飲酒運転で2度逮捕され服役 薄かった「罪の意識」今も悔やみ続ける男性「当時の自分に嫌悪感」

飲酒運転は、被害者はもちろん運転した当事者の人生も大きく変えることになります。過去に飲酒運転で2度逮捕され、その後、服役した男性は、罪の意識が希薄だったことを今も悔やみ続けています。

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■佐藤さん(仮名)

「飲酒運転=犯罪とは全然考えてなかった。」

過去に、飲酒運転で2度検挙され、現在は福岡市内で働く佐藤さん(仮名・30代)です。以前は、東北地方でキャバクラやスナックなどを経営していました。

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2020年7月。自身の誕生日を祝うパーティーで知人たちおよそ10人とシャンパン20本を飲んだ佐藤さんは、軽い気持ちでハンドルを握ったと話します。

■佐藤さん

「その時はもう、飲酒運転ぐらいで捕まると思っていなくて。罰金を払えば大丈夫だぐらいの感覚を持っていたので、そこまで深く考えていなかったですね。」

酒気帯び運転などの疑いで現行犯逮捕され、その後、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた佐藤さん。当時は罪の重さに思いが及んでいませんでした。

■佐藤さん

「執行猶予中、何も悪いことをしなかったら刑務所に行くこともないので、助かったって感じでした。罰金も払わなくていいしという感じです。(当時、罪の意識は?)薄かったです。 かなり。」

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そして、1回目の逮捕から9か月後。免許取り消しになり、執行猶予の期間中だったにもかかわらず、佐藤さんは再び酒気帯び運転と無免許運転で現行犯逮捕されます。友人たちと飲んでいたのはビール2杯と焼酎8杯です。

■佐藤さん

「タクシーで行こうとしましたがつかまらなかったので、もうちょっといいやと思って運転してしまった。今考えたら何をしているのかなと思うのですが、その時はバレないだろうということで運転しました。」

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懲役2年の実刑判決を受けた佐藤さん。服役を終えたあと、2022年の12月から福岡県で働き始め、初めて海の中道大橋の事故のことを知りました。飲酒運転の罪の重さを改めて実感したといいます。

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■佐藤さん

「子どもたちの命をなくしている事件のことを知って、当時の感覚の自分に対してすごく嫌悪感というか、なんでそういう感覚を持っていたのかなとすごく反省するようになって。僕は実際、刑務所に入ってみて、飲酒運転というのはすごく危険なことだ(と気づいた)。被害者がいなかったにしろ、もしかしたら被害者を出していたかもと思うとすごくぞっとして、本当に僕はいけないことをしたんだと、さらに反省しました。」

佐藤さんは現在、元受刑者の就労支援をする福岡市内の企業で社会復帰し、清掃や草刈り作業などの仕事をしています。前の仕事と比べ、収入は2割程度になりました。

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毎日飲んでいた酒は月に一度、飲むか飲まないかになりましたが、飲酒運転への罪の意識がいつか薄れてしまうのではないかという不安も抱えています。

■佐藤さん

「(また飲酒運転をしてしまう心配は?)あります。すごくあります。僕自身まだ更生の途中なので、いつその引き金が引かれるか、完全に分かったわけではないんです。僕自身いまは(飲酒運転することを)考えることは出所してからはないのですが、そのうち犯罪意識が薄れてきて、そう思ってしまうのではないかという心配はあります。死ぬまで更生かなと思っているので。」

佐藤さんに、今回取材を受けてくれた理由を尋ねたところ、「犯した罪を話すことで自分がしたことと向き合い、自分自身を律したい」と話していました。

酒を飲んだら誰でも簡単に足を踏み入れる危険が潜む飲酒運転。自分ごととして捉え、その罪深さを胸に刻みながら社会全体で撲滅に取り組む必要があります。