【60歳代】「貯蓄3000万円以上」ある世帯は何パーセントぐらい?65歳以上・リタイア済み夫婦の「1カ月の生活費」もチェック
- 【60歳代・二人以上世帯】「貯蓄額3000万円」以上の割合はどれくらい?
- 【60歳代・二人以上世帯】金融資産保有額一覧をチェック
- 【65歳以上・無職夫婦世帯】家計収支は「毎月3万4058円の赤字」に
- 【老後の年金事情】2025年度の年金額はいくら?働き方ごとの目安年金額5パターン
- 働き方ごとの年金目安①:厚生年金期間中心の男性のケース
- 働き方ごとの年金目安②:国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性のケース
- 働き方ごとの年金目安③:厚生年金期間中心の女性のケース
- 働き方ごとの年金目安④:国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性のケース
- 働き方ごとの年金目安⑤:国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性のケース
- 【積立投資シミュレーション】老後までに「貯蓄3000万円」を達成するためには?
- 将来に向けて、貯蓄と備えのバランスを見直そう
【年金の目安額早見表】私は将来いくらもらえる?働き方ごとの目安年金額5パターン
【60歳代】「貯蓄3000万円以上」ある世帯は何パーセントぐらい?65歳以上・リタイア済み夫婦の「1カ月の生活費」もチェック
8月はお盆や夏のイベントなどで出費がかさみがちな季節。そんな時期だからこそ、家計の見直しや老後への備えについて、改めて考える機会も増えているのではないでしょうか。
特にシニア世代にとっては、年金だけではまかなえない生活費や、医療・介護など“もしも”への備えといった課題が現実味を帯び、貯蓄の重要性が一段と高まっています。
とはいえ、「周りの人はどれくらい貯めているの?」「自分のペースは遅れていない?」と気になる方も多いかもしれません。
そこで本記事では、60歳代・二人以上世帯で「貯蓄3000万円以上」を保有している世帯の割合や、実際にかかる老後の生活費の実態について、わかりやすく解説していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【60歳代・二人以上世帯】「貯蓄額3000万円」以上の割合はどれくらい?
J‐FLEC 金融経済教育推進機構が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、60歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
【60歳代・二人以上世帯】金融資産保有額一覧をチェック
60歳代の貯蓄額
60歳代・二人以上世帯の貯蓄額を見てみると、平均は2033万円で中央値は650万円となっています。
・金融資産非保有:20.5%
・100万円未満:6.5%
・100~200万円未満: 5.3%
・200~300万円未満: 3.7%
・300~400万円未満:3.1%
・400~500万円未満:3.1%
・500~700万円未満:6.3%
・700~1000万円未満:5.3%
・1000~1500万円未満:8.9%
・1500~2000万円未満:5.8%
・2000~3000万円未満:8.0%
・3000万円以上:20.0%
貯蓄が3000万円以上ある世帯は全体の20.0%と、5世帯に1世帯の割合となっています。
一方で、貯蓄がまったくない(金融資産非保有)世帯も20.5%にのぼり、こちらも約2割を占めています。
この結果からも、老後の貯蓄額には大きな個人差があることがうかがえます。
リタイア後には、医療費や住まいの修繕など、予想外の支出が生じる可能性もあります。
そうしたリスクに備えるためにも、現役のうちから計画的に貯蓄を進めたり、資産運用を検討したりすることが重要です。
【65歳以上・無職夫婦世帯】家計収支は「毎月3万4058円の赤字」に
厚生労働省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考に、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
毎月の家計収支
・3万4058円の赤字
この世帯の月間収入は25万2818円で、そのうち約9割にあたる22万5182円が公的年金などの社会保障給付によるものです。
一方、月々の支出は合計28万6877円にのぼり、その内訳は非消費支出(社会保険料や税金など)が3万356円、消費支出(生活費)が25万6521円となっています。
この結果、毎月の赤字は3万4058円に達します。
もし支出を見直しても赤字を解消できない場合には、現役時代に資産形成を進めておき、必要に応じて取り崩せるよう備えるか、老後も働き続ける選択肢を検討する必要があるでしょう。
【老後の年金事情】2025年度の年金額はいくら?働き方ごとの目安年金額5パターン
厚生労働省の資料によると、2025年度の年金額は以下のとおりです。
令和7年度の年金額
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金の支給額は、あくまで一定のモデルケースに基づいた例であり、実際の受給額はこれまでの就労状況や保険料の納付実績によって大きく変わる点に留意が必要です。
なお、今回から新たに夫婦それぞれの働き方に応じた年金額の試算も公表されており、現役時代の収入やキャリアの違いが年金額にどう影響するかを、より具体的に把握しやすくなっています。
働き方ごとの年金目安①:厚生年金期間中心の男性のケース
年金月額:17万3457円
・平均厚生年金期間:39.8年
・平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
・基礎年金:6万8671円
・厚生年金:10万4786円
働き方ごとの年金目安②:国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性のケース
年金月額:6万2344円
・平均厚生年金期間:7.6年
・平均収入:36万4000円
・基礎年金:4万8008円
・厚生年金:1万4335円
働き方ごとの年金目安③:厚生年金期間中心の女性のケース
年金月額:13万2117円
・平均厚生年金期間:33.4年
・平均収入:35万6000円
・基礎年金:7万566円
・厚生年金:6万1551円
働き方ごとの年金目安④:国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性のケース
年金月額:6万636円
・平均厚生年金期間:6.5年
・平均収入:25万1000円
・基礎年金:5万2151円
・厚生年金:8485 円
働き方ごとの年金目安⑤:国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性のケース
年金月額:7万6810円
・平均厚生年金期間:6.7年
・平均収入:26万3000円
・基礎年金:6万7754円
・厚生年金:9056円
将来、自分がどれくらいの年金を受け取れるのか気になる場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用して確認するのがおすすめです。
【積立投資シミュレーション】老後までに「貯蓄3000万円」を達成するためには?
金融庁の「つみたてシミュレーター」を用いて、3000万円の貯蓄を目指すにはどれほどの積立が必要かを試算しました。
はじめに、リスクを避けて貯蓄のみによる運用を想定し、年利0.1%で計算しています。
貯蓄期間20年
45歳から貯蓄のみで65歳までに3000万円を用意しようとすると、毎月の積立額は12万円を超える計算になります。
貯蓄期間30年
積立期間を30年間、つまり35歳からスタートする場合でも、毎月およそ8万2000円の貯蓄が必要になります。
貯蓄期間40年
25歳から積立を始めた場合、毎月約6万1000円強で目標額に到達できますが、40年間継続して貯蓄を続けるのは容易ではありません。
このことからも、貯蓄だけで3000万円の資産を築くのは非常に難易度が高いといえます。
そこで次に、投資信託や株式などに投資した場合を想定し、利回り4%で運用を続けたケースを見ていきましょう。
投資期間20年
45歳から資産形成を始めた場合でも、月々約8万2000円の積立で目標額に届きます。
収入に余裕のある方であれば、45歳からでも3000万円の資産形成は十分に現実的と言えるでしょう。
投資期間30年
35歳から資産形成を始めて30年間運用した場合、月々の積立はおよそ4万3000円で済みます。
複利の力により、年を追うごとに資産の増加ペースが加速し、最終的には3000万円のうち約半分を運用益が占める形になります。
投資期間40年
最後に、25歳から40年間にわたって資産運用を続けたケースを見てみると、月々およそ2万5000円の積立で3000万円の資産を築くことが可能です。
このシミュレーションでは、運用益が資産全体の約60%、つまり約1800万円弱を占めており、総拠出額はわずか1218万円にとどまります。
ただし、この試算は「利回りが長期間安定して継続する」という前提に基づいています。
実際の運用では、市場の変動や景気の影響により、想定どおりに資産が増えるとは限りません。
元本割れのリスクもあるため、自分のリスク許容度や目的に応じて、無理のない範囲で資産運用に取り組むことが大切です。
将来に向けて、貯蓄と備えのバランスを見直そう
今回は、現代のシニア世代が実際にどれくらいの貯蓄を持ち、生活費にどの程度かかっているのかを見てきました。
ひと月あたりの家計が赤字になっているという実態を踏まえると、老後を迎えるまでに“取り崩せる貯蓄”をいかに準備するかが重要なポイントになります。
貯蓄の方法にはさまざまありますが、老後まで時間に余裕がある方は、長期の資産運用を取り入れることで、リスクを分散しながらお金を増やしていくことも可能です。
また、お金を増やすだけではなく、介護や病気といった万が一に備えて、保険などを活用しておくことで、急な出費のリスクを軽減することができます。
長い老後に備え、自分の考えに合った準備をしておきましょう。
参考資料
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・金融庁「つみたてシミュレーター」