去年時点でラッセルは7度王者ハミルトンより強い。メルセデスF1代表が契約延長を前に大胆指摘
メルセデスは依然、F1チームのリードドライバーであるジョージ・ラッセルと2026年以降の契約を延長していない。そうした状況ではあるものの、トト・ウルフ代表はラッセルのドライバーとしての成長ぶりを高く評価。昨年までチームに在籍した7度のF1世界チャンピオン、ルイス・ハミルトンよりも強かった、とさえ示唆した。
2025年のF1はハンガリーGPを終えて、サマーブレイクに突入。後半戦突入を前に、翌年のシートも徐々に決定してくる時期ではあるものの、ラッセルは「時間的なプレッシャー」はなく「夏の間は契約に関する進展はない」と語り、交渉のボールが自身のサイドにあることを示唆した。
関連ニュース:その点、メルセデスが投稿した「シーズン中盤レポート」動画でのウルフ代表の発言が興味深い。刺激的なモンタージュ動画と不思議なほど眠気を襲うアンビエントミュージックを背景に、ウルフ代表は、昨年時点でハミルトンに比べラッセルのほうが速かったと明確に明言した。統計がそう示しているとはいえ、相手が7度のF1世界チャンピオンというだけあって、興味深い対比だ。
昨年はラッセルとハミルトン両方がそれぞれ2回のグランプリ優勝を記録したが、ハミルトンのベルギーGPでの優勝は、ラッセルがトップチェッカー後に最低重量違反で失格となったためだ。
シーズン中の獲得ポイントでは、ラッセルが245点、ハミルトンが223点と最終的にはごくわずかな差だったが、予選は一方的な結果となった。ラッセルはスプリント予選で5勝1敗、グランプリ予選で19勝5敗とハミルトンを圧倒した。長年ハミルトンが予選スピードに定評があったことを考えると、この差は驚くべきモノだ。
「ジョージを見てみると、速くて若いドライバーとしてウイリアムズからF1に参戦して以来、彼は大きく成長した」とウルフ代表は言う。
「そしてメルセデスに選出され、知っての通りルイス・ハミルトンという史上最高のドライバーとコンビを組んだ」
「そして昨年、彼は純粋なペースにおいて非常に強くなり、結果としてより強力なドライバーになったことをみんな既に知っているだろう。そして今、ルイスがフェラーリに移籍したことで、彼はシニアドライバーの座を獲得したが、それはまったく自然のことで、彼は期待に応えている」
「彼はマシンが十分なレベルに達していない場合でも、それを上回るパフォーマンスを発揮する。ジョージは常に頼りになる存在だ。ドライビングだけではなく、パートナーとの関係も非常に良好で、彼のブランドと我々のブランド構築に役立つ多くの活動を行なっている」
「これ以上のナンバーワンドライバーは望めないだろう」

George Russell, Mercedes
昨年、ハミルトンが予選で苦戦したことは明らかだが、彼のパフォーマンス低下の根拠として不条理な陰謀論も飛び出した。
6月にはハミルトンが妨害されていると主張する匿名のメールが流布された。その後、カタールGP予選でハミルトンがラッセルから0.5秒遅れとなったことで、チームに対するネット上の誹謗中傷はさらに激化。ウルフ代表は、陰謀論者を「馬鹿」と評して反論した。
こうした点からも、ウルフ代表が昨年のハミルトンとラッセルの比較を再び行なうというのは興味深いことだ。
また、今季のパフォーマンスからラッセルが契約交渉において強い立場にあると理解されている現状、こうした話題は重要な意味を持つのかもしれない。ウルフ代表は4度の世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンをレッドブルから引き抜くことに関心を示した一方で、今年はラッセルをこれほど明確に絶賛することは比較的稀だった。
特にメルセデスのメディア担当者は、この見方を“後知恵”と因果関係の混同として一蹴するかもしれない。しかしウルフ代表の賛辞は、どこかのビーチで足を伸ばしてくつろいでいるラッセルを喜ばせるはずだ。
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