【みんなの貯蓄額】60歳代&70歳代「二人以上世帯・単身世帯」《平均値・中央値》はいくら?「平均的な生活費」もチェック!
【60歳代&70歳代】5歳刻みの「年金受給額」平均月額はいくら?
【みんなの貯蓄額】60歳代&70歳代「二人以上世帯・単身世帯」《平均値・中央値》はいくら?「平均的な生活費」もチェック!
老後資金の準備について考える際は、1カ月にかかる生活費や年金受給額などを知る必要があります。
必要な金額が分かれば、足りない分を逆算して現役時代のうちから準備していくことが可能です。
老後の経済的な不安を解消するために、まずは今どきのシニアの貯蓄事情を確認してみましょう。
実際のイメージがつけば、老後資金の準備も具体的に進めやすくなるでしょう。
本記事では、60歳代と70歳代の1カ月にかかる生活費や平均貯蓄額、平均年金受給額について解説していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
60歳代&70歳代の「1カ月の生活費」はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、60歳代二人以上世帯の1カ月の平均消費支出は31万1392円、70歳以上世帯では25万2781円です。
60歳代二人以上世帯の1カ月の平均消費支出
消費支出は、全年代において昨年度よりも減少傾向にあり、シニア世代も例外ではなく60歳代では前年比△1.6%、70歳以上では△1.7%です。
また、全体の平均額は30万243円ですが、60歳代ではそれより約1万1000円多くかかっています。
しかし、70歳以上になると約25万円となり、各年代の中で最も少なくなっています。
60歳代&70歳代の「貯蓄額」はいくら?
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60歳代世帯と70歳代世帯の貯蓄額については、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に見ていきます。
なお、調査結果では「平均値」と「中央値」という言葉が出てきますが、それぞれ異なった値を示すものであるため、違いを押さえておきましょう。
平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値のことです。
データの全体を把握しやすいですが、極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。
一方、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことです。
データの極端な値に左右されずに、実態に近い中心値が把握しやすいですが、全体を把握するには適していません。
そのため、平均値と中央値の双方を合わせて見ることが大切です。
60歳代の貯蓄額はいくら?
60歳代の貯蓄額について、二人以上世帯と単身世帯とに分けて見ていきましょう。
【二人以上世帯】
60歳代の二人以上世帯の貯蓄額は平均値が2033万円、中央値が650万円です。
平均値と中央値がかけ離れていることから、高額な貯蓄を有している世帯が全体の平均を引き上げていると考えられます。
下表は、金融資産保有額ごとの世帯割合をまとめたものです。
「60歳代の二人以上世帯」金融資産保有額ごとの世帯割合
「金融資産なし」世帯と「3000万円以上」世帯がそれぞれ約20%存在し、十分な貯蓄のある世帯とない世帯の差が大きいことがわかります。
【単身世帯】
60歳代単身世帯の貯蓄額は平均値が1679万円、中央値が350万円です。
単身世帯でも、平均値と中央値に大きな開きがあります。
金融資産保有額ごとの世帯割合も確認しましょう。
「60歳代単身世帯」金融資産保有額ごとの世帯割合
「金融資産なし」世帯が最も多く27.7%となっており、およそ3.5世帯に1世帯が貯蓄なしということになります。
「3000万円以上」世帯は16.8%存在し2番目に多くなっていますが、「100万円未満」世帯が8.9%と3番目に多くなっていることから、十分な貯蓄がない世帯が多いことがわかります。
70歳代の貯蓄額はいくら?
70歳代の貯蓄額についても、二人以上世帯と単身世帯とに分けて見ていきます。
【二人以上世帯】
70歳代で二人以上世帯の貯蓄額は平均値が1923万円、中央値が800万円です。金融資産保有額ごとの世帯割合は次の通りです。
「70歳代で二人以上世帯」金融資産保有額ごとの世帯割合
70歳代でも、「金融資産なし」世帯が最も多く20.8%を占めています。
しかし、「3000万円以上」世帯が19.0%、「2000〜3000万円未満」世帯が8.9%と高額な貯蓄がある世帯も多く存在しています。
【単身世帯】
70歳代単身世帯の貯蓄額は平均値が1634万円、中央値が475万円です。
金融資産保有額ごとの世帯割合は次の通りです。
「70歳代単身世帯」金融資産保有額ごとの世帯割合
70歳代単身世帯でも、「金融資産なし」世帯が最も多く27.0%を占め、次いで多いのが「3000万円以上」世帯で15.9%です。
このように、60歳代・70歳代では二人以上世帯・単身世帯ともに、世帯ごとの貯蓄額は幅広く分布しており、平均値だけでは実態を知ることは難しいといえます。
【60歳代&70歳代】5歳刻みの「年金受給額」平均月額はいくら?
60歳代と70歳代の平均年金受給額について、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに確認しましょう。
60歳代と70歳代の平均年金受給額(平均月額)※厚生年金には国民年金部分が含まれています。
※厚生年金には国民年金部分が含まれています。
65歳からの受給額を見ると、厚生年金は月額14万5000円〜14万7000円程(国民年金を含む)、国民年金は6万円弱程です。
60〜64歳に受給する厚生年金は「特別支給の老齢厚生年金」であるため、通常の年金よりも少額になります。
また、60〜64歳の国民年金は繰上げ受給をする場合の金額となるため、65歳から受給する金額よりも減額されています。
現役時代のうちから計画的に「老後資金の準備」を進めていきましょう
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60歳代二人以上世帯の1カ月の平均生活費は約31万円、70歳以上世帯では約25万円かかります。
高齢になるほど減額する傾向がありますが、それでも25万円ほどかかるため、年金収入で不足した場合に備えて十分な貯蓄をしておきたいところです。
しかし実際には貯蓄なしの世帯も多く存在し、いざというときに対応できる資金がない可能性が高いです。
高齢になると勤労収入を得ることが難しいケースもあるため、現役時代のうちから計画的に老後資金を準備しておく必要があります。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」