【新日本】タイチ『G1』最終戦でボルチンに敗れるも「堂々の最下位だったって書いてくれや」と胸を張る

【新日本】タイチ『G1』最終戦でボルチンに敗れるも「堂々の最下位だったって書いてくれや」と胸を張る

新日本プロレスは8月10日(日)、群馬・Gメッセ群馬にて“真夏の最強戦士決定戦”『G1 CLIMAX 35』第15戦を開催した。

『G1 CLIMAX 35』

日時:2025年8月10日 (日) 13:30開場15:00開始

会場:群馬・Gメッセ群馬

観衆:2,053人(札止め)

Aブロック公式戦で、NEVER無差別級王者のボルチン・オレッグがタイチとの1年越しの再戦を制し、決勝トーナメント進出へ望みを繋いだ。しかし、この日の主役は勝者だけではなかった。敗れたタイチが示した“敗者の美学”と、二人の間に生まれた確かなリスペクトが、観客の胸を熱くさせた。

昨年のG1出場を懸けたトーナメント決勝で、タイチを破りその座を掴んだボルチン。一方、今年は予選敗退から、欠場者発生によるガントレットマッチを制し、“敗者復活”でG1の舞台に返り咲いたタイチ。対照的な立場の両者が、それぞれのG1最終戦で激突した。

試合は、ボルチンの圧倒的なパワーと、それを相撲殺法や老獪なテクニックでいなすタイチという、異種格闘技戦のような様相を呈した。ボルチンがベアハッグでタイチの腰を破壊しにかかれば、タイチもジャンピングハイキックで応戦。終盤には、ボルチンのラリアットとタイチのアックスボンバーが何度も激しく交錯する、壮絶な打撃戦となった。

最後は、ボルチンがハイアングルのパワーボムから、とどめのカミカゼを完璧に決め、激闘に終止符。しかし、ゴングが鳴った後、リング上では勝者と敗者が互いを抱きしめ、健闘を称え合う姿があった。

<試合結果>

▼第5試合 30分1本勝負

『G1 CLIMAX 35』Aブロック公式戦

タイチ ×(3勝6敗=6点)

vs

ボルチン・オレッグ 〇(5勝4敗=10点)

12分14秒 カミカゼ→体固め

その光景の理由は、試合後のバックステージで明らかとなった。

勝利したボルチンは、この1年でのタイチへの心境の変化を、照れ笑いを浮かべながら告白した。

ボルチン「まあ、『G1』に対して話したいことが、ホントにいっぱいあるし、たくさん想いもあるし、苦しい思いもあるし、うれしいとこもあるけど、まあ、まだ、何度かあるかもしれないです。今日、何点ですか? 10点ですか?また、まあ、それが一番よくないの状況。相手の試合待って、誰が勝ち上がる……それがポイント並んで、どうなるか。

まあ、すごいイヤだったですね。まあ一応、ホントに……まあ、その……この話、あとで(決勝トーナメント進出)決まってからしようかなと思ったけど、とりあえず今日、タイチさん、1年ぶりの試合、いやあ、ホントに、まあ、プロレスは、プロレスの世界は広いですね。

ホントに、毎回言うようだけど、一番嫌いな先輩が好きになってね(苦笑)。まあ、人間だから、それもあるかな(苦笑)。最初あの人、嫌いかなと思ったら、(闘っていくうちに)やっぱり好きになるね。いやあ、タイチさん、この『G1』に出ると思わなかったし、最初、出れないとなって、すごく苦しかったけど、やっぱり『G1』の前、後楽園の試合見て、タイチさんと石井さんの試合、もう、メッチャ感動しました。

あの試合から見て、俺はまたプロレス好きになったし、タイチさんとまたやりたいと思ったし、この試合(7.6後楽園、タイチvs石井)見た瞬間……。やっぱりタイチさん、まあ結果として負けたかもしれないけど、自分の中でタイチさん、この『G1』の中でチャンピオンだね。自分も頑張ります。

モンスターな気持ちだけじゃなくて、パワーだけじゃなくて、レスリングのキャリアだけじゃなくて、ちゃんとプロレス学んで、ちゃんとうまいプロレスラーになって……なって、ちゃんとすごい試合して、ファンに、皆に喜ばせるように、いい気持ち残せるように、頑張りたいなと思うんで。

まだプロレス上手じゃないから、まだプロレスいろいろショッパイのに、みんな応援してくれるのはすごくうれしいけど、まあこれ、パワーになって、モチベーションになって、これから頑張りたいなと思うんで。ありがとうございました」

一方、3勝6敗という成績でG1を終えたタイチは、その結果を「堂々の最下位」と表現し、胸を張った。

タイチ「(※フロアに座り込み、左ワキ腹をアイシングしながら)強かった……強かった……。この長いシリーズ、過酷なシリーズで、あっち痛え、こっち痛えなんて、全員同じ条件なんて(ない)……。それでも全力でいって、全力で叩き潰されて、なんの言い訳もねえ。

オイ、各社、俺が堂々の、堂々の『G1 CLIMAX』、今年の『G1』、堂々の最下位だったって、全部ブロック通して堂々の最下位はタイチだったって、書いてくれや。胸張って、最下位やって言って、帰るよ、俺だって。敗者復活ドリーム、偉そうに言いやがって、何もできなかったじゃねえかって。

優勝するだけが、それか? そもそも俺はあの予選、勝ち取ってなければここにいないんだ。その時点で敗者復活してそして、たったの3勝かもしれないけど、大きな3勝を手に入れたんだよ。あのまま予選会で終わったら俺は、この3勝すらなかったんだ。十分、十分、敗者復活ドリーム、見せたんじゃないか? 今の世代に立ち向かっていく姿、これからの世代、ええ、俺は少しでも劣ってたか、試合で?

結果は負け越し、堂々の最下位だけどよ、“まだまだタイチできるんじゃねえか”ってそんな試合、見せたんじゃねえか? これでよ、ファンも、選手も、新日本のお偉いさんたち、中身の人たち、みんなが“タイチを『G1』に出してよかった”“タイチが『G1』に出てくれてよかった”“タイチがいたこの『G1』、楽しかった”って、全員が思ってくれれば、みんながそう俺が思わせれば十分、敗者復活ドリーム成し遂げたんじゃないねえか?

もちろん優勝が一番の目標だったけどな。それでもいろんな形で、敗者からこうやって人の心に残ることができるんだよ。な? 何にもねえドン底からでも、テメーの努力次第では、必ず誰かに届くんだ。な、世の中の人たちも、見習ってほしい。敗者のヤツはいっぱいいるはずだ。だけど簡単にあきらめんな。

(※ゆっくり片ヒザ立ちの状態になり)信じて、自分を信じて生きてれば、またなんかあるさ。ブロック最下位のヤツは来年から予選会だなんて偉そうに言ったけどな。見事にブーメラン、返ってきたな。この結果は、受け入れるよ。来年、予選会に回されても仕方ねえ。だけど、こっからまだ1年あんだよ。

その1年の中でまた、(※ゆっくり立ち上がりながら)最下位ドリームつかんでよ、なんかいろんなもん手に入れたら、自動的に来年は、こんなことあったこと忘れるぐらい、またこの1年、自分の力で獲りゃいいんだろ? 今の現時点では、自分の言ったこと責任とるよ。これで終わらねえから。

ま、タッグ(のベルト)もあるし。トモさん、ベテランでもやること残ってるから。これで終わりじゃねえから、俺の『G1』。俺自身まだ終わんねんから。これを糧に、また先に進ませてもらうよ。『G1』、『G1 CLIMAX』は、今回、俺を選んでくれてありがとう。心から感謝……言うよ。そして闘ってくれた若い連中、選手みんな、ありがとう。またやろう」

勝ち点を10に伸ばし、決勝トーナメント進出に望みを繋いだボルチン。そして、ブロック最下位という結果に終わりながらも、その戦い様で多くの者の心を掴んだタイチ。数字の上での勝敗以上に、二人のレスラーがリング内外で見せた生き様とリスペクトは、G1の夏に深い感動を刻み込んだ。

<写真提供:新日本プロレス>

【動画】タイチが強烈なアックスボンバーでボルチンをなぎ倒す