英国ワイン産業の始まり
ヴァイキング時代
アルフレッド大王
ドゥームズデイ・ブック
クラレットの顧客
ブドウ栽培の衰退
ワイン産業の復興
ジョン・メシュエン (1650–1706年)
ヘンリー・ジョン・テンプル (1784–1865年)
最初の商業用ブドウ園
ブリテンのワイン
今日のワイン造り
英国の「シャンパン」
人気のブドウ品種

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一般的な認識に反して、英国ワインは愛好家の間で最も人気のあるワインの一つだ。実際、英国産スパークリングワインはシャンパンに匹敵するほどである。英国産の「シュワシュワ」のワインはぜひ開栓したいワインだが、英国産スティルワインも人気が高まり、スパークリングに匹敵するほどの注目を集めている。しかし、英国ワイン造りの歴史は波乱に満ちている。英国におけるワインの生産は、寒冷な気候のために歴史上、理想的とは言えないと考えられてきただけでなく、何世紀にもわたって英国のワインメーカーは戦争、侵略、増税、そして疫病といった問題に対処しなければならなかった。そもそも彼らがワインを瓶詰めできたこと奇跡と言えるだろう。

さあ、真実を解き明かす準備ができたらこのギャラリーで、過小評価されている英国ワイン産業について見てみよう。乾杯！

英国ワイン産業の始まり

英国産ワインはこれまで、厳しい評価を受けてきた。しかし、状況は変わりつつある。英国ワインメーカーが、まともなワインを造るためにどれほどの困難に直面してきたかを理解すれば、彼らに相応しい評価を与えることができるかもしれない。

ローマ帝国時代

ローマ人は、紀元前43年、クラウディウス帝がブリテン諸島の制服を開始した頃に、ブドウ栽培とおそらくワイン醸造をブリテン諸島に導入した。しかし、この時代、ワインは主にフランスやイタリアといった温暖な気候の地域から輸入されていた。

サクソン時代

ローマ帝国が300年にわたってブリテン島を支配した後、動乱のサクソン時代を迎え、ブドウ園は放置されていた。ブドウ栽培の試みが再び始まったのは、6世紀にキリスト教が英国南部と東部に広まった頃になってからだった。

ヴァイキング時代

しかし、英国人が乱暴な宴を楽しいにしていたまさにその時、ヴァイキングが侵略し、その宴を台無しにした。キリスト教の修道院は略奪され、ブドウ栽培とワイン醸造の発展を目指す試みは、ノルウェー人の剣の鋭い刃先で阻まれた。

アルフレッド大王

しかし、西サクソン人の王、アルフレッド大王はそれを許さなかった。彼は誰よりも酒好きで、878年5月のエディントンの戦いで、酒宴を台無しにするスカンディナヴィア人を倒すことを決意した。この戦いはキリスト教の復興とブドウ栽培の復興を促した。

中世の修道士

全国の修道士たちは喜びに沸き立った。突然、修道院にブドウ園が再び設置され、ブドウ栽培が本格的に始まった。英国のウェストカントリーと南中部に位置する修道院は、温暖な気候がブドウ栽培に適していたという幸運に恵まれたのである。

ドゥームズデイ・ブック

ワインは英国で人気を博していた。1086年にウィリアム1世の治世により完成した、英国の大部分とウェールズの一部を対象とした「大測量」の記録であるドゥームズデイ・ブックには、11世紀末の南イングランドには42以上のブドウ園があり、そのうち12か所は修道院に設置されていたことが記されている。

聖餐ワイン

ノルマン時代の英国で生産されたワインの多くは、聖餐式用の聖餐ワインだった。

クラレットの顧客

中世において、ボルドー産クラレットの主な顧客は英国市場だった。フランスのアンジュー地方に起源をもつプランタジネット朝が1154年から1485年までイギリスの王位についていたという事実が、貿易を円滑に進めた。

ワインと食事

11世紀から12世紀にかけて、英国のブドウ園のほとんどは裕福な貴族の所有物だった。ワインはあらゆる宴会に欠かせないものであり、裕福な地主たちは熟したブドウの恵みを存分に享受していた。しかし、それはずっとは続かなかった。

ブドウ栽培の衰退

中世温暖期として知られる気候現象は、おそらく300年近くにわたってブドウの生育と成熟を促してきたが、12世紀半ば、より冷涼で湿潤な気候の到来とともに事実上終焉を迎えた。その結果、英国ではブドウ栽培が衰退した。しかし、さらに悪い事態が訪れる。

