【夫婦の年金】偶数月に約46万5000円受給する「国民年金だけの妻+元会社員の夫」現役時代の《平均標準報酬と就業年数》は?
- 【2階建て構造の公的年金】「基礎部分の国民年金」と「上乗せ部分の厚生年金」
- 【次の年金支給日は10月15日】「国民年金と厚生年金」2025年度の年金額の例
- 2カ月に1度の偶数月に「約46万5000円」を受け取る《標準的な夫婦》とは?
- 【厚生年金と国民年金】平均年金月額はいくら?「男女差」もチェック!
- 「厚生年金」の平均年金月額
- 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
- 【年金制度改正法】「年収106万円の壁」を撤廃する改正とは?
- 「年収106万円の壁」とは?
- 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
- 家計を圧迫する物価高「家計最終消費支出」はどうなった?
- 老後に向けて「どれくらいの備えが必要なのか」チェックしておきましょう
【次の年金支給日は10月15日】「国民年金と厚生年金」2025年度の年金額の例
【夫婦の年金】偶数月に約46万5000円受給する「国民年金だけの妻+元会社員の夫」現役時代の《平均標準報酬と就業年数》は?
老後受給する年金額には個人差があります。
なぜなら、現役時代の年金加入期間や収入などによって、受け取れる年金額が異なるからです。
次の年金支給日は10月15日なのですが、「約46万5000円の年金」を受給する夫婦は、現役時代にどれくらいの収入と就業年数があったのでしょうか。
この記事では、偶数月に約46万5000円の年金を受給する「国民年金のみ受給の妻+元会社員の夫」の、平均標準報酬と就業年数はどれくらいなのか解説します。
厚生年金と国民年金の「平均年金月額」や、男女差もご紹介しますので、老後生活の参考にぜひご覧ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【2階建て構造の公的年金】「基礎部分の国民年金」と「上乗せ部分の厚生年金」
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。
未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。
ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。
具体的には、最新となる2025年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は10月の年金支給日に「約46万5000円」支給されます。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
【次の年金支給日は10月15日】「国民年金と厚生年金」2025年度の年金額の例
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公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」です。
そのため、次回支給日の10月15日(水曜日)には「8月分と9月分」の年金が支給されます。
厚生労働省によると、2025年度の年金額の例は次のとおりとなります。
※15日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しされます。
2025年度の年金額の例
・国民年金(老齢基礎年金):6万9308円(1人分※1)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
厚生年金のモデル世帯の場合、夫婦で月額「23万2784円」。これは「老齢厚生年金1人分+老齢基礎年金2人分」の合算です。
2カ月に一度の年金支給日には、2カ月分が合算で支払われます。
この夫婦世帯の場合、10月15日支給の年金額は合算で「46万5568円」ですね。
これが「約46万5000円」の根拠となります。
2カ月に1度の偶数月に「約46万5000円」を受け取る《標準的な夫婦》とは?
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1回の年金支給時に「約46万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」とは、具体的にはどのような世帯なのでしょうか。
厚生労働省による年金額の定義を見てみましょう。
(以下引用)
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
引用:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
(以上引用)
夫は40年間の平均標準報酬(賞与含む月額換算)が45万5000円、年収にして546万円で就労した会社員など。
そして妻は扶養内パートや専業主婦などで、厚生年金への加入期間がなく国民年金のみの受給となるケースです。
こうした夫婦の合計年金が23万2784円となり、2カ月分がまとめて支給されるのです。
さらに多くの場合、老齢年金からは住民税や介護保険料といった税や社会保険料が天引き(特別徴収)されます。
天引き内容や実際に振り込まれる金額は、6月に送付される「年金振込通知書」などで確認しましょう。
1回の年金支給で「約46万5000円」となれば大きな金額に思えるかもしれません。
しかし、一人当たりの月額に換算すると、必ずしも余裕のある水準とは言い切れないでしょう。
また、現役時代の給与とは異なり「2カ月に一度の定期収入」となるため、家計管理のサイクルが変わる点も、留意が必要となりそうですね。
【厚生年金と国民年金】平均年金月額はいくら?「男女差」もチェック!
ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、一人ひとりが受け取る年金について、グラフを交えて見ていきます。
個人差や、平均年金月額の男女差などに着目してみてください。
【厚生年金と国民年金】平均年金月額はいくら?「男女差」もチェック!
「厚生年金」の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
平均年金月額は、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は男性16万円台、女性10万円台となっています。
国民年金の場合は、男女ともに平均月額は5万円台です。
公的年金は2カ月分がまとめて支給されるため、1回あたりの支給額は一見高めに感じる人もいるでしょう。
しかし、これをひと月分に換算すると、年金収入だけで生活できる世帯は多数派ではないかもしれません。
また、上記はあくまでも全受給権者の平均です。実際に一人ひとりが受給する金額は、グラフが示すように大きな個人差があります。
夫婦それぞれの年金見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して把握しておきましょう。
【年金制度改正法】「年収106万円の壁」を撤廃する改正とは?
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、アルバイト・パートなどの働き方と関わりが深い、いわゆる「年収106万円の壁」を撤廃する改正が含まれています。
「年収106万円の壁」とは?
いわゆる「年収の壁」の概要とポイント
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が年収が106万円以上になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自分自身で保険料を支払う義務が発生する目安です。
保険料負担で手取りが減ることから、収入が基準額を超えないよう労働時間をコントロールする「働き控え」が生じる原因の一つとされてきました。
また、社会保険の適用対象となる企業規模はこれまで段階的に拡大されてきて、2024年10月からは「51人以上」の事業所となっています。
今回の改正では「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年かけて企業規模要件の段階的撤廃」がおこなわれることが決まりました。
「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年7月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
・所定内賃金が月額8万8000円以上(賃金要件)
・従業員数51人以上の企業で働いている(企業規模要件)
今回の改正により、このうち4の「賃金要件」と5の「企業規模要件」が撤廃されます。
いわゆる「106万円の壁」は、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、3年以内に廃止へ。社会保険に加入する企業の規模は、10年かけて段階的に拡大されます。
家計を圧迫する物価高「家計最終消費支出」はどうなった?
家計最終消費支出とは、家計が財やサービスに費やす支出の合計額で、GDP(国内総生産)を構成する要素のひとつです。
2025年8月15日、内閣府は「2025年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)」を公表。
このうち、家計最終消費支出は物価の変動を除いた実質で前期比+0.1%、物価の変動をそのまま反映した名目でも前期比+0.1%の増加となりました。
家計を圧迫する物価高「家計最終消費支出」はどうなった?
前期にあたる2025年1~3月期の家計最終消費支出では実質が+0.2%、名目が+1.9%でした。
「物価が上昇する中で、消費者が支払う金額も増えたが、それ以上に物価が上がったため、買える量はあまり増えなかった」ことになります。
給料やもらえる年金は少しだけ上がったけれど、「スーパーに行くと色々なものが値上がりしていて、結局買えるものの量は変わらない。生活が楽になった気がしない」と感じる状況が、まさにこれにあたります。
これに対して、4~6月期は「物価が安定する一方で、消費の伸びも非常に緩やかになった」ことを示す結果であり、経済状況の変化が見て取れます。
もっとも、9月からは食料品などの値上げラッシュが再開するため、収入が固定されている年金生活の家計を直接的に圧迫します。
多くの家計では引き続き「生活防衛」の意識が強く働き、日用品などの節約志向は続くでしょう。
経済が成長しているとはいえ、年金世帯では今後の値上げに備え、引き続き家計の管理をしっかりと行い、生活を防衛していくことが賢明な選択と言えそうです。
老後に向けて「どれくらいの備えが必要なのか」チェックしておきましょう
ここまで、偶数月に約46万5000円の年金を受給する「国民年金のみ受給の妻+元会社員の夫」の、平均標準報酬と就業年数について《2025年度の年金額例》を解説しました。
また、厚生年金と国民年金の「平均年金月額」や、男女差もご紹介しました。
妻が国民年金のみの場合、現役時代の夫の年収が平均546万円・就業年数40年間だと、夫婦で2カ月に1度「約46万5000円の年金」を受給できることがわかりました。
ご紹介したのは、あくまでも2025年度の年金額例となっているため、夫婦の働き方や、収入・就業年数などにより、老後受給できる年金額が変わってきます。
日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで、ご自身の年金情報を確認できます。
年金の見込額や家計、資産状況などと照らし合わせながら、老後に向けて「どれくらいの備えが必要なのか」チェックしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
・内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部「2025年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)」