70歳代「貯蓄3000万円以上」のうらやましい世帯は何割?「年金では日常生活費程度もまかなうのが難しい」4割にのぼる
【棒グラフつき】厚生年金・国民年金の平均額
70歳代「貯蓄3000万円以上」のうらやましい世帯は何割?「年金では日常生活費程度もまかなうのが難しい」4割にのぼる
もうすぐ、2025年度分の2回目の年金支給日です。原則として偶数月の15日となっているので、次回の支給日は8月15日(金)となっています。
ちょうどお盆で家族が集まる時期のため、楽しみに待つシニアも多いでしょう。
しかし、年金の増額率を上回る物価上昇が近年続いているため、年金だけで暮らせない世帯が半数以上いるのも事実です。ある調査によると、「年金では日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した世帯が4割にのぼることもわかりました。
現役世代の方は「老後に向けてどれほど貯めたらいいのか」と不安に感じることもあるでしょう。
今回は直近のデータをもとに、70歳代世帯のうち「貯蓄3000万円以上」の割合を見ていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
70歳代で「貯蓄3000万円以上」のうらやましい世帯は何割?
J-FREC 金融経済教育推進機構が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」より、70歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきましょう。※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
70歳代の二人以上世帯の貯蓄額
70歳代の貯蓄額
70歳代においては、貯蓄の平均値が1923万円で中央値は800万円となっています。
貯蓄が3000万円以上ある世帯は全体の19.0%。一方で貯蓄ゼロ世帯も20.8%存在します。
まだ働いているという70歳代もいると思いますが、すでに貯蓄の取り崩しが始まっている世帯も多いと考えられます。
「退職金をもらった世帯」「相続を受けた世帯」が混在する世帯であることから、貯蓄額の二極化が進んでいることがわかります。
では、60歳代で貯蓄3000万円を達成する世帯は70歳代より多いのでしょうか。
60歳代で「貯蓄3000万円以上」のうらやましい世帯は何割?
60歳代で「貯蓄3000万円以上」の割合は、70歳代よりも多いのか少ないのか気になります。
60歳代の二人以上世帯の貯蓄額
60歳代の貯蓄額
60歳代の貯蓄額をみると、平均は2033万円、中央値は650万円となりました。
「貯蓄3000万円以上」は20.0%で70歳代世帯より多め、「貯蓄ゼロ」は20.5%で70歳代世帯より少なめとなりました。
60歳代から70歳代になるにつれ、貯蓄を取り崩す世帯も多いでしょう。
「年金では日常生活費程度もまかなうのが難しい」4割にのぼる
J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、「年金では日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した割合が4割にのぼることがわかりました。
年金に対する考え方
・日常生活費程度もまかなうのが難しい:39.1%
・ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる:52.8%
・年金でさほど不自由なく暮らせる:8.1%
また、別資料である厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給だけで100%生活できている高齢者世帯は43.4%であることがわかりました
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
言い換えると、約6割の高齢者世帯が年金収入だけで生活できていないことになります。
そもそも若い世代であれば、「年金に頼る」という考えの方は少ないかもしれません。
老後に向けて、「年金だけで足りない金額はどれほどか」「足りない金額はどのようにまかなうか」を考える必要があるでしょう。
「厚生年金と国民年金」の平均月額
参考までに、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より厚生年金と国民年金の平均月額を見ていきます。
【国民年金】平均月額
国民年金の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金】平均月額
厚生年金の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
2023年度末時点において、国民年金は平均が5万円台、厚生年金は平均が14万円台でした。
ただし、年金は個人差が大きいのが実情です。
自分自身の年金見込額について、必ずねんきん定期便やねんきんネットなどで確認するようにしましょう。
老後に向けて何を始める?
貯蓄や年金の平均額を紹介しましたが、大切なのはそれぞれの世帯ごとの金額です。
突発的な支出なども含め、生活費をシミュレーションしてみましょう。また収入については、年金ネットなどで試算してみるのもひとつです。
足りない分について貯蓄をすることが大切ですが、老後の収入を増やすというのもひとつです。公的年金で足りない分について、iDeCoや個人年金保険などで自分だけの年金を作るという方法もあります。
「我が家の目標」について考えてみましょう。
参考資料
・J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[二人世帯調査](2024年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況