【年金】8月支給分から手取りが「増える人・減る人」と「変わらない人」には、どのような違いがあるの?
現代シニアが受け取っている「厚生年金・国民年金」の平均月額は?
【年金】8月支給分から手取りが「増える人・減る人」と「変わらない人」には、どのような違いがあるの?
公的年金は毎年見直されており、2025年度は1.9%の引き上げが実施されたため、6月の支給(4月・5月分)で手取り額の増加を実感した方もいるかもしれません。
次回の支給日は「8月15日」であり、これは2025年度の年金改定後、2回目の支給となります。
ただし、8月分の支給では社会保険料や税金の調整が反映されることがあり、「6月には年金が増えていたのに、今回は手取りが少なくなった」と感じるケースも。
では、8月支給分から手取りが「増える人・減る人」と「変わらない人」には、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、2025年度の年金改定内容に加えて、8月支給分が増える人・減る人の特徴について詳しく解説します。
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【8月は年金支給月】2025年度の「厚生年金・国民年金」の年金額はいくら?
冒頭でも触れたように、公的年金は物価や賃金の動向を踏まえて、毎年見直しが行われています。
厚生労働省が公表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度の年金額は以下のとおりです。
令和7年度の年金額の例
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)
国民年金の月額「6万9308円」は、40年間保険料を納めた場合に受け取れる満額の支給額です。
一方、厚生年金の支給額は「夫婦2人世帯」を前提にした例であり、夫婦ともに国民年金を満額で受給し、夫が標準報酬月額45万5000円(賞与を含む)で40年間働いた場合を想定した金額となっています。
上記はあくまで一例として示されたモデルケースであり、すべての方がこの金額を受け取れるわけではありません。
次章では、現在のシニア世代が実際に受け取っている平均的な年金額について確認していきましょう。
現代シニアが受け取っている「厚生年金・国民年金」の平均月額は?
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均月額は以下のとおりです。
国民年金と厚生年金の平均月額
【国民年金の平均受給額】
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金の平均受給額】
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
国民年金の平均受給額(月額)は約5万円、厚生年金は約14万円とされており、想像より少なく感じた方もいるかもしれません。
また、これらはあくまで「額面」の金額であり、実際には税金や社会保険料が差し引かれた後の金額が振り込まれます。
なお、年金から天引きされるお金は年度途中で変更されることがあるため、人によっては「手取りが増減する」可能性もあります。
次章では、「8月支給分から年金の手取りが増える人・減る人」の具体的なケースについて詳しく解説します。
8月支給分から「年金の手取りが増える人・減る人」はどんな人?
結論からお伝えすると、年金の手取りが年度の途中で変わるのは、前年の所得に増減があった方です。
介護保険料や後期高齢者医療保険料などの社会保険料は、前年の所得をもとに2025年度分が算出され、7月にその年の正式な金額が決まります。また、住民税も同様で、こちらは6月に税額が決定します。
それまでの間は、前年度と同額の保険料が一時的に差し引かれる「仮徴収」という仕組みが適用されます。
保険料の年次処理スケジュール
正式な保険料や住民税が確定した後、多くの地域では10月から本徴収へと切り替わるのが一般的ですが、自治体によっては8月から本徴収が始まる場合もあります。
また、一部の自治体では、仮徴収と本徴収の差が大きくならないよう、8月の段階で保険料をあらかじめ調整(平準化)する対応が取られることもあります。
仮徴収・本徴収
このように、保険料や住民税の天引き額が途中で見直されることがあるため、8月以降の年金支給分で「手取りが変わった」と感じることもあるでしょう。
なお、基本的には「前年の所得に増減があった方」が、8月あるいは10月の支給分から手取り額に変化が出るケースが多いですが、なかには「前年の所得が変わっていないのに手取りが減った」という方もいます。
次章では、所得に変化がなかったにもかかわらず手取りが変動する人の特徴について見ていきましょう。
所得の変動以外で「年度の途中に年金の手取りが変わる人」とは?
所得の変動以外で、年度の途中に年金の手取りが変わる人として、以下のようなケースが考えられます。
・控除額が増減した人
・保険料の負担区分が変わった人
・年金受給を開始したばかりの人
前年の収入に変動がなくても、扶養人数の変化などによって「控除額」が変わると、天引き額が上下することがあります。
そのため、控除内容に増減があった場合には、収入が変わっていなくても、年金の振込額が変動する可能性があります。
また、65歳を迎えて介護保険料の単独徴収が始まった方や、75歳で後期高齢者医療制度に切り替わった方も、年齢による保険料負担の区分変更により手取り額が変わることがあります。
さらに、65歳から年金を受給し始めた方は、最初のうちは「普通徴収」として納付書で保険料を自分で支払う形になりますが、10月以降は「特別徴収」として年金から天引きされるようになります。
年金受給を開始したばかりの人の場合、切り替えにより年金の振込額が減ることになりますが、支払い方法が変わるだけで、実際の負担額は変わらない点には留意が必要です。
年金が振り込まれたら「手取り額が変わったか」必ず確認しよう
本記事では、2025年度の年金改定内容に加えて、8月の支給額が増える人・減る人の特徴について解説していきました。
自治体によっては、8月の支給分から年金の手取りが増減する場合もありますが、多くのケースでは10月の支給分から手取り額が変わる傾向にあります。
本徴収への移行にともない年金の振込額が変更される際には、市区町村から案内が届くため、記載内容をきちんと確認しておくことが大切です。
不明な点がある場合は、早めに最寄りの年金事務所へ問い合わせると安心です。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・千葉市「年金受給者ですが、介護保険料の特別徴収とは何か教えてください。」
・袋井市「介護保険料の仮徴収と本徴収」
・真庭市「令和7年度介護保険料特別徴収について」
・稲敷市「後期高齢者医療保険料の特別徴収平準化について」
・高槻市「後期高齢者医療保険料の納付」
・富士市「国民健康保険税の特別徴収について」
・越前市「国民健康保険税の年金天引き(特別徴収)」
・厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
・坂出市「個人住民税が年金特別徴収のかたは,4月から令和7年度の仮徴収が始まります」
・尾張旭市「市・県民税の年金特別徴収について」
・日本年金機構「年金振込通知書」
・日本年金機構「年金振込通知書は、年金の振込の際に必ず送付されますか。」
・中央市「65歳以上の公的年金受給者で、市県民税(住民税)を納税されている方へのお知らせ」
・国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
・練馬区「国民健康保険料の計算方法(令和7年度)」
・国税庁「高齢者と税(年金と税)」