黒死病

1346年から1353年にかけてヨーロッパを襲った黒死病（ペスト）は、数百万人の命を奪った。土地を効率的に耕作できる人はほとんど残っていなかった。小作農は、ブドウ園に資金と労働力を投資する代わりに、生計を立てるために短期的な換金作物に頼るようになった。

専門知識

雨、寒さ、そして海外のワイナリーとの競争により、多くのブドウ園主は既成概念にとらわれない発想を迫られた。ワイン造りで利益を上げるには、収入を補う以外に方法がないからだ。そのため、より進取的な地主たちは、ブドウ栽培以外の方法で収入を得ようとした。その結果、1400年代までに、英国はワインの生産よりも、選別、輸入、瓶詰め、貯蔵の専門知識で際立つ存在となった。

ワイン産業の復興

1509年にヘンリー8世が戴冠した頃には、139のブドウ園が記録され、そのうち11のブドウ園が王室向けのワインを生産していた。これは目覚ましい復興だったが、16世紀初頭のチューダー朝時代には、ワインは依然として庶民の多くにとって高価すぎた。

輸入税

ワインを「一般」の人々にもっと親しみやすくするため、フランスやスペイン、ギリシャなどのワイン生産国から輸入されるワインに税金が課せられた。

ジョン・メシュエン (1650–1706年)

メシュエン条約は、フランス産ワインにさらに高い関税を課した。外交官であり政治家でもあったジョン・メシュエンが交渉したこの条約は、スペイン継承戦争の一環として1703年に締結された。英国とポルトガル間の軍事および商業に関する議定書だった。

酒精強化ワイン

メシュエン条約は、英国がスペインやポルトガルから船で大量に輸入されたシェリー酒、ポートワイン、マデイラワインといった甘口の酒精強化ワインの主要消費国となることに直接つながった。英国人はこれらのワインを熱狂的に受け入れたが（そして今でも受け入れている）、英国のワイン産業は事実上停滞し、舵を失い、低迷状態に陥ったのである。

アブラムシ

19世紀半ば、英国の商業ワイン産業は、世界中のブドウに致命的な害虫であるアブラムシの出現によって、新たな打撃を受けた。北米からの探検家によってヨーロッパに持ち込まれたと考えられているこの害虫は、フランスのブドウ園を壊滅させ、ヨーロッパ大陸全体のブドウ園にも被害を与えた。

ヘンリー・ジョン・テンプル (1784–1865年)

衰退の一途を辿る英国のワイン産業は、ヘンリー・ジョン・テンプル率いる政府が自由貿易を支持し、輸入ワインへの課税を最大83％も大幅に引き下げた1860年、ほぼ壊滅状態に陥った。英国産ワインは、オーストラリアや南アフリカ産を含む高品質な外国産ワインによって、消費者にとってより低価格で販売できるようになり、絶望的な価格差に陥った。

ワインと戦争

第一次世界大戦の勃発により、英国のワイン造りの伝統は突如として終焉を迎えた。農作物と食料の確保、そして砂糖の配給制がワイン生産よりも優先され、200年以上ぶりに英国産ワインは英国内で生産されなくなった。写真は1915年、農場で干し草の俵詰めをする女性たちである。

戦後の生産

戦後、英国のワイン醸造の伝統を復活させるには、少量の英国ワインのパイオニアたちの献身的な努力が必要だった。その先見の明を持つ一人が、昆虫学者のジョージ・オルディッシュ（1906-1992年）だった。フランスのシャンパーニュ地方から故郷のケント州に戻った彼は、故郷のケント州とフランス北西部の州の気候と景観の類似性に衝撃を受けた。

庭のブドウの木

1936年、オーディッシュはメイドストーン近郊の自宅の庭にブドウを植えた。驚いたことに、彼はブドウが地元ケント州の気候で熟すことに気付いたのだ。しかし、イギリスの偉大なワイン栽培実験は再び頓挫した。今度は、ヨーロッパに暗雲が立ち込め、第二次世界大戦の勃発が迫ったのである。

最初の商業用ブドウ園

第二次世界大戦後、今日の英国ワイン産業の基盤を真に固めたと言える人物として、2人の名が際立っている。一人はレイ・バリントン・ブロック（1907-1999年）で、バッカス、ミュラー・トゥルガウ、セイヴァル・ブランなど、英国の土壌に適したブドウ品種を特定し、英国ワイン醸造復興の父と称される人物である。もう一人は、この写真に写っているガイ・ソールズベリー・ジョーンズ（1896-1985年）であり、1952年にハンプシャー州ハンブルドンに英国初の商業用ブドウ園を開拓し、セイヴァル・ブランを栽培した。