F1好きが高じてレースチーム設立。レアル・マドリード守護神クルトワ、夢は自チームでのFIA F2参戦とGT3ドライブ
サッカーのベルギー代表でレアル・マドリードのゴールキーパーを務めるティボー・クルトワは、スパ・フランコルシャンで開催されたF1ベルギーGPに地元ゲストとして登場した。F1スプリントではチェッカーフラッグを振り、トロフィーをレッドブルのマックス・フェルスタッペン、マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリに贈った。
ただ、クルトワは単なる賑やかしのゲストというわけではない。彼は生粋のF1ファンであり、自身のシングルシーターチームでFIA F2に参戦する目標すら立てている。
「子どもの頃からF1を観るのが好きで、特にミハエル・シューマッハーとフェラーリが好きだった。MotoGPも観るけど、僕が情熱を注いでいるのは四輪レースとF1だ。だからF2やF3も観ているよ」
クルトワはベルギーの放送局『Sporza』にそう語った。
モータースポーツへの情熱が高じてクルトワは、カルロス・サインツJr.(ウイリアムズ)の片腕であり元F1ドライバーで今はスーパーGTに参戦中のロべルト・メリとタッグを組み、2023年にその名を冠した「TCレーシング」を立ち上げた。スペイン・マドリードを拠点としたチームは昨年、スペインF4選手権でデビューを飾った。
「数年前、スペインのフォーミュラEチームのスポンサーを頼まれたんだ」とクルトワは言う。
「そして自分のチームをスタートして、それ以来、僕の情熱は増すばかりだ。できる限りグランプリには足を運ぶようにしていて、モナコ、ポール・リカール、バルセロナ、そしてもちろんここ(スパ)にも来た。いつも楽しいね」
クルトワは同世代で最も偉大なゴールキーパーのひとりとして、少年時代に所属したゲンク、アトレティコ・マドリード、チェルシー、そして2018年からレアル・マドリードの柱になってきた。そしてその超野心的な性格から、クルトワがピッチを飛び越え、異なるジャンルでも高みを目指しているということに驚きはないだろう。
「現在はスペインのF4に参戦しているが、来年はユーロカップ3に参戦してレベルアップする予定だ。F1はちょっと難しいかもしれないし、そうなるととても大きなパートナーが必要になる」とクルトワは笑った。
「でも目標や夢はF3、そしてできればF2にステップアップすることだ」

Carlos Sainz, McLaren, poses with Real Madrid goalkeeper Thibaut Courtois
クルトワの組織はesportsチームも運営しており、才能あるシムレーサーがリアルレースに挑戦する手助けをしたいと考えている。4度のF1世界チャンピオンであるフェルスタッペンも、直近のスパ24時間レースでクラス優勝を果たしたGT3チームと共に同様の目標を追いかけている。
「僕らはスパ24時間やル・マンなどのシミュレータ競技に参戦している。それで才能発掘をサポートしている」とクルトワは言う。
「シミュレータで優秀な若手を実際のマシンに乗せる。夢のシナリオは、シミュレータが得意なドライバーを見つけてマシンに乗せ、さらにはF1へ導くことだ」
アメリカで開催されたクラブワールドカップで2024/25年シーズンを終えたばかりという多忙なスケジュールにも関わらず、クルトワはレースチームの重要な決定事項のほとんどに関わりたいと考えている。
「日々の運営にはあまり関与していないが、投資家として関わっている。そのため、僕は多くの会議に出席し、チームの方向性を把握している」
「当初考えていたよりも多くのことを伴うね。多くのロジスティクスが関わってくる。去年のシーズン開幕までに全ての準備を整えるのはかなり大変だったけど、初年度はそれなりに良い結果が残せたし、ポイントも獲得できた。今年はさらに良い方向に進んでいるけど、まだ高みを目指している」
自身も熱心なシムレーサーであるクルトワは、COVID-19のパンデミックの際にF1のesportsイベントに参加したことがあり、現在のグリッドにいるドライバーにとっても馴染み深い人物だ。
「(ウイリアムズのアレクサンダー)アルボンを上手くオーバーテイクすることもできた。(フェラーリの)シャルル・ルクレールと(マクラーレンの)ランド・ノリスは一緒に笑っていたよ」と冗談交じりにクルトワは語った。
2mという身長を考えると、実際にフォーミュラカーのコックピットに乗り込むのは難しいだろう。しかしサッカー選手としてのキャリアが終わった後は、リアルレースに転向したいと考えている。それは単なるお遊びのためではない。
「サッカーをやめたら、GT3レースに参加するような夢が叶うだろうね」とクルトワは言う。
「でも自分の実力は分からないし、もし何かに参加するとしても、3秒遅れにはなりたくない。まずはいきなりそんなことはできないし、自分の実力を知りたいんだ。本当にたくさんのトレーニングが必要だ」
「ただ、もしそうなるとしたら、僕の身長でレギュレーションを満たせるマシンに乗りたい。フォーミュラカーには乗れない。F4車両だとヘイローの上に頭が出ちゃうし、安全とは言えないだろうからね……」
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