必ず知っておきたい「緑内障になりやすい人」8タイプ。寝る姿勢と生活習慣が悪化を防ぐカギ
「家族に緑内障の人がいる」「最近、目の疲れが気になる」。そんな方は、緑内障のリスクが高いかもしれません。さらに、睡眠中の姿勢や枕の高さなど、日常のちょっとした習慣も悪化の引き金になることも。今回は、緑内障が悪化しやすいタイプや、予防のために見直したい生活習慣について、二本松眼科病院・副院長の平松類先生にわかりやすく解説してもらいました。
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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緑内障が悪化しやすいのはどんな人?
家族に緑内障患者がいる、視神経が弱い、生活習慣病や眼圧が高くなる習慣がある人は要注意。
緑内障になりやすい人、その症状が悪化しやすい人について、タイプ別に解説しますので、該当する方は早めに眼科を受診してください。
1:家族や親類に緑内障の患者がいる
血縁のある家族や親類に緑内障の患者さんがいる人は、そうでない人と比べて緑内障になりやすく、悪化もしやすいという研究報告があります。このように血縁者に患者がいると同じ病になりやすいことを、医学用語では「家族性がある」といいます。
2:近視が強い
3:眼圧の変動が激しく検査値がばらつく
4:もともと視野が悪い
5:乳頭出血しやすい(視神経乳頭)
近視が強くなると視神経が引っ張られて、ダメージを受けやすくなります。また、眼圧の変動が激しく、検査値がばらつく人も、視神経が傷つきやすいといえます。
また、先天性や持病により、もともと視野が悪い人も、緑内障の症状が悪化しやすい傾向があります。
視神経の出口である乳頭部からの出血は、健康な人では極めてまれなケース。緑内障を発症している人、もしくは発症しつつある人に特徴的に生じる出血とされる
乳頭出血とは、目の診察時に認められる視神経の出口・視神経乳頭からの出血のことです。
乳頭出血しやすい人は、視神経が脆弱なため、緑内障になりやすく、症状も悪化しがちです。また、正常眼圧緑内障のリスクもあります。
6:高血圧・低血圧・糖尿病などの病気がある
7:睡眠時無呼吸症候群である
これらの病気がある人は、緑内障だけでなく、各病気の治療も並行して行ってください。
8:日常生活のなかでいきむことが多い
負荷の高い筋力トレーニング、重いものを持ち上げる肉体労働などの習慣がある人は、眼圧が上がりやすいので注意しましょう。
●なぜ親族が緑内障の人は発症しやすい?
血縁関係のある家族や親類に緑内障の患者さんがいる人は、緑内障リスクが高くなるという理由については、遺伝的原因と環境的原因の両方が関係しているとされています。
つまり、緑内障になりやすい体質・環境・生活習慣があるということなのです。
睡眠のときに気をつけることは?
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睡眠中は眼圧が高くなります。枕の高さなどに気をつけましょう。睡眠時無呼吸症候群にも注意!
●ベストな睡眠時間は「7~9時間」
睡眠は、心身が受けた疲労やダメージを回復させるためにとても重要です。寝不足は、その回復時間が短くなり、目にも悪影響を与えます。
また、長時間寝過ぎる習慣も、緑内障にはマイナスの影響があります。その理由は、睡眠中は必ず眼圧が高くなるからです。
寝ると頭と身体が水平になるため、起きているときよりも水分が頭に多く流れ込み、眼圧が高くなるのです。通常よりも2~4mmHg程度、眼圧が上がるとされています。
つまり、睡眠時間が長すぎるとその分眼圧の高い時間が続いて、視神経がダメージを受けやすいわけです。とはいえ寝不足もマイナスですから、睡眠時間は7~9時間がベストということになります。
●枕の高さを少し高くすることで眼圧上昇を予防
首の角度が30°になる枕を推奨する向きもありますが、15°程度のほうが寝やすく、眼圧の上昇も十分に抑えられる
また、睡眠時の眼圧上昇は、寝る姿勢や寝方によって予防・軽減することができます。
まず、枕は15°程度の傾斜で頭が高くなるものを使用することで眼圧の上昇を防げます。緑内障の研究報告のなかでは、30°の枕を推奨するものもありますが、寝にくいと思います。
うつぶせ寝は眼圧が上がります。また、目が枕で押されて圧迫され、さらに眼圧が上がるリスクもあります。基本的にはあおむけ寝がよいでしょう。視野欠損の進行に左右差がある人は、視野が悪いほうの目を上にして寝ることで進行を抑制することができます。
また、緑内障に限ったことではありませんが、睡眠時無呼吸症候群は要注意です。睡眠中に何度も呼吸が止まり、または浅くなって体が低酸素状態におちいることで、緑内障にも悪影響をおよぼします。専門医を受診して適切な治療を受けてください。