年金支給日にもらえる【年金生活者支援給付金】給付額は月額いくら?申請方法も見本つきで紹介!もらえるのはどんな人なのか
9月初旬「請求書」が送付予定《障害年金・遺族年金》の年金生活者支援給付金の支給要件も解説
年金支給日にもらえる【年金生活者支援給付金】給付額は月額いくら?申請方法も見本つきで紹介!もらえるのはどんな人なのか
直近の年金支給日は8月15日ですが、年金を十分に受け取っている人は決して多くありません。
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員や公務員などが受給している厚生年金と国民年金の平均額は約14万円となっています。
一方、フリーランスや専業主婦など、国民年金のみを受給している人の平均額は約5万円にとどまります。
これはあくまで平均の数字ですが、多くの人にとって、老後の収入は現役時代に比べて大きく下がる傾向にあります。
こうした厳しい状況にある低年金世帯を支えるため、政府は「年金生活者支援給付金」制度を設け、経済的支援を行っています。
本記事では、この「年金生活者支援給付金」の対象者や、2025年度の支給基準額について紹介します。
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【年金生活者支援給付金】年金に毎回上乗せ!もらえるのはどんな人?
年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、年金やその他の収入が限られており、経済的に困難な状況にある高齢者世帯を対象に設けられた支援制度です。
この給付金を受け取るには、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることが前提となっており、加えて定められた複数の要件をすべて満たす必要があります。
次章にて、各年金生活者支援給付金の要件について確認していきましょう。
「老齢年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
老齢年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である
老齢年金生活者支援給付金の支給判定にあたっては、障害年金や遺族年金などの非課税収入は収入額に含まれません。
また、「給付基準をわずかに超えたことで対象外となる人」と「ギリギリで対象となった人」との間に不公平が生じないよう、一定の範囲内で所得がある方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この補足的給付は、前年の年金収入とその他の所得を合わせた金額が、1956年(昭和31年)4月2日以降生まれの方で78万9300円を超え88万9300円以下、または1956年4月1日以前生まれの方で78万7700円を超え88万7700円以下の場合に支給されます。
「障害年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
障害年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
・障害基礎年金の受給者である
・前年の所得が472万1000円以下である
障害年金などの非課税収入は、給付金の支給要件を判断する際の所得には含まれません。
さらに、扶養親族等の人数に応じて、給付額が加算される仕組みになっています。
「遺族年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
遺族年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
・遺族基礎年金の受給者である
・前年の所得が472万1000円以下である
障害年金と同様に、遺族年金などの非課税収入は、「年金生活者支援給付金」の支給要件を判断する際に所得としてカウントされません。
また、扶養親族の人数に応じて支給額が加算されるようになっています。
次章では、2025年度の「年金生活者支援給付金」の支給基準額について紹介します。
【2025年度】「年金生活者支援給付金」の給付基準額はいくら?
日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」によると、2025年度における「年金生活者支援給付金」の給付基準額は以下のとおりです。
「年金生活者支援給付金」の給付基準額
【2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付基準額】
・老齢年金生活者支援給付金:5450円
・障害年金生活者支援給付金:1級 6813円 、2級 5450円
・遺族年金生活者支援給付金:5450 円
老齢年金生活者支援給付金の支給額は、「保険料の納付年数」や「免除された期間」などに応じて計算されるため、人によって金額が異なる点に注意が必要です。
障害年金生活者支援給付金については、障害等級に応じて基準額が設定されています。
遺族年金生活者支援給付金では、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合、その基準額を子の人数で按分した金額が、それぞれに支給されます。
このように、いずれの給付金も「全員が同じ金額を受け取れるわけではない」という点を理解しておきましょう。
参考として、国民年金を受給している高齢者が受け取る可能性のある「老齢年金生活者支援給付金」の平均的な支給額については、次章で詳しく確認していきます。
【平均はいくら?】「老齢年金生活者支援給付金」実際いくら受け取っている?
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金生活者支援給付金の平均支給額は以下の結果となっています。
老齢年金生活者支援給付金の平均支給額
・70歳未満:4691円
・70~74歳:4187円
・75~79歳:3930円
・80~84歳:3835円
・85~89歳:3883円
・90歳以上:3952円
結果からも明らかなように、どの年代でも基準額に満たないケースが多く、実際の支給額にはばらつきがあることがわかります。
それでも、この給付金は、支給要件を満たしている限り原則として生涯にわたって受け取ることができ、生活費の補填として大きな支えとなる制度と言えます。
なお、この給付金を受け取るには申請が必要となるため、該当する方は申請を忘れずに行うようにしましょう。
【注意】「年金生活者支援給付金」は申請をしないと1円も受け取れない
年金生活者支援給付金の対象者には、日本年金機構から請求書が郵送されるため、届いた書類に必要事項を記入のうえ、期限内に返送することが重要です。
なお、この請求書の発送時期や書類の形式は、「すでに年金を受給している方」と「これから年金を新たに請求する方」とで異なります。
本章では、それぞれのケースにおける書類の送付タイミングや申請手続きの流れについて解説します。
申請方法1:すでに年金を受給している人の場合
すでに年金を受給している方が新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合は、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次発送されます。
すでに年金を受給している人の場合
届いた請求書に必要事項を記入し、差出人欄に自分の住所と氏名を記載したうえで、切手を貼ってポストに投函すれば、申請手続きは完了します。
申請方法2:年金を新たに新規請求する人の場合
年金を新たに申請する際に年金生活者支援給付金の対象となる方には、老齢基礎年金の請求書と一緒に、給付金の申請書も同封されます。
申請書には必要事項を記入し、年金の受給開始年齢の前日以降に、年金請求書と併せて年金事務所へ提出してください。
年金を新たに新規請求する人の場合
手続きが完了すると、原則としてその翌月から給付金の支給が始まり、年金と同様に2カ月に1度、2カ月分が指定口座へ振り込まれます。
なお、初回の手続き後は、原則として翌年度以降の再申請は不要ですが、支給要件を満たさなくなった場合には、別途届け出が必要となります。
申請しないと受け取れない支援制度は多い!
本記事では、この「年金生活者支援給付金」の対象者や、2025年度の支給基準額について紹介していきました。
年金生活者支援給付金を基準額通りに受給できれば、毎回の年金に上乗せされる形で支給されます。
制度自体は2019年に始まった比較的新しいものであり、現在もその存在を知らない高齢者も少なくありません。
ご自身やご家族が該当する可能性があるかどうか、一度確認してみることをおすすめします。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書の見込額(月額)の記載箇所」
・日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」