「辞めたほうが楽なのはわかってるよ。しかし…」石破茂総理が記者の電話に出た!そして語った「苦しい胸の内と決意」

ここに来て石破政権の支持率が急上昇している。恐るべき粘り腰で長期政権への道をこじ開けつつある総理の心中とは―本人を直撃した。

記者が石破総理に電話をかけると…

「なんでしょうか?」

本誌記者の電話に、独特のあのねっとりとした声で答えたのは、石破茂総理その人である。8月24日の夜10時半頃のことだ。

―どうしてここまで踏ん張って総理を続けるのか?

「そりゃ辞めたほうが楽なのはわかってるよ。ただ地位を手放したくないというようなことは全く考えたことがない」

―しかし、総理の日々は相当苦しいのでは?

「これ以上はないだろうね。40年この仕事をやっているが」

―どう乗り越えている?

「それは日々乗り越えるしかないでしょう。まだ今日も生きてたな、という感じです」

記者が石破総理に電話をかけると…, 山﨑拓元副総裁が明かす「小泉ー石破会合」の中身, すべて森山裕幹事長のシナリオ通り, 「選管はかなりエグい手を打ってきた(笑)」

Photo by gettyimages

―石破おろしの一方で、支持率は上がっている。

「閣僚たちが一生懸命やっている。政府の役人たちが一生懸命やっている。コメにしたってガソリンにしたってちゃんとやっているわけで。トランプ大統領が大統領令を出せば、自動車関税をはじめとする関税交渉で一定の成果を収める。最低賃金の引き上げも、都道府県の審議会が決めることではあるが、取り組んでいる。内政でも外交でも何か間違いをしましたかね?」

―読売新聞と毎日新聞で「退陣」の報道が出たが?

「言ってないよ。(あの報道は)信じられない。私がどこかで言ったならまだしも、言ってないもん。新聞社としてどう考えているのかということだ」

山﨑拓元副総裁が明かす「小泉ー石破会合」の中身

そして最後にこう語った。

「続けるほうが100倍苦しい。でも関税交渉はどうするのか、防災庁(設置)は誰がやってくれるのか」

これまでの成果に自信を見せる石破総理。その声からは自ら身を引くなどという気配は一切感じられなかった。

記者が石破総理に電話をかけると…, 山﨑拓元副総裁が明かす「小泉ー石破会合」の中身, すべて森山裕幹事長のシナリオ通り, 「選管はかなりエグい手を打ってきた(笑)」

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この電話の直前まで、石破総理は自民党の重鎮たちから激励を受けていた。丸の内のパレスホテル東京内にある日本料理店「和田倉」で、小泉純一郎元総理、山﨑拓元副総裁、武部勤元幹事長、赤沢亮正経済再生担当大臣と食事をともにしていたのだ。山﨑氏がそのときの様子を語る。

「石破さんの呼びかけで集まったんだ。石破さんの続投意欲は以前と全然変わっていませんよ。総裁選前倒しの話題が出たときに、石破さんは何も言わなかったが、小泉さんが『そんなことはやるべきではない』と言っていました。

8月31日に日経新聞の世論調査が出て、『石破は辞めなくていい』という全社の調査結果が出揃う。それが参院選の総括に反映されますから、石破さんは辞めなくていいということです」

すべて森山裕幹事長のシナリオ通り

衆院選、都議選、参院選と敗北し続けたにもかかわらず、ここにきて内閣支持率が上昇に転じる―まさに奇跡のようなことが起こっている。

しかし、この状況こそが、政権によって周到に仕組まれたものだった。絵を描いているのは森山𥙿幹事長だ。全国紙政治部デスクが語る。

「森山さんが自由自在に日程を操っている。倒閣運動は選挙直後に一気にやらないと盛り上がりが冷めていってしまう。だから森山さんは両院議員懇談会の次は両院議員総会、その次は総裁選管理委員会、参院選の総括委員会と次々と舞台を移すことで、時間を引き延ばしているのです」

記者が石破総理に電話をかけると…, 山﨑拓元副総裁が明かす「小泉ー石破会合」の中身, すべて森山裕幹事長のシナリオ通り, 「選管はかなりエグい手を打ってきた(笑)」

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各段階での会議も巧妙に誘導されていた。政治ジャーナリストの石橋文登氏が語る。

「両院議員総会は党則で決められた『党大会に準ずる機関』なのだから、本来なら公開で行うべきだった。ところが森山幹事長が主導して非公開にしたことで、反石破派議員の声はほとんどメディアに報じられずに封殺され、その後は幹事長主導の密室政治ですべて処理できるようになった」

時間を稼いでいるうちに思惑通り、石破総理に追い風が吹き始め、「石破おろし」の気運は急速にしぼんでいく。

「選管はかなりエグい手を打ってきた(笑)」

決定的だったのが、総裁選の前倒しの意思確認が記名方式になったことだ。前回の総裁選で石破氏の推薦人を務めた重鎮・衛藤征士郎前衆院議員が語る。

「国会議員は立ち位置を曖昧にしてはダメだ。総裁選前倒しの請求については必ず署名、捺印をした上で、それを公表すべきだ。そのことは逢沢一郎さん(総裁選管委員長)にも言っておいた」

記者が石破総理に電話をかけると…, 山﨑拓元副総裁が明かす「小泉ー石破会合」の中身, すべて森山裕幹事長のシナリオ通り, 「選管はかなりエグい手を打ってきた(笑)」

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しかし、これは反石破派からすれば恐怖だ。とある官邸幹部は「選管はかなりエグい手を打ってきた」と苦笑しながら、こう説明する。

「署名したが最後、総裁選が行われなければ報復人事が待っている。大臣や副大臣をやりたい議員にはたまらない。それどころか、次期衆院選で公認をもらえるかどうかというところにまで関わってくる。特に比例で当選している連中なんか戦々恐々でしょう」

後編記事『「石破おろし」を仕掛ける裏金議員たちがここにきて大ピンチ!そして囁かれ始めたまさかの「石破解散」のXデー』へ続く。

「週刊現代」2025年09月15日号より