レッドブルに忖度ナシ。フェルスタッペン追走3位のハジャーに“順位キープ命令”は下らず「ペース次第では間違いなく攻撃していた」
レッドブルとレーシングブルズの首脳陣は、F1オランダGP決勝でF1初表彰台を獲得したレーシングブルズのアイザック・ハジャーが、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンの後ろでポジションをキープすることを求められていたという見解を否定した。
ハジャーは予選Q3で4番手タイムをマークし、フェルスタッペンと横並びで決勝レースを迎えた。72周のレースが始まった後もハジャーはポジションを守り、最終スティントでは3番手のフェルスタッペンに接近してプレッシャーをかけようとした。
2番手を走っていたマクラーレンのランド・ノリスがトラブルによりリタイアを喫したことで、ハジャーはF1デビュー15戦目にして初表彰台を獲得した。
一時的にフェルスタッペンを射程圏内に捉えたハジャーだったが、余裕を残していたフェルスタッペンがペースを上げると、それについていくことができなかった。
最終的にハジャーがフェルスタッペンの後ろ3位でフィニッシュしたため、親チームにあたるレッドブル・レーシング、それに乗る4度のF1世界チャンピオンの面子を保つ上でも、レッドブル傘下にある2チーム間の“紳士協定”として攻撃を仕掛けることは推奨されていなかったのではないか、と見る向きもあった。しかしこうした憶測を2チーム双方が否定した。
レーシングブルズのCEOを務めるピーター・バイエルはオーストリアの放送局ORFから、レッドブルの2チーム間でそうした紳士協定があったのか? と尋ねられた際、次のように答えた。
「いやいや、絶対にありえない。むしろ我々のような小規模チームは、ビッグチームに少しプレッシャーを与えるためここにいるのだ」
「もし彼にペースがあれば、間違いなくアタックしていた。疑う余地はない」
「しかし実際には、マックスがタイヤをマネジメントしていただけに過ぎない。アイザックが迫ってくるのを見た瞬間、再びペースを上げて引き離した。結局レースペースでは両者はほぼ互角だった。次に機会があっても絶対に攻める。約束するよ!」

Max Verstappen, Red Bull Racing, Isack Hadjar, Racing Bulls Team
レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも、フェルスタッペンを忖度してハジャーが攻撃を仕掛けないというシナリオを考えたことはなかったとして「フェアで接触さえなければ介入しなかったはずだ」と示唆した。
一方でレッドブル・レーシングのローレン・メキーズ代表は、こうした説をきっぱりと否定した。
「(オーバーテイクを)許されなければレギュレーション違反だ。だから答えはイエス。彼は許されている」とメキーズ代表は語った。
「前回のハンガリーでは、我々がレーシングブルズの後ろでフィニッシュしたことを思い出して欲しい」
トロロッソからアルファタウリ、RBを経てレーシングブルズとなったイタリア籍のレッドブル弟チームにとっては、オランダGPが6回目の表彰台。バイエルCEOは、厳しい週末の滑り出しとなっていたところからの大金星を大いに喜んだ。
レーシングブルズは初日のフリー走行1回目とフリー走行2回目の間に、ハジャーのマシンにセンサートラブルが発生したためパワーユニットを交換したものの、FP2のインスタレーションラップでバッテリーシステムの異常を検知。予防措置としてハジャーはマシンをコース上で止めざるを得なかった。チームとしても2日目の走行に向けて徹夜の作業を強いられた。
「もちろん、信じられないような気持ちだ。特にアイザックがマックスの隣で表彰台に立っている姿を見られたからね」とバイエルCEOは言う。
「金曜日に多くの問題を抱えていたからこそ、非常に感慨深い。チームはカーフュー(作業禁止時間)を破り、徹夜でマシンをもう一度組み立て、最終的に全てが上手くいった」
「戦略は良かったし、スタートも良かった。アイザックは一度もミスをしなかった。結局のところ、表彰台に導いてくれたのは『勇者の幸運』という要素があったかもしれない」
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