ホンダ陣営、富士スプリントで近年稀に見る惨敗。HRC開発陣も落胆隠せず「昔は得意不得意があったが……今はそういう状況ではない」

 トヨタ・GRスープラが上位を独占したスーパーGT第4戦富士スプリントで、ホンダ陣営は近年稀に見る惨敗を喫した。ホンダはシビック・タイプR-GTの5台体制で参戦しているが、レース1は7位、9位、10位、13位、14位。レース2に至っては、8位、11位、12位、13位、14位という結果に終わった。

 車両開発を担うHRC(ホンダ・レーシング)の佐伯昌浩ラージ・プロジェクトリーダー(LPL)はレース2後の囲み取材で、「近年でワーストの結果」であると総括した。

「結果的に昨日からうまく改善できなかった部分と、あとは各チームさんが持ち込んだタイヤがこの時間帯(夕方)のレースになっても良い振る舞いをしてくれなかったこともあり、この2日間のレースは近年ではワーストの結果になったかなと思います」

「ブリヂストンタイヤを履くシビックが2日間厳しいレースになってしまいましたが、今回のデータを持ち帰って解析し、後半戦に繋げたいです」

 そう語る佐伯LPL。レース1の後、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの牧野任祐はホンダ陣営がいつもよりも若干温度レンジが低い(ソフト寄り)のコンパウンドを持ち込んでいるとして、気温が下がるシチュエーションでは状況が変わるかもしれないと述べていた。ただ結局、曇り空の17時台に行なわれたレース2でも苦戦は続いた。

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 陣営のタイヤ事情について佐伯LPLは、「一部の車両はスープラのトップグループと同じような選択をしていた」と明かしたが、「大半がそことは違うタイヤを選択していたこともあり、ちょっと迷走してしまったところもあったかなと思います」と分析。車両開発責任者の徃西友宏氏も、上位陣と同じタイヤを履いていた車両の苦戦について「普段はここまでの差がつくことはあまりなかったので、何か大きなミスマッチがあったのでは」と現段階での見解を述べた。

 これだけ厳しい結果になったことに対してのショックやインパクトは大きいかという質問に、佐伯LPLも「インパクトはめちゃくちゃあります」と認める。また徃西氏も、各メーカーの車両性能が収束している現在のGT500において、スープラとこれだけの差がついてしまったことへのショックは大きいと述べた。

「我々がミッドシップの車両(NSX)で参戦していた時は、相応のおもりを載せていましたし、ましてやドラッグの大きいNSXでは富士の練習走行で下位に沈んでしまうというのは、見慣れたものではありました」

「ただ、その時は他のサーキットに行けば盛り返す……といったように、得意不得意がまだありました。ただ今のクルマはそういう状況ではないという認識でしたので、こういう結果にショックは大きいですね」

「薄々そういうことは感じてはいました。トヨタさんの中で抜群に速いクルマがいて、ウエイトを積んでも燃リス(燃料流量リストリクター)を絞られてもあのスピードで走れるというのは、そういう素材を持ったクルマがあと5台あるということです。その5台がそれと同じレベルになったらとてもじゃないけどポイント圏内に上がれない、ということは予想されたことではありました。各社同じ車体のままで開発凍結2年目になると、みんなそれを相応にうまく使いこなせるようになりますから」

「その中で、我々も本来もう少しいけるはずなのにアンマッチがあってもたついたことも重なり、こういう近年見なかったようなリザルトになってしまいました」

 徃西氏が言及したように、現在は空力開発が凍結されているため後半戦に向けた車体面での大きなアップデートはできない。徃西氏は後半戦に向けて「(ホンダの)5台が全て良い状態、まとまった状態で週末走り出すことができてやっと(上位に)食い込めるんじゃないか、というくらいの力差がある」としつつ、「あまり大きなことはできませんが、今回の苦戦で良くないサンプル例がひとつ取れましたので、各チームさんとしっかり見直して、残りのレースはどれも落とさないようにしていきたいです」と述べた。

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