痛恨の兵庫知事選「戦略考えず失職に追い込んだ」自民県議団、33ページの検証文書まとめる

失職後の知事選に当選した斎藤元彦氏=昨年11月17日、神戸市中央区(南雲都撮影)
パワハラなどの疑惑告発文書問題で斎藤元彦兵庫県知事が失職後に再選された昨年11月の知事選について、自民党兵庫県議団が検証文書をまとめたことが22日、関係者への取材で分かった。文書では独自候補を擁立できず、「一体感の欠如を印象づけたのは遺憾」と指摘。「出口戦略を考えずに失職に追い込むことに注力したのは猛省が必要」などの県議の意見も付記された。
県議会は昨年9月、斎藤氏への不信任決議を全会一致で可決。斎藤氏は失職後、出直し選に挑み再選した。
今年3月、県議会調査特別委員会(百条委員会)により、斎藤氏の告発者対応は違法の可能性が高いとする報告書がまとまり、第三者委員会も斎藤氏によるパワハラを認定する報告書を公表。不信任決議は、これらの報告書が出た後にすべきだったとの声が根強い。
検証文書は33ページあり、22日に非公開の総会で報告された。文書問題の発覚から百条委の調査、知事選に至る経緯と自民党の対応を考察し、課題などを記載。県議団へのアンケートをもとに課題をまとめ、県議の意見も付記している。
検証文書では「第一会派として独自候補を擁立すべきだった」「擁立失敗が議員団や地方組織の一致結束に乱れを引き起こし、混乱を生じさせたことを反省すべき」との意見が多かったなどと総括。
県議の意見として「出口戦略(独自候補擁立)を考えずに、知事を失職に追い込むことに注力したのは第一会派として猛省が必要」とする一方、「不信任決議の時期が早かったとの意見はあるが、当時の状況では致し方なかった」とも記載。「積極的に新しい知事を誕生させようとの空気はなかった」との指摘もあった。
知事選を巡り、自民は独自候補の選定に動いたが、二転三転した末に断念。一部県議は元尼崎市長の稲村和美氏を支援した一方、水面下で斎藤氏を応援する県議も出るなど足並みが乱れた。