウリでは上手くいかなかった。今、彼は幸せな引退生活を送っているし、金銭的にも豊かだろう。しかしあまりにも短い期間に全てが凝縮されているように感じた」

David Coulthard

 リカルドのキャリアを変えた原因について尋ねられたクルサードは、キャリアを重ねると、がむしゃらに走っていたルーキー時代とは背負うモノも変わってくるとして「人生を歩むにつれて荷物が増えていく」と説明した。

「もし貧乏なら、スーパーのバッグに数着の服を入れればいい。もし金持ちならルイ・ヴィトンだ。しかしいずれにしても、全て持ち運ばなければいけないんだ」とクルサードは続けた。

「富の荷物であろうと、成功の荷物であろうと、貧しさや困難の荷物であろうと、次のチャンスを得るためには運ばなければならない。人によっては、その荷物を手放すことができず、最も自由で最高のパフォーマンスを発揮できた瞬間に立ち戻ることができない場合もある」

 リカルドは2024年のシンガポールGPを最後にF1を離れ、キャデラックからの復帰説が浮上したものの、本人は消極的と見られている。

 レッドブル時代にコンビを組んだフェルスタッペンはその後ドライバーズタイトルを4回獲得。リカルドとは明暗が別れた。ただ、その古巣ではフェルスタッペンを相手にリカルドの後任たちが軒並み苦戦を強いられ、現在のチームは、コンビふたりが着実にポイントを重ねるライバルに太刀打ちできずにいる。

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