「芝のデクラレーションオブウォー産駒」は単回収率181% 現役最高の中山巧者を種牡馬、騎手ごとに徹底検証
「芝のデクラレーションオブウォー産駒」は単回収率181% 現役最高の中山巧者を種牡馬、騎手ごとに徹底検証
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秋競馬がスタート
今週末から中山開催がスタート。土曜日にはGⅢ京成杯オータムハンデキャップ、日曜日にはGⅡ紫苑ステークスと2重賞が開催される。
京成杯AHには桜花賞で1人気に支持されたエリカエクスプレス、紫苑Sには桜花賞3着のリンクスティップと春の実績馬が出走予定であり、秋競馬がいよいよ到来だ。
この2重賞を予想する上で重要なのが「中山適性」。オールカマー3連覇や有馬記念を含む中山重賞6勝を挙げたマツリダゴッホなど、抜群の中山適性を持つ「中山巧者」は数多く存在する。
そこで今回は、種牡馬や騎手の中山適性をデータで徹底検証。ここでは中山での勝率から全場での勝率を引いたものを「中山巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の得意・不得意を見ていく。(データは2022年9月3日から2025年8月31日までの過去3年を使用)
デクラレーションオブウォー産駒は芝で大活躍
この章では、中山芝コースを得意とする種牡馬を紹介する。対象は過去3年の成績がTOP30の種牡馬だ。
■デクラレーションオブウォー
・巧者率:14.1%-8.2%=5.9%
代表産駒に新潟記念を制したシランケドや札幌記念を制したトップナイフがいる。シランケドは紫苑Sで9番人気3着、トップナイフはホープフルSで7番人気2着と、どちらも中山重賞を人気薄で好走している。
中山芝全体の単回収率はなんと181%、見かけたらベタ買いでOKだ。特に狙い目なのが1200mと2000m。1200mでは【2-0-2-3】で単回収率892%、2000mでは【2-4-2-13】で複回収率106%と妙味たっぷりである。
■スワーヴリチャード
・巧者率:16.4%-10.8%=5.6%
代表産駒にホープフルS、有馬記念と中山GⅠ・2勝を挙げたレガレイラがいる。
距離はある程度あった方が良く、1800m以下では【7-4-2-32】複勝率28.9%、複回収率39%であるのに対して、2000m以上では【4-4-3-11】で複勝率50.0%、複回収率109%と素晴らしい安定感を発揮している。
■キタサンブラック
・巧者率:16.9%-12.1%=4.8%
代表産駒には、有馬記念を制したイクイノックスや皐月賞馬ソールオリエンスがいる。
非根幹距離である1800mと2200mで素晴らしい成績を残しており、1800mでは【4-1-3-18】で勝率15.4%、単回収率183%、2200mでは【3-1-2-8】で勝率21.4%、単回収率124%とプラス域をマークしている。
また、前走東京芝1800m組が【6-1-0-5】で勝率50.0%、単回収率146%と好調であり、大箱で上がりの速い東京よりも、小回りで上がりの掛かる中山の方がキタサンブラック産駒の良さが生きやすいようだ。
J.モレイラ騎手×〇〇は複勝率100%
この章では、中山芝コースを得意とする騎手を紹介する。調査対象は過去3年の成績がTOP30の騎手だ。
■J.モレイラ騎手
・巧者率:36.6%-26.7%=9.9%
今年の皐月賞をミュージアムマイルで制しており、秋も9月13日から28日まで来日予定だ。中山芝全体の成績は勝率36.6%、複勝率78.0%と驚異的なもの。
しかも、単回収率110%、複回収率106%とプラス域をマークしており末恐ろしい。特に中山2000mでは【4-3-2-0】で複勝率100%と絶対に逆らえない。
■浜中俊騎手
・巧者率:19.4%-11.5%=7.9%
騎乗機会こそ少なめだが、中山芝全体の複回収率は109%とプラス域。妙味があるのは短めの距離で、マイル以下では【3-2-1-8】複勝率42.9%、複回収率は131%にまでアップする。
■岩田康誠騎手
・巧者率:10.9%-8.0%=2.9%
中山芝の単回収率103%、複回収率104%と妙味の面でも非常に優秀。中長距離戦を得意としており、1800m以上では【5-3-7-21】で単回収率159%、複回収率125%とさらに数字を上げてくる。
秋の中山はルヴァンスレーヴ産駒が大暴れ
この章では、中山ダートコースを得意とする種牡馬を紹介する。調査対象は過去3年の成績がTOP30の種牡馬だ。
■ルヴァンスレーヴ
・巧者率:14.1%-9.8%=4.3%
中山ダートでは単回収率129%、複回収率118%と単複ともにプラス域を記録。産駒がデビューして2年目だが、見かけたらベタ買いでOKだ。
昨年の初年度産駒は秋の中山で【5-5-2-15】で単回収率242%、複回収率113%と大暴れしており、この秋も非常に期待できる。
■サトノダイヤモンド
・巧者率:10.0%-6.1%=3.9%
意外にも中山ダートで産駒が活躍しており、単回収率117%、複回収率100%と妙味十分。ということは、芝からのダート替わりが狙い目…というわけではない点に注意が必要だ。
前走が芝だと【2-2-0-14】で単回収率38%、複回収率58%となっている。一方、前走もダートだった場合は【5-2-8-38】で複回収率115%とプラス域だ。
■ナダル
・巧者率:20.8%-17.3%=3.5%
砂被りを苦にしない産駒が多いのか、内枠から穴をあけることが多い。中山ダートで1〜4枠に入ったときは、【3-2-3-8】で複勝率50.0%、複回収率91%と高水準な成績を残している。
ダートでもJ.モレイラが無双
この章では、中山ダートコースを得意とする騎手を紹介する。調査対象は過去3年の成績がTOP30の騎手だ。
■川田将雅騎手
・巧者率:38.5%-26.3%=12.2%
実は川田騎手、芝では15.2%-27.4%=-12.2%と大幅なマイナスを記録していたが、ダートでは一変して素晴らしい中山巧者っぷりを発揮している。
未勝利戦での信頼度が抜群に高く【5-1-0-2】で勝率62.5%、単回収率110%と凄まじい成績だ。また外枠の方が好成績で、6〜8枠では【5-2-0-5】で勝率41.7%、単回収率128%となっている。
■J.モレイラ騎手
・巧者率:39.3%-29.3%=10.0%
単回収率103%とプラス域であり、ダートでもモレイラ騎手には逆らえない。特にスプリント戦で信頼度が高く、1800mでは【5-1-1-7】で複勝率50.0%、複回収率62%なのに対して、1200mでは【5-4-0-3】で複勝率75.0%、複回収率110%となっている。
■横山武史騎手
・巧者率:19.0%-14.2%=4.8%
中山ダートで逃げたときの成績が素晴らしく【18-10-4-13】で勝率40.0%、単回収率162%とプラス域を記録。先行馬でも複勝率55.3%、複回収率93%を記録しており、前のポジションを取れる馬に騎乗したときが狙い目だ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をも大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